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Jun 13, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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      「騒乱江戸湊(56)

「まず、それがしが知りえた情報をお報せいたす」

 求馬が杯を置きおもむろに語りはじめた。聞き終えた火盗改方の

三名に驚きがはしった。彼等が総力をあげて探索していた事柄を求馬が、

いとも簡単に知っていることの驚きであった。

 五名は獲た情報のすべてを隠すことなく話し合った。

「さて今後のことにござる、闇公方が江戸に潜伏しておることは間違い

ござらん。それを知る者は万八亭の女将のみにござる」

「捕縛いたし、吐かせますか?」

 天野監物が求馬に同意を求めた。

「天野さん女将や由蔵を捕縛いたせば、闇公方の正体と目的は闇に葬られ

ましょうな」

「そうですな、あの大船の件も未解決になりますな」

 河野権一郎が求馬の言葉に賛同し頭をかかえた。

「奴等が何を目論んでおるか、それを知らねば打ち手はござらん」

 求馬が乾いた声で断言した。

「それならばいかが成されます?」

 若山豊後が興味を示し眼を輝かせている。

「その前に万八亭を厳重な監視下に置いて頂きたい」

「承知いたした」  河野権一郎が即座に応じた。

「河野殿、それがしが奴の手足を斬り捨てましょう。由蔵を警護する二人の

浪人も、地獄の龍を名乗る男も始末いたす」

 求馬の痩身から殺気が漂っている。

「それで事件は解決しますか?」

「天野さん、手足を亡くした闇公方の出方を見守りましょう」

 求馬が醒めた口調で断じた。

「再び闇公方が江戸湾に大船を派遣したら、いかが成される」

「河野殿、残念ながら幕府には打ち手がござらん。だが闇公方一人では

このような大事件は不可能にござる。必ずや翳で糸を引く者が居ります」

「何者かご存知か?」

 河野権一郎の問いに求馬を首を振った。

「これは幕閣の最高機密ですが、さる大藩の動きがきな臭い。これら詳細は

老中首座も承知のことです。閣僚をのぞきこれを知る者は、この場の五名

のみにござる。構えて他言をなさらぬようお願いいたす」

 火付盗賊改方の三名が求馬の白面の相貌を見つめた。一介の浪人が老中

首座の鑑札を持参し、幕府の最高機密まで知っている。

「貴方はいったい何者です」

 若山豊後が恐る恐る訊ねた。それは河野も天野も同じ疑問であった。

「大目付の嘉納主水殿に頼まれましてな、あの方とは刎頸のお付き合いを

頂いております」

「もしや、ご貴殿は元公儀隠密ではありませんか?」

「河野殿、ご明察どおりにござる」

 河野権一郎が唸った。伝説となっている凄腕の隠密が眼の前にいるのだ。

それを知った今はただ従うのみと悟った。

「最後にお聞きいたす。万八亭に不穏な動きが起こったらいかがいたせば

宜しいか?」  この質問は当然のことである。

「河野殿、その際はそれがしの下知に従って頂きます」

 求馬は当然とした態度で杯を口にした。

「我等は若年寄支配にござる。それを無視せよと申されるか」

「左様、この場に集いし者は今から老中首座殿の支配とお考えくだされ」

「それは無理にござる。我等には山部長官が直属の上司にござる」

「山部美濃守さまにも内密にござる。いずれ山部さまにも指示がありましょう」

 求馬が否とは言わせぬ口調で三人に厳命した。


 丑の刻(深夜二時)を迎えると浅草、奥山から大八車が数台、音を忍ばせ

堀割へと集まってくる。そこには二艘の荷船がひっそりと舫われていた。

「早くしねえな」

 低い声が響き、一斉に大八車の荷物が荷船に積み替えられ、闇の中に消え

て行く。二艘の荷船は縦横にはしる堀割を漕ぎ進んでいる。先頭の船の船首

に斉藤浅右衛門が乗り込んで用心棒をかっていた。

 行先はいずれも本所の回向院の別院であった。

 そこにも人数が待ち受け、あっという間に荷物が運び込まれている。

 こうしたことが連日連夜にわたり、繰り返されていた。

 奥山の地下蔵で由蔵と塩屋茂兵衛が空の大八車を数えている。

「今夜も無事に終わりやしたな」  由蔵が安堵の声をあげた。

 斉藤浅右衛門が足音を消し、うっそりと戻ってきた。

「ご苦労さまでございやした」

「今宵も無事でなによりじゃ」

「先生方、お先に帰っておくんなせえ。あっしは残りの荷物を数えて戻りやす」


騒乱江戸湊(1)へ






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Last updated  Jun 13, 2011 11:39:14 AM
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