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カテゴリ:BL小説
『ファイナルカット』水壬楓子 なんか久しぶりにBL小説をアップするような気がする。フィクションはもう最近ずっとBLばかりだったけど、柴田元幸さんが編んだ短編アンソロジーが面白くて、実は久々に翻訳物に浮気をしていた。あー久々に原文読みたくなる。が、緑青吹くほどさび付いた英語力では時間がかかりすぎる。 で、ダラダラと読んでいた『ファイナルカット』に戻ってとりあえず最後まで読み切る。 48歳・映画監督×33歳・俳優 おやじだあ。でも違和感なし。 BLマンガでは、ありえないほど若作りでもオヤジものは結構あるのに、小説は経験値が少ないせいか、すんごいおやじに出会ったことがない。 でも水壬さんの作品には確か50代の攻めもいたはず。学園ものの小説が苦手の自分には、おやじどんどんこいだ。 このシリーズは前作『ラブシーン』からで、気がつくとフォモだらけの芸能界に……。水壬さんて、こういうシリーズ展開が異様に多い(いや、他の人もそうなのかもしれないけど)。ムーンリットシリーズもエスコートシリーズも、晴れ男・雨男も続編はチョイ役からの発展だった。このままいくと世界中の男はみんなフォモで、女は不要になってしまうのだが。 でもアホっぽくなくて、過剰すぎず物足りなくも無い、適度な節度があるかと思えばエチーが濃かったり、エロエロしいかと思えば、次は童話みたいなファンタジーでと、なんだかやたらとストライクゾーンが広い作家さんだなあ。 この作品は、オヤジとパーフェクトナイスガイの割にはエチーはそれほど濃くない気が。自分的には背景の書き込み不足というか、周辺人物も少なくて、ちょっと物足りなかったかな。でも安心して読める、安定した作家さんという印象。コンプリ作家さんの一人だ。 48歳の男が、これほど色恋をはっきり口に出すとは思えないけど、これは受けさんがとにかくじっと待つタイプなので、めんどくさがりの攻めも動かざるを得ないところがツボ。プライド魔人のはずの受けさんが、この浮名垂れ流しの不良中年にだけは靴すら舐めかねない献身・執着ぶりがまたなんとも……。 絵描きさんが、マンガのほうは嫌いじゃないけど、この作品には合わない気がするのは気のせいかしら(たぶんそうだろう)。水壬さん、このシリーズでもう1冊書くらしいけど、今度は警察官僚総フォモの予感……。タカムラーの血が騒ぐかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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