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カテゴリ:BLマンガ
オノナツメさんのデフォルメ感が好きだ。
昨秋、遅ればせながら『リストランテ・パラディーゾ』で自分の中でブレイクしたオノナツメさん。なんと時代物も描いていると知って、いてもたってもいられず新刊で購入。 あの絵でサムライ? 江戸時代? なんか青い目のガイジンのコスプレみたいになりはしないかと不安だったものの、一気にのめりこんでしまったよ。 他の作品もそうだけど人物造形がとにかく秀逸。出てくる人すべてが。 特に主人公の政さん。すべてにおいて自信のない侍ってのは、映画やなんかでも観たことがあるけど、リアルだ。猫背、挙動不審、冷や汗・脂汗。 気迫ですでに町人に負けていて、二本差しで漬物番。ああかわいい。つぼです。どつぼ。 7作入っているけど、1作目と7作目ではすでに線が変わっている。どんどん略されてシンプルになって。第一、あの一見粗雑そうでぶっきらぼうな線で、着流し姿が描けるのかと思ったら、ばっちり決まってるし。あるBL系の漫画家さんが某誌で連載している盲目の香道家の作品なんて、ベテランさんのはずなのに、着物が全然描けていなくて本を投げ捨てそうになった。それぐらい着物姿で動きを表すのは難しいはずなのに。 背景すらフリーハンドで描いているところもあって、室内なんて魚眼効果が出ていたりする。 弥一さんはもろガイジンの造形のまんま、腕の立つ浪人(深川の岡場所で居候。うちの近所かも)だし、坊主の元盗賊とか、漬物作りのうまい謎のご隠居とか、妖艶な美女とか。 ああそうか、基本は仕掛け人・仕置き人シリーズなのかな。いちおうテンプレの人物配置なんだ。 政さんは「木偶の棒」という表現がぴったりの立ち姿で、目と目の間が離れているギョロ目で、眉尻と口角が下がっているという政さんの造形は、藤田まこと演じる「婿どの」に通じるところもある。 おそらく少年・青年誌では、それこそ白土三平の時代から、時代劇漫画なんて山のようにあるだろうけど、女性対象でしかもやおい臭漂うつくりになっている作品は少なかった。 佐々木久美子さんの「月暈」はお話はよかったけど絵が合わないと思ったし、春菊の一連の時代物はあれはドラマというよりコメディだし。 ドラマとして面白くて、続きが読みたくなるようなこの手の作品は少なかったように思う。 オノナツメさん、おそらくいろんな人から影響を受けているんだろうけど、それをほとんど感じさせないほど自分の線、表現、お話になっている。トーンをほとんど使わずに、あのシンプルな線で喜怒哀楽を表しているあたり見事。よおく観ると、鼻腔とか目の中とかにちょっぴり網が乗っていたりする。 なにより「某(それがし)」「~ござる」使いに萌えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.08 15:06:30
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