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カテゴリ:トリニテイ・イン・腐敗惑星
■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第29回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・●山田企画事務所 マンガ家になる塾 「マンガ家になる塾」ドリル 「聞いたか、皆、寂寥王は罪を認めた。寂寥王を殺せ」 ラフラタであったものが言った。 「私を好きにしてくれ」王が答える。 「寂寥王どうしても」 「皆、よいか、私はこのものたちに飲み込まれる。その行為がこの ものたちに対する罪滅ぼしになる。どうか、私を助けようとしない でくれ。これは、最期の私の願いだ」 「寂寥王よ」 「あなた」 「お父さん」 「ははあ、おとなしく、私の軍団に下るか。寂寥王よ、まだ、この 腐肉の中には中性子爆弾が残っている。レムリアよ。残念だったな。 寂寥王よ、完全に吹き飛ばしてくれる」 「まて、それはおかしい、ラフラタの意識よ」 風の意識の幾つかが言う。 -107 - 。「もう、遅いわ」 ラフラタが叫ぶ。 腐敗惑星の表面が腐敗巨人として収斂した。 「寂寥王よ、我々はお前を恨む」 「我々、すべての生物がお前のために、こんな醜い姿に返られたのだ」 「寂寥王よ、我々の耐えることのない悲しみと死の瞬間を思え」 腐肉のかたまりが、寂寥王の体をすっぽりと包みこんでいた。 寂寥王はその中で、数多くの死の瞬間を味わった。そして、完全に死 ぬことのできない悲しみの心を知った。 「寂寥王よ、お前の力をもってすれば、我々のこの苦しみを取り除 くことができるだろう。この逃れることのできない死の淵から、我 々を生の空間に戻せ」 『寂寥王よ、あなたがなぜ、どこかに逃避され、またトリニティを 残したか考えてくだされ』 急にチャクラの声が寂寥王の元に届いた。 「なぜだ、私はわずかぽかりでも、再生を夢みていたのか」 腐肉の巨人体の圧力で圧しつづけられる。 苦悩する寂寥王の意識が、数千の腐肉の意識に責めさいなまれていた。 が、寂寥王はこの練獄の中で自分が昇華され、罪が償われると考えていた。 寂寥王は逃れようのない苦悩の中で、1人、昔を思い出す。 大いなる昔、この古代世界に電磁波が降り注いだ。そのとき以来、 世界は腐り始めたのだ。その電磁波をひきよせたのは、自分の生命 の寂しさゆえだ。 一人がゆえにだ。 そのために皆と共に滅びようとしたのだ。 やがて、この腐肉の意識の中にすこしずつ、寂寥王の深い寂容態 が押し寄せて浸透していった。 王は考える、 この腐肉たちの苦しみを解消する方法は。もし、彼 らをもとに戻すことができるならば。 (続く) 1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・●山田企画事務所 マンガ家になる塾 「マンガ家になる塾」ドリル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.09.30 22:43:04
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