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Apr 1, 2010
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カテゴリ:武辺者
 

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        「死に遅れた男」

 なんとなく外が騒がしく表戸の障子に人影が映った。

「ご免、片桐家の家臣、真柄新三郎と申す、この屋に加持庄兵衛殿が仮寓して

居られるとお聞きいたした。お会いしたい」

「くめ、上がって頂け」

 庄兵衛に促され、くめがいそいそと三和土に降りて表戸を開けた。

 表に若々しく恰幅のよい武士が三名の家来を従い、長屋の様子を物珍しく

ながめていた。

「それがしが加持庄兵衛にござる。むさ苦しい部屋ですがお上がり下され」

 真柄新三郎と名乗った武士が一人、部屋に入り庄兵衛の前に腰を据えた。

「片桐さまとは大阪城に居られる且元さまにございますか?」

「左様」 真柄新三郎が簡潔に答え、くめが粗茶を置いて去った。

「片桐且元さまが、それがしに何用にござる」

 庄兵衛が逸る心を抑え訊ねた。真柄新三郎は壁にかけられた庄兵衛自慢の

大身槍に視線を這わせていたが、おもむろに口をひらいた。

「ご貴殿が藤堂家を去られたこは承知にござる。是非とも当家に仕官しては

くれませぬか」

「且元さまの仰せにござるか?」

 真柄新三郎が大きく肯いた。片桐且元と言えば大阪城の家老を勤める重臣

である、思わず唸り声がでた。

 真柄新三郎が懐中より、紫色の袱紗を庄兵衛の前に差し出した。

「些少ながら手土産にござる、良きご返事をお待ち申しております」

「委細、承知つかまった」

「ところで加持殿ご愛用の槍とお見うけ申した、拝見させて頂く訳には参り

ませんか」 真柄新三郎の顔に興味の色が浮かんでいる。

「お眼を汚す代物にござるが、折角ゆえにとくとご覧あれ」

 庄兵衛が気軽く戦場往来の自慢の槍を差し出した。

「拝見いたす」

 真柄新三郎がおもむろに鞘をはらい、一点の曇りもない槍の穂を見つめた。

 真剣な眼差しである。

「これは見事。刃渡り二尺余の大身槍、柄には合戦の傷痕がござるな。流石は

槍の加持殿、良き眼の保養をいたした」

 真柄新三郎の顔に満足の色が浮かんでいる。彼等一行が帰った後に、くめが

驚きの顔色で訊ねた。

「旦さんは大阪城の片桐さまに仕官なさはりますのか」

 庄兵衛はそれには答えず、袱紗を手渡し、「中を改めよ」と命じた。

 いそいそと袱紗を開けたくめが驚きの声をあげている。

「仰山な金子ですがな、わて腰がぬけます」

「何両じゃ」  「慶長大判が十枚でっせ」 くめが驚くのは無理がない。

 庄兵衛も呆れる思いである、このような大判は眼にしたことがない。数年間

は遊んで暮らせる代物である。

(わしをいくらに見積もったのじゃ)

 庄兵衛は満足であった、これだけの金子を手土産とし持参したのは、わしの

力量を高く評価したからじゃ。だが問題がある。

 大阪方に味方すれば間違いなく敗北する。身の栄達を望むならば徳川方の

大名に仕官するのが得策である。

                         続く






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Last updated  Apr 1, 2010 11:17:24 AM
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 こんにちは   素浪人199 さん
さすが庄兵衛
スカウトも下手には出来ませんね!
しかし庄兵衛
どうするのでしょうか!!! (Apr 1, 2010 11:37:03 AM)

 Re:武辺者(11)(04/01)   なふら さん
こんにちは♪


ついに・・仕官の誘いが・・・

次回が待ち遠しいです! (Apr 1, 2010 12:49:27 PM)


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