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Jun 12, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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      「騒乱江戸湊(55)

「そうじゃな、梅吉のネタを無駄にしてはならぬ。じゃがおぼろながら

辻褄があってきたの、闇公方なる男はやくざ者に資金を提供しておる。

奴はその資金で賭場や淫売宿からあがる資金を利用し、裏世界を支配して

おるのじゃ」

 珍しく求馬の相貌に怒りが湧いている。

「旦那、それに手を貸しているのが浅草、奥山を仕切る由蔵ですか?」

 お蘭が会話に加わった。

「そうじゃ、火付盗賊改方も奥山に眼をつけ探りを入れておった」

「なんで闇公方は大船で砲撃を繰り返すのでしようね」

 お蘭が不思議そうな顔をしている。

「そこが解せぬ」

 求馬もまだそこの点が理解できないようだ。

「旦那、闇公方と由蔵、それに奥山の万八亭の女将の線が繋がりましたぜ。

女将を強請ってみますか?」

「猪の吉、それは最後の切り札じゃ。強請ったとて闇公方の正体は分かるまい」

「でしたら、由蔵を痛めつけたらいかがです」

 お蘭が悔しそうに荒っぽい言葉を口にした。

「無駄じゃ、由蔵の後釜なんぞいくらでも居る」

 その言葉でお蘭が求馬の杯をとり、白い頤(おとがい)をみせて飲み干した。

「お酒でも飲まないと気が滅入って仕方がありませんよ」

 お蘭が自棄酒を口にしている。

「猪の吉、頼まれてはくれぬか」

「なんなりと申しつけておくんなせえ」

「火盗改方の河野権一郎殿の役宅まで使いをしてはくれまいかな」

「・・・・」  猪の吉が怪訝な顔で求馬を見つめ、

「河野さまと言えば火付盗賊改方のお頭で与力の旦那ですな」

「そうじゃ、わしの書状と阿部正弘さまの鑑札を届けてもらいたい」

「旦那は首座の鑑札をお持ちなんですかえ」

 猪の吉が何事か察し眼を輝かせた。

「嘉納殿に依頼されての、遣ってくれるか?」

「承知の助でさあ」

 翌日、求馬は猪の吉を伴って下谷広小路に向かっていた。二人が河内楼の

玄関に姿を見せるや、番頭が二人を待ち受けていた。

「伊庭さま、先刻よりご三名さまがお待ちにございます」

 番頭が仲居を呼び、仲居が心得て座敷に案内した。座敷には三名の男が

待ち受けていた。求馬は遅れた無礼を詫び上座に腰を据えた。

「旦那、あっしは?」  猪の吉が遠慮気味に訊ねた。

「お主には悪いが、下座に席をしつらえてある」

 猪の吉が腰を低め三名に頭を下げ下座に腰をおろした。

「それがしが伊庭求馬にござる」

 求馬の前に身形の立派な武士が座していた。

「火付盗賊改方与力の河野権一郎でござる。お招きにより伺い申した」

 傍らの不精髭の男が名乗ろうとしたが、求馬が手で制した。

「天野さんに若山豊後さん、名乗りは無用にござる。ご一緒に働いた仲に

ござる故にな」

「お主等は伊庭殿と懇意か?」

 河野権一郎が驚いて配下の二人を見つめ廻した。

「お頭、大目付の嘉納さまのご指示で何度も一緒に仕事をさせて頂きました」

 天野監物が不精髭の顔を崩し、嬉しそうな笑顔を見せている。

「若山さんもお元気そうじゃな」

 求馬に声をかけられ、若山豊後の若々しい顔が輝いた。

「その節にはご面倒をおかけしました」

「猪さん、久しぶりじゃ」  天野監物が猪の吉に声をかけた。

「へい、またご一緒に仕事ができやす」

 その様子を眺め、河野権一郎が呆然としている。

「河野殿、お二人とは前からの知り合いにござる。前もってお話せず、お許し

願いたい。この者は猪の吉と申し、それがしが懇意とする男にござる」

「河野さま、猪の吉と申します。以後、よしなにお願いいたします」

 河野権一郎が猪の吉の挨拶をうけ鷹揚に肯いた。

「まずは食事なんぞ召し上がって頂き、その後にお話をいたします」

 求馬が手を叩くと仲居が、膳部を並べて引き下がって行った。

「まずは乾杯し、その後は独酌と参りましょう」

 求馬の何時もの習慣である。

 乾杯の儀式が終わり、天野監物と若山豊後が嬉しそうに箸をつけた。

「伊庭殿、酔わぬ前に鑑札をお返しいたす」

 河野権一郎が恭しく鑑札を差し出した。

「これは恐縮に存ずる」

 求馬が無造作に懐に入れ、五名は黙々と肴に夢中となった。

「旨いのう、流石に河内楼の料理じゃ」

 天野監物が感嘆の声を漏らしている。

  頃合いを見た求馬が、会談の趣旨を語った。

「本日は、闇公方と名乗る不届き者の件でお集まりいただきました」

 火付盗賊改方の三名に緊張がはしりぬけた。

「矢張り、その話にございましたか?」

 河野権一郎が厳しい眼差しを求馬に注いだ。

 頃合いを図っていた求馬が、会談の趣旨を語った。


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Last updated  Jun 12, 2011 11:55:13 AM
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