カテゴリ:物語り
インドの南方にある大きな島国スリランカでは、象が活躍しています。 トラックが入れないようなジャングルでも象は難なく通ることが出来ます。 材木や果実を運んだり、観光客の相手をしたり、大活躍です。 ハリーと呼ばれるオス象も働き者でした。 ハリーは生まれてすぐに親象から引き離され、象使いにより育てられました。 幼い頃から象使いから餌を十分に与えられ大きくなり、そして立派に働く大人の象となりました。 一方、アフリカの平原には、ハリーと同い年のボンボが居ました。 ボンボは野生の象です。幼いころから人間と係わり合いがないから、生きる術は周りの大人の象から教わった。 食べ物や水が無い時は、どうすべきか、何処に行くべきかを教わった。 不幸はふたりの象に、たまたま同時に起きた。 ハリーのオーナーは破産してしまい、ハリーを維持出来なくなってしまったのだ。 そして、ボンボの暮らすアフリカでは、その年雨が異常に少なく、食べ物の草が少なくなりすぎてしまったのだ。 ハリーは象使いに食べ物をせがんだ。 はじめは鼻を持ち上げたりするジェスチャー。それでもくれないので2本足立ちの芸。 「食べ物をくださいよー」そう言い続けた。 ボンボは生きるために考えた。 「こんな時、どうする?」 答えは分かっていた。何百キロの彼方まで旅に出ることだ。 飲まず食わず旅は過酷だ。その巨体を支えきれず死んでいく仲間も見たことがある。 今回も、今向かっている方向が正しいという保証がない。 それでも“黙って進むしかないのだ。” いくら頼んでも食べ物が与えられないので、ハリーはついにキレタ。 大声で吠え、象使いを睨みつけた。 象使いは「食べ物は・・・無いのだよ」となだめたが、 ハリーの怒りは納まらなかった。 近寄ってきた象使いを壁に押し付けてしまったのだ。 象が本気になったら人間なんてイチコロだ。 幼い頃から世話をいただいた象使いを殺めてしまった。 でも、食べ物は手に入らなかった。 オーナーは「もう、勝手にしろ。」と、ハリーを原野に捨てた。 自由になったハリーは、どうしてよいのか分からず、誰もいないのに2本足立ちの芸を繰り返したり、怒って吠えたりした。 ――――――――――――――― ハリーにとって、食べ物とは与えられるもの。 ボンボにとって、食べ物とは自分で獲得するもの。 同じ“食べ物”という事実も、認識の違いで行動が大きく変わりますね。 食べ物を 仕事や給与 象使いを 会社 人間、オーナーを 国家 ハリーを 工場派遣労働者 ボンボを チャレンジマン として読み直してみてください。 博学研究家 横尾けいすけ Yokoo・D.B.Keisuke yokoo@mopera.net お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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