テーマ:政治について(19767)
カテゴリ:日本の政治
わたしはそもそも民主党政権に期待したことは1秒もない。過去に書いてきたことを読めばわかる。
自民党は次世代のスターをつくるのを怠ったのが たたって、下野した。 しかし、わたしの持論は変わらない。国民の常識にもとづいた自民党の政治に新時代を上塗りしてゆくしか、道はない。 かつてこれは、迂遠(うえん)な道のように聞こえたろう。しかし、小沢・鳩山・菅という 「戦後の滞貨」 がつくりだした日本の政治の空白の年月をふりかえれば、どうだ。 民主党ごときに投票した無責任な人々の選んだ道こそ、おおいに遠回りだったことがわかる。 海江田万里氏は、野末陳平氏の 「付き人(つきびと)」 として生きるのが政治の原点だった。あの “へいこら” した物腰が語る。 かりに海江田首相となれば、半病人・小沢一郎氏の付き人として矢よけとなり小沢一郎復権に道をつけて、息絶えるのではないか。 付き人首相。とうてい年は越せまい。 ■ 国民が投げやりな気持ちにならないようにする ■ 明治元年3月14日に明治天皇が誓った 「五箇条の誓文(せいもん)」。 ≪広く会議を興(おこ)し、万機公論に決すべし≫ の一節に覚えがあるかたも多いだろう。 その第3条の後半に、こんなくだりがある。 ≪……人心をして倦(う)まざらしめん事を要す。≫ 訳せば、こうなる。 「国民が投げやりな気持ちにならないようにしなければならない」 「何を言ったところでどうしようもない、などと人々が考える世の中であってはならない」 わずか5ヶ条のきわめて短い政治宣言に、明治元年の日本人はなぜこんなくだりを入れたのか、前から不思議に思っていた。 混迷のなか再読してつくづく、「人心をして倦まざらしめん」 ことこそ、政治のキモだと思う。 由利公正(ゆり・きみまさ)のつくった もともとの原案では、じつはこの項は第1条にあり、こうあった: ≪庶民 志を遂げ、人心をして倦まざらしむるを欲す。≫ (注:引用原文のカタカナはひらがな書きに改め、濁点を補 った。) ■ スジガネで拾う火中の栗 ■ 人心が倦まない、国民に投げやりな思いを抱かせない政治の復活には、総選挙の実施しかない。 それが大前提だが、きょうの民主代表選の5名のなかで、わたしが誰を推すかを問われれば、野田佳彦氏である。 野田氏は 「言いたいことがあれば、首相になってから言えばよい」 とでもアドバイスを受けているのか、せっかく財務相になっても発言を控えている。 一般に財務相の発言はメディアで取り上げられることが多いものだが、それに比べて、野田財務相の存在感は薄かった。これにわたしは大いに不満だ。 しかし、闘うべきところは譲らないというスジガネは通っている。 民主党代表選でも、消費税率引上げという火中の栗を拾おうとする姿勢を変えないところは評価したい。 ■ 小泉純一郎首相の答弁を引き出した ■ 野田佳彦氏をもっとも高く評価できるのは、平成17年に内閣へ提出した質問主意書である。 質問主意書では、いわゆるA級戦犯について 「戦争犯罪人ではない」 という考えを示し、 ときの小泉純一郎首相から 「その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」 という答辯書を引き出している。 「質問主意書の全文」 「答辯書の全文」 その後が続かなかったのには落胆させられたが、野田氏のスジガネは評価できる。 きのう8月28日に記者に問われて野田氏は 「政府の一員なので、その答辯書を尊重することが基本的な立場だ」 と述べている (日経8月29日2面ベタ記事)。 この辺の展開もしたたかだ。そもそもこの問題は一言で語れるものではない、複雑な内容なのだから、「政府の答辯書を読んでくれ」 というのは上手な対応だ。 (なお、政府の答辯書の内容にわたしは不満な箇所もあるが、それは別のところで論じる。) ■ さて、海江田万里氏だが ■ 中国に心酔したジャーナリストの父親に、万里の長城にあやかって名前をつけられた海江田万里氏。 さる7月29日の経済産業委員会の答辯で、経産相をいつ辞めるかとしつこく問われて取り乱した海江田万里氏の姿を 「号泣」 と形容するのはさすがに不正確だ。 しかし、↓ この程度の追及で理性を失って自嘲に走る “正直者” に、国益をかけて闘う任務はとうてい務まるまい。スジガネが入っとらん。 海江田経産相の答辯の模様、ダイジェスト (ちなみに、海江田氏が答弁の冒頭で自ら魯迅の詩を引用しようとして詰まってしまう様子もお粗末。) かりに海江田氏が首相になっても、小沢一郎氏のほうを向いた政治運営だ。“へいこら” とした自己否定が出発点となる。 首相答辯のたびに小沢一郎氏との関係を問われては取り乱し、本務が務まらない。 国を代表して自嘲の辯をふりまく首相が誕生すれば、 「あの菅直人氏より劣る首相が、存在しうるとはオドロキだ」 と言われるのも時間の問題だろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 29, 2011 07:59:03 AM
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