テーマ:楽しいNY生活(436)
カテゴリ:語学のコツ
さいきんベトナム関連の英文記事を読んでいると、
grant permanent normal trade relations (PNTR) status to Vietnam (ベトナムに対して永続的正常通商関係(PNTR)待遇をみとめる) というような形で PNTR という略語が何度か出てきた。 何じゃい、こりゃ、と調べてみたら、アメリカ以外の国では most-favoured-nation (MFN) treatment と呼ばれるところの 「最恵国待遇」のことだった。 Wikipedia で Normal Trade Relations の項を見たら、 米国でも以前は most favored nation (MFN) status という用語を使っていたのだが、 これが適用されない国が極々限られていることから、 「圧倒的多数の通常の国であるだけで "most favored"(“最”恵)はあるまいよ」 ということで平成10年に用語を normal trade relations (NTR) status に変更したのだ、とあった。 まあ、日本語としての用語は「最恵国待遇」のまま変わらないのだろう。 米国が英語呼称を変えただけで、日本語における外交一般用語を変えねばならないわけではないからね。 ベトナムが米国から最恵国待遇を受けるようになると、残る例外国は朝鮮国とキューバのみ。 ここで横道にそれるが、しばしば見る俗論に 「隣国どうしは仲が良いのが本来の姿だ」 というのがあるけれど、そんなことを大前提にふりかざす論者のことを、かねてよりわたしはバカにしている。 (たいてい、そこで読むのをやめて、他に移る。) 米国とキューバが、いい例だ。 「隣国だから善隣外交がなければならない」と思い込みで動くのは幼稚だ。 だいたい、お互い譲れないことが数多くあるから、一国にならずに二国のままでいるのが「隣国」というものだ。 隣国どうしが、田舎政治家が想定するようなベタベタした仲良しどうしだったら、古代か中世かいずれかの時点で一国になってしまっているだろう。 だから、そもそも隣国どうしというのは、離れた国よりも、より多くの深刻な不一致点があるのが、そもそも定義からして当然なのである。 だから、仲が悪いのが隣国どうしの通常の関係なのであって、隣国との不仲を嘆くのは馬鹿げている。 不仲が正常であって、その正常関係にありつつ破滅的な結果が生れないように調整するのが外交というものだ。 「外交」の手触りは、ベタベタしていない。 サラサラしているはずだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 16, 2006 07:59:49 AM
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