6309345 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
Jul 20, 2015
XML
テーマ:読書(8206)
カテゴリ:詩詞・短歌・俳句
与謝蕪村の
菜 の 花 や 月 は 東 に 日 は 西 に
の心境・心象を英国人ワーズワースが詩にうたうとしたら、どんな作品になったか。

オーストラリア出身の Claire Maree さんが実作した。

Behold, mustard flowers unfold
Beneath the moon which rising high
Softly lights as it climbs
The edges of the eastern sky
And still the sun remains aglow
As it lingers west, so low
In the corner of the field
Where flowers their beauty wield

’Tis such a sight as to be seen
O’er farmhouse meadows afar
As day says her last farewell
Sun and moon together gleam
Twinned they shine upon the face
Of spring flowers in their place
Greeted by the rustling breeze
Which sweeps from Vale through fine new leaves

Fluttering blossoms, ne’er confused
Whence to show their golden eyes
For moon and sun are friends this day
In a field where happiness lies
Nestled in a bed of gold
Such beauty I’ve yet to behold
East and west join to be one
The radiance of moon and sun

I pause perchance to catch a glance
Of Mother Nature’s playful dance
Should the night be ne’er to come
My wand’ring soul shall hitherforth
Stay within the charms of light
Trapped in this time not day not night
Beside the flowers as they grow
Beneath the moon and sun that glow


ほれぼれするようなワーズワース調。風景美を分析してみせ、かつ分析者としての「わたし」が文面に登場する。2分間のビデオクリップ。

読んだのは、この本で。数ある小論のひとつ、エリス俊子 「『菜の花』への眼差し 『外』から眺めた日本語について」(165~179頁)


小林康夫・船曳建夫 編『新・知の技法』(東京大学出版会、平成10年刊)

この小論の後半で知ったのは、蕪村の句が陶淵明の五言絶句を俳諧化したものだという話。

白 日 淪 西 阿
素 月 出 東 嶺
遥 遥 万 里 輝
蕩 蕩 空 中 景


輝く日は西の丘に沈み
くもりなき月は東の嶺に出る
遥か遥かに万里照らされ
広大なる みそらの眺め 

蕪村の俳句がちょうど色紙に収まりそうなのに比べ、陶淵明の五言絶句は一幅ないし対(つい)の掛軸にしたくなる。

ひとつの心象が絶句、俳諧、英詩のそれぞれの舞台にどう収まるものか、みごとな比較だ。

こうして見ると、俳句という形式が成立しうるということが奇跡のようにも思える。
俳句の強みは、それが単なる17音ではなく、連句という長い流転の世界のはじまりを告げる「発句(ほっく)」として出発したことにあるのだろう。

少なくとも芭蕉や蕪村の時代には、発句(ほっく)は連句の流転を暗示する形式であり、その気構えをもって作品がつくられた。
その出自こそが、俳句のもつ「広がり」のちからを生んでいるのではないか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Jul 20, 2015 07:11:05 PM
コメント(0) | コメントを書く


PR

フリーページ

泉ユキヲの観た・読んだメモ 42


観劇・読書メモ 1


観劇・読書メモ 2


観劇・読書メモ 3


観劇・読書メモ 4


観劇・読書メモ 5


観劇・読書メモ 6


観劇・読書メモ 7


観劇・読書メモ 8


観劇・読書メモ 9


観劇・読書メモ 10


観劇・読書メモ 11


観劇・読書メモ 12


観劇・読書メモ 13


観劇・読書メモ 14


観劇・読書メモ 15


観劇・読書メモ 16


観劇・読書メモ 17


観劇・読書メモ 18


観劇・読書メモ 19


観劇・読書メモ 20


観劇・読書メモ 21


観劇・読書メモ 22


観劇・読書メモ 23


観劇・読書メモ 24


観劇・読書メモ 25


観劇・読書メモ 26


観劇・読書メモ 27


観劇・読書メモ 28


観劇・読書メモ 29


観劇・読書メモ 30


観劇・読書メモ 31


読書メモ 32


読書メモ 33


34 観た・読んだメモ


35 観た・読んだメモ


36 観た・読んだメモ


37 観た・読んだメモ


38 観た・読んだメモ


39 観た・読んだメモ


40 観た・読んだメモ


41 観た・読んだメモ


購読雑誌リストアップ


泉ユキヲの美術館・画廊メモ 了


美術館・画廊メモ 1


美術館・画廊メモ 2


美術館・画廊メモ 3


美術館・画廊メモ 4


美術館・画廊メモ 5


美術館・画廊メモ 6


美術展・画廊メモ 7


美術館・画廊メモ 8


美術館・画廊メモ 9


美術館・画廊メモ 10


美術館・画廊メモ 11


美術館・画廊メモ 12


美術館・画廊メモ 13


美術館・画廊メモ 14


美術館・画廊メモ 15


美術館・画廊メモ 16


美術館・画廊メモ 17


美術館・画廊メモ 18


美術館・画廊メモ 19


美術館・画廊メモ 20


美術館・画廊メモ 21


美術館・画廊メモ 22


美術館・画廊メモ 23


美術館・画廊メモ 24


美術館・画廊メモ 25


美術館・画廊メモ 26


美術館・画廊メモ 27


美術館・画廊メモ 28


美術館・画廊メモ 29


美術館・画廊メモ 30


美術館・画廊メモ 31


美術館・画廊メモ 32


美術館・画廊メモ 33


美術館・画廊メモ 34


美術館・画廊メモ 35


美術館・画廊メモ 36


美術館・画廊メモ 37


美術館・画廊メモ 38


泉幸男のブックマーク


トランクルーム 1


トランクルーム 2


旧ホームページ掲載の記事から


中国詩人 牛 漢 の作品「半身の木」


松山市周辺の新たな鉄道整備案


伊澄航一俳句館


南川 航 詩集『ハイウェイの木まで』


「平成かなづかひ」のご説明


ぼくの小学一年生ケッサク作文


日記/記事の投稿

プロフィール

Izumi Yukio

Izumi Yukio

お気に入りブログ

田村洋子 木版画展 T… New! ギャラリーMorningさん

雑誌『DVD&動画配信… New! ITOYAさん

2024年4月一時帰… New! masapon55さん

2024年 桜の奈良に出… New! アップラウンジさん

本日の写真は大吉山… New! ヨンミョン1029さん

昭和の日奉祝講演会… seimei杉田さん

マシュー・ボーンの… みなみ*さん

3/31「風とロック」… ききみみやさん

江戸東京たてもの園 Urara0115さん

ミュージカルMozart… YYCafeさん

コメント新着

 リベラリスト@ Re:特定アジア、「特亜」という用語(11/04) 日本の繁栄を僻んでる? 今では日本が中国…
 通りすがり@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 私は30代後半ですが、中学生の頃から手書…
 名無し@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 嫌味ったらしい文章ですね、こんなメール…
 佐々木@ Re:リニア新幹線の迂回ルートごり押しは、長野県の恥だ(06/21) 11年越しの返信を失礼します。 現在、静岡…
 背番号のないエース0829@ 第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…

バックナンバー

Apr , 2024
Mar , 2024
Feb , 2024
Jan , 2024
Dec , 2023
Nov , 2023
Oct , 2023
Sep , 2023

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.