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カテゴリ:BL小説
水壬さんの作品のなかでもかなり人気のあったシリーズらしい。でも版元がつぶれちゃったので入手困難らしく、4冊揃うまでに時間がかかった。ところが苦手なやくざものだし、黒ラキ(エッチ多目)だしで、なかなか手に取れなかった。
でも年末に読んだ『ラブシーン』で、あのひどい陵辱シーンを通過しちゃったら、なんか耐性がついたみたいで、楽しく読めたよ(笑)。人間、なんにでも慣れるもんだな。 汚い言葉遣いと暴力が苦手な自分には、やくざものは禁忌ジャンルなんだけど、水壬さんだと読めてしまう。これって愛?(笑)。 で、1巻である。ここで登場する脇が2~4巻では主役を張るわけね。一度世界観つくってしまうと、人間変えればいいだけだから、シリーズ化するとお話作りやすいのは確か。でも、よほど人物設定変えないと、どうしたって似てくるから普通は難しいと思う。このシリーズといい「エスコート」シリーズといい、この手法が成功するんだから、やっぱり力のある作家さんなんだろう。 この作品の主人公は千住征鷹(いかにもやくざっぽい名前だ。あ、当然攻め)と朝木遥(高校教師・例によって女性名の受け)。プロローグとエピローグが現在視点で、本体が過去という、水壬さんお得意の構成。本体部分は、なんら接点のない二人の高校生が寮で同室になることで出会って、受けが一方的に陵辱され、抵抗できないまま受け入れて、最初は頭では否定していても、そのうちそんなひどいことをした攻めを無視できなくなって魅かれていくというもの。DV夫と別れられない人妻のような。「どんなにひどいことされても、いいところもある人なんです」っていう(笑)。なんだっけこういうの。ストックホルム症候群? そんなこんなの3年間で出来上がった関係が、進学を機にいったん離れ離れになって、十年後に再会。攻めは受けの担任の生徒の親だったというミラクル展開。 ラストは、いきなり崖から突き落とされたような妙な読後感だった。十年目の再会で驚く受けに、攻めはさっそく放課後の教室でいたして、「俺のものになれ」みたいなことを言っちゃう。学校の教室で大人二人の男がそんなことしたら問題だろうってことはお約束で歯牙にもかけられず、受けってばあっさり職を捨てて攻めのところに走る。これってかけおち?(笑)。いや、十年間忘れていたものが、一気によみがえってきたのはわかるけどさ。言ってほしかった言葉も言ってもらえそうでよかったけどさ。 でも、再開後がジェットコースターなんだ。出会ってやられておしまい。あらら~ガラガラガラ(崖から落ちる音)。これから二人の生活がはじまるのに、しっとりしたラストじゃないので驚いた。そうか、これは(続く)なんだ! そうだよ。でも面白かったんだこれ。 攻めの息子の話になる次の作品はもっとびっくり。跡取り息子には親同様、子供の頃から将来片腕となるべき同年の側近が常にそばにいる。ずっと一緒にいるもんだから、彼の前だけでは子供のように甘えることができる。年頃になった跡取りは当然、性的な欲求を彼に要望する。すべて面倒みるならセックスの相手もしろ、と。親分の息子の要望は、つまりは命令だ。 さあ困った。男性経験はないし、親分の息子だから失礼があってはいけないと悩む攻め(この時点で、当然のように跡取りが受けなのが笑える)。そこで親分さん考えました。「そうだ、実地見聞させて実習させてやろう!」と(笑)。 もう、ものすごい羞恥プレイ。かつての担任が、自分の主人の父親に陵辱されるシーンを間近に見聞するだけでなく、手伝ったりしているし。こんなの初めて読んだよ。3Pには違いないけど、教育の場になっているなんて新鮮だよ! 奥が深いよBL!(笑)。 これは笑ってもいいのかな? うん。 『コルセーア』で、アヤースが腰が立たなくなったカナーレをお風呂に入れてあげるシーンを希望したファンがいらしたけど、おまけ短編で、この手はすでに使ってましたよ(笑)。 やっぱりすごいよ水壬さん。萌えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.08 21:06:25
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