テーマ:本のある暮らし(3300)
カテゴリ:ぼくの疑問符
一夜明けても悔やまれるので、書く。
あぁ あのとき、ひとこと注意をすればよかったのに、と。 成田空港の書店の洋書コーナー。日本関連の豪華写真集が平積みになっている。 出張のたびに寄る。きのうの午後も寄った。 そしたら、2メートルほど離れたところから、魚が跳ねるような音がした。 はっとそちらを見ると、明治期の日本を撮った写真をあつめた豪華本を、素足にサンダル姿の男がめくっていた。 今度ぞんざいにページをめくったら注意してやろうと、しばらく横目で見ていた。 左の親指の腹の部分をページ面にぐいっと押し付けるようにしては、ページをめくっているのである。 紙の質によっては、確実にページの隅に指紋がついて売り物にならなくなるパターンだ。 ひとこと声を掛けようかどうか悩んだ。わたしは、お節介男。 劇場へ行っても、音をたてる客へ幕間に注意のことばをかける。 だいたい3回行けば2回はこれをやる。 そのくらい、世の中のマナーは なってない。 注意のことばをかけても、後味の悪いことがたまにある。 今回の成田空港の書店の「指腹めくり男」は、注意のことばをかけるべきボーダーラインの線上にあった。 けっきょく、 「こいつと言い争いになったらイヤだな」 という気持ちに傾いて、その場を離れてしまった。 他の店で最新式の電子手帳を見ているうち、やはりさっきの 「指腹めくり男」 のことが気になり、書店に戻ってみた。 もう、指腹めくり男はいなかった。 * いま思えば、こんなことばを掛ければよかった。 「あのぉ、すみません。差し出がましいようなんですが、 こういう分厚い紙の本をめくられるときは、 指の腹をページ面におしつけて めくらずに、 こうやって紙の端っこのところから そっとめくると、めくりやすいですよ。 本も汚れませんし」 不心得なひとの大半は、確信犯ではなく常識がないだけ。 その常識をいちど伝えれば、そのひとの以後数十年間のマナーは向上する。 不心得なひとがいるから、高級本が次々にシュリンクパックされて店頭にならぶようになる。 表紙しか見えないのでは、アマゾンで本を買うのと同じになってしまう。 気持ちのいい書店が機能するためには、ページのめくり方のマナーの向上が欠かせない。 テレビのスポット広告で啓発してもらえないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 19, 2009 08:40:21 AM
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