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Mar 7, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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「少し眠ることじゃ、躯が休まる」  求馬が腕を組み目を閉じた。

 着物ごしよりお互いの体温が伝わり、思慕の念がお蘭の胸を締めつける。

 お蘭の心に安らぎが湧き上がり、幸せを感じながら眠りについた。

 求馬が薄目を開けた、彼の研ぎ澄まされた五感に殺気が感じられる。

「お蘭っ」  かすかに彼女の肩をゆすった。

「・・・・」  「声をたてるな」  いつの間にか雨が止んでいた。

 真っ暗闇で何も見えないが、求馬が身支度を整えている気配が感じられる。

「六紋銭じゃ、わしが外に出ても声をたてるな。何事があってじゃ、朝になれば

猪の吉が必ず探しにくる」  求馬は暗闇の中で足拵えをした。

 不気味な殺気が充満し、すっと求馬が部屋から消えた。

「旦那、ご無事で」  お蘭が胸裡に呟いた。

「六紋銭か、待っていた」  冴えた声を発し求馬の痩身が廃屋から滑りでた。

「伊庭求馬か?」  押し殺した声が暗闇から響いた。

「わしの名を知っておるか」  鬱蒼と繁った大木の枝葉で闇が広がっている。

「頭の名を聞こうか」  「駒方の陣内じゃ」 声が樹木の上から聞こえた。

 求馬の痩身が音もなく廃屋から離れている。

「きえっー」  頭上の大木の翳から黒い人影が舞い降りてきた。

 求馬が身を低め腰の村正が鞘走り闇を斬り裂いた。ずーんとした手応えを

感じ、横に躯を滑らし背後の闇に一閃を送りつけた。

「ぐふっ」 苦悶の声と強かな手応えがあった。

「いかに」  求馬の冴えた声を目掛け凄まじい一撃が襲いかかってきた。

村正がそれを弾き火花が散った、体勢を立て直す余裕を与えず、求馬が間を

つめ斜め上段から、躱すいとまもない一颯を浴びせた。

 宙に躍りあがって身を躱そうとした六紋銭の忍びが、両足を薙ぎ斬られ苦痛

の悲鳴をあげ、地面に躯を叩きつけ悶絶した。

 血腥い風が吹きぬけた。影が三個、求馬の前面に現れた。

 いずれも忍び刀を正眼に構え、忍び足で右に円を描きながら移動を始めた。
 
 求馬は逆飛燕流の構えで、左下段で村正の切っ先を地面に向け、敵の動き

に無反応に佇(たたず)んでいる。さっと三人が上段に構えを移した。

 命を捨てた構えとみた求馬の痩躯が、風を巻き半歩左に踏み出し左手の敵の

右脇腹を斬りあげた。血潮が飛沫、村正の旋回する様を見つめた正面の対手

が後方に引き下がろうとしたが、逃さず求馬が駆け寄り落石の如く頭上に村正

を振りおろした。脳漿を噴きあげ、鳩尾まで斬り下げられ声なく斃れ伏した。

 残った一人が遮二無二、突きを仕掛けてきた。求馬は軽々と寸余の差で間合

いを見切り、敵の空け胴を凄まじい勢いで水平に薙ぎ斬った。

 敵もさるもので忍び装束を水平に裂かれ辛うじて避けたが、求馬の村正が

生き物のように伸び、対手の首筋を刎ねた。ぱっと血潮が飛沫、村正を振っ

て血糊を弾き飛ばし、  「駒方の陣内とやら、隠れておらず出て参れ」

 求馬が左脇備えに構えを変えて挑発した。

「噂にたがわぬ腕前じゃ」  不気味な声と同時に大木の翳から躍り出た

陣内の大刀が、求馬の肩先を掠めた。求馬が身を躱した時には陣内の姿は

消えていた。殺気が盛り上がってきた、求馬が脇備えで瞑目した。

 求馬は眼を閉じ心気を鎮め、陣内の接近を待っている。

 陣内の大刀が必殺の勢いで正面から襲いかかってきた、刃風の音を感知し、

村正を峰に反し陣内の大刀を撥ね上げた。

 勢いで二、三歩たたらを踏んで向き直った時、求馬の痩身が目前にあった。

「しまった」  陣内が構えを立て直そうしたが、村正が白い光芒を放ち、

陣内の肩先を袈裟に斬り裂いていた。

「むっ」  苦痛を堪え構え直した瞬間、左脇腹に衝撃を感じ血潮の迸りを

覚えた。そのまま暫く立ちすくんでいた陣内の体躯が音をたて泥濘に転がった。

 求馬は一瞥も与えずに、懐紙で血糊をぬぐって村正を鞘に納めた。

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Last updated  Mar 7, 2008 11:25:37 AM
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