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Jan 23, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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 その夜の深更に、ひっそりと二人の男が屋敷を訪れた。

 一人は小太りの体躯をした影の軍団の頭領、山彦の彦兵衛。あとの一人

は面識がなかった。六尺ちかい長身で、全身、鋼のような体躯をしている。

 左眉に黒子があったが、凄まじい剣気を漂わせる男であった。

「彦兵衛、昨夜もしくじったの」  水野忠邦が低く叱責した。

「申し訳ございませぬ」   「傍らの男は何者じゃ」

「先日、国許から呼び出しました、闘牙の三十郎ともうす忍びにございます。

腕は、六紋銭随一の遣い手にございます」

「頼もしい面をしておるの、じゃが、剣気を鎮めることじゃな」

 水野忠邦が厳しい顔で言い放った。

「首座殿、昨夜の件にございます。我等は高島藩を昼夜見張っておりましたが、

昨夜、浪人が藩邸に忍び込むところを発見いたしました」

「・・・・」  水野忠邦が無言で彦兵衛の言葉を聞いている。

「探りに山犬の藤兵衛を送り込みましたが、戻って参りませぬ。そこで七名の

手練を差し向けましたが、ご存じのとおり全滅の憂き目に遭いましてございます」

「大目付の嘉納主水の報告どおりか」  水野忠邦が嘆息した。

「あとは、闘牙の三十郎にお尋ね下され」  彦兵衛が口を閉じた。

「闘牙の三十郎とやら、昨夜の件は承知いたしておるの」

 代って、加地三右衛門が声をかけた。

「申しあげます、七名のうち五名は全て一太刀で命を失っておりました。二名

は飛礫をうけ、一名は即死と判断いたしましたが、いま一人は肩に飛礫をうけ、

一刀を浴びて命を失ったものと判断いたしました」

 闘牙の三十郎が、低い声で語り終えた。

「六名の者は浪人の手にかかり、一名は飛礫で命を失ったと申すか?」

「御意に」  加地三右衛門の問いに、三十郎が短く答えた。

「敵は二名であったか?」

「拙者が出向きました時は、浪人は去っておりましたが、飛礫を投じた者は

まだ、潜んでおりました」

「何故、討ち果たさなんだ」 

 忠邦の叱責を浴び、闘牙の三十郎が不敵な面魂で反論した。

「忍びしては凄腕の男、拙者の業をもってしても、見つけ出すことは不可能

にございました」  闘牙の三十郎が語り終えて黙した。

「浪人者の腕をいかに見た」  水野忠邦が興味深く三十郎に訊ねた。

「初めてみる太刀筋、まずは、公儀隠密かと推測つかまつります」

「莫迦な、公儀隠密なんぞの存在は今はない」

「飽くまでも拙者の推測にございます」  三十郎が不敵な面で言い切った。

「その根拠は?」   「まずは、これをご覧下さい」

 闘牙の三十郎が、円錐形の飛礫を取り出した。

「これが現場にあった飛礫にございます、しかし、浪人の太刀筋は江戸の町

では見られない、凄い太刀筋にございます」

「それほどの凄腕か?」   「御意に」

 六紋銭の二人が、無念そうな顔つきをしている。

「それほどの手練者が、事件に係わっておるか」

「あのような斬り口は見た覚えがございませぬ」

 三十郎が答え、語を継いだ。

「この、飛礫もしかり、普通の忍び者の使う物ではありませぬ」

 水野忠邦が手の平にのせ眺めた。  「小粒ながら重いの」

「それだけ威力がございます、錏頭巾の鉢が砕けておりました」

 水野忠邦が、庭先の釣下げ行灯に視線を這わせ、暫し思案していたが

おもむろに加地三右衛門に命じた。

「三右衛門、そちは公儀隠密に生き残り者が居ないか洗うのじゃ。更に

老中、阿部正弘と大目付の嘉納主水に、それらしき男の翳がないかも心

して炙りだせ」

「畏まりました」  水野忠邦が闘牙の三十郎に視線を移した。

「太刀筋の特徴は判るか?」

「拙者の見立てでは、左下段の構えかと推量いたします」

「三右衛門、今の言葉忘れるでない」

「はっ、心いたし探りをいれまする」  加地三右衛門が首肯した。

「さて彦兵衛、高島藩は絵図の紛失届けを、大目付に申し出た。これについて

わしがとやかく申せぬ。再度、高島藩の動きを注視いたせ、ひよっとするとあの

浪人が、絵図を持っておるかも知れぬ」

「仰せのとおりに」   「さらば、去れ」

 六紋銭の二人が、音もなく部屋から消えうせた。

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Last updated  Jan 24, 2008 08:50:27 AM
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