カテゴリ:科学技術に驚く
職場の4人が豚カツを食いながら考えた。
飛行機のジェットエンジンに鳥が吸い込まれないように、なぜエンジンの前面に金網を付けないのだろう。 ラガーディア空港を飛び立ち、左右のエンジンに鳥を吸い込んで推力を失い、ハドソン川へ不時着したUSエアウェイズ機のニュースがあった日の昼飯時のことである。 時速500キロのスピードでドーンとぶつかって来る肉塊。 1羽ていどなら一瞬のうちにミンチにしてオシマイだ。 ジェットエンジンが止まるほどだから、鳥の群れに突っ込んだのだ。 次々にぶち当たる肉塊の衝撃に、ジェットエンジンのブレードが耐えられなかったのだろう。 それならジェットエンジンの前面に金網をつけてやるか、あるいはもし金網では鳥の衝撃に耐えられないのであれば、頑丈な棒でできた防護用の格子(こうし)をジェットエンジンの前面に付ければいいではないか。 それとも、防護用格子をつけると気流も阻害されて吸気が十分でなくなり、ジェットエンジンの機能に悪影響があるとでもいうのだろうか……。 ……ふと、4人のうちの1人が言った。 「金網や防護用の格子柵が鳥を撥ね返せているうちはいいけれど、1ヶ所でも壊れて金属片が後ろに飛んだらどうなる?」 みな、即座に理解した。 4人はみな、発電事業に従事している。 仕事柄、発電所の蒸気タービンやガスタービンが回転しているところに異物が混入するとブレードが がたがた に損傷して大トラブルになることを、身に沁みて知っている。 回転するタービン翼に鳥の肉塊がぶち当たる分には、空飛ぶ挽き肉マシンとして働き続けられればよい。 しかし、肉塊をジェットエンジンに入れまいと金網なり格子なりを設けたとして、99羽までうまく撥ね返せたとしても、100羽目の衝撃で金網や格子が壊れて金網のかけらや格子の破片がエンジンに飛び込んだらどうなるか。 金網のかけらなどの金属片がブレードに当たれば、致命的だ。 ジェットエンジンはあっという間に壊れる。 だから、世界中で何百羽、何千羽の鳥を吸い込もうとも、ジェットエンジンの前面にカバーを付けたりせず、オープンなままなのだ。 腑に落ちたから、豚カツが一層うまかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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もうお気づきかも知れませんが、
金網が壊れなくても、鳥の体が吸気部を塞ぎ、 エンジン内が真空状態になりエンジントラブルになるようです。 私にとっても大きな疑問でした。 失礼いたしました。 (Jan 17, 2009 12:51:51 AM)
寺子屋ありがとう さん、ご教示深謝です。
たしかにジェットエンジンの前面は猛烈な勢いで燃焼用の空気をコンプレッサーで吸い込んでいますから、ここに格子を設けて鳥たちが接触したら、真空掃除機にスポッと吸い付いた物体みたいに、鳥たちは格子に貼り付いてしまいますね。 とすると、飛行機がジェットエンジンの前面に鳥たちをてんこ盛りに抱えて飛び、やがて吸引できる空気が不足してエンジントラブルで失速……ということになるわけですね。 ジェットエンジンに衝突したらどの道、かわいそうだが鳥たちは即死だから、空飛ぶ肉挽き機で焼鳥にするしかないのでしょう。 (たぶん瞬時にミンチとなり高熱で炭化する……。) (Jan 17, 2009 12:36:47 PM)
ジェットエンジン開発者から聞いた話です。
安全性基準でバードストライクの項目があり、突入速度、鳥の大きさ、毎分何羽とかの基準を壊れずに動き続ける強さが必要になります。 基準には試験方法までは書かれていないために、鳥をエンジンにどう突っ込むか???になったそうで、エンジンの設計より悩んだとか。 (Jan 17, 2009 08:16:30 PM)
空気取り入れ口からエンジンを点検させると、エンジン直前のスクリーン(Fー86Fには異物混入を避けるためのスクリーンがついていて、着陸直前に下ろして使うことになっていた)に鴨がまるまる一羽引っかかっていた。(佐藤守氏のブログより)
(Jan 18, 2009 03:41:49 PM)
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