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<ヒントはノーミソの中に>
今日は、ただただ、私の勉強のための、勉強記録です。ご存知の方も多いと思いますが、「幼児教育と脳」澤口俊之著を読んでの、要約レポートです。後で、ファイルに移します。 微妙に、私の意見が混じるだろうことをご容赦ください。 <子どもたちに何が起きているの?> 子どもたちの様子が異常だと言われています。「集団生活ができない」「他人との付き合い方がわからない」だけでなく、自主性・主体性の無さ、夢、計画、達成感、幸福感の乏しさなど、単なる「道徳の問題」を超えたもの、何か人間の仕組みが故障したんじゃないかと思えることが多くなっています。このままでは社会崩壊です。 昔から「今時の若いものは」とグチを言う年寄はいましたが、それとは別のレベルの異常さのようです。学校の現場におられる先生方は、肌で実感されていることです。 <科学的な原因究明を> これまで教育は、「教育学」を中心として心理学や医学、また社会学や哲学の発展により大きな成果を上げてきました。 しかし、今日の危機の原因にズバリと迫る科学的な切り口は、まだ発表されていないんじゃないでしょうか。世には様々な教育論や育児書が出ていますが、教育界はまだまだ従来の古い型から脱皮していません。このままですと、単なる精神主義に流れてしまい、親や教育者へのお説教で終わってしまいます。 <現代脳科学の成果> しかし、ここに来て、全く新しいドアが開こうとしています。ようやく現代の脳科学(とくに認知脳科学)は大きな意味での知性の問題に切りこむことができるようになってきたからです。認知心理学も含めた「知性の脳内システム」が解明されだしているのです。 脳科学では「心」も大きな意味での「知性」ととらえます。その中には、いわゆる「知能」IQのほかにEQともよばれる感情的知性や運動を行う知性、それに性格や理性などを含む「自我」も知性の一つとして含まれます。。 脳科学の観点から見れば、知性(心)はすべて脳の(特殊な)活動、脳内プロセスとなります。そして、教育とは「脳教育」であり、脳を豊かに育むことに他ならないのです。 【知性は8つあり、それぞれ独立】 現代脳科学は知性を以下のように見ています。 1. 人間の知性は階層があり、8つの知性が並列しています。 言語的知性、 絵画的知性、 空間的知性、 論理数学的知性、 音楽的知性、 身体運動的知性、 社会的知性、 感情的知性です。 それぞれがある程度独立して発達します。そして それらは実際に、脳の中に並列階層的な神経システムとして存在しています。 2. さらに、これらの複数の知性を総括しコントロールする知性、いわば「監督」の部分があります。いわゆる「自我」の部分です。これも脳内にシステムとして存在します。 3. この多重知性はそれぞれ自己組織化(自発的に発達)をする性質があります。 4. この多重知性フレームは60%遺伝しますが、環境によって柔軟に変化します。 この変化は幼少期に著しい可能性をもっています。 5. 神経システムの自発的発達を促す動力は、「好奇心」と「目的をもつ力」です。 6. 人類の最も重要で本質的な能力は「監督」としての部分の能力であり、この能力は脳の前頭連合野という場所と結びついています。そしてこれは、社会生活をうまく行うために進化してきたようで、社会的知性のパートと、感情的知性のパートと重なっています。 <ということは…> それで、このような仮説が立てられます。 1. それぞれの知性をまんべんなく、幼少期から育てるべきこと。(0歳~12歳) 2. それぞれの知性を意識的にそれぞれの方法で教育すべきであること。 3. 知性の発達の原理は「自己組織化」にあるので、「押しつけ」は良くないこと。 4. しかし、自発性に任せればよいのでもなく「適切な環境」を用意する必要があること。 5. 幼児からの「適切な環境」によりそれぞれの分野の英才教育は可能と思われること。 6. だが、IQ偏重の英才教育は、IQで測定できない重要な知性を犠牲にしやすいこと。 7. 自発性を育てれば、「自発的英才教育」が可能となること。 A)この自発性を育てるための動力の第一レベルが「好奇心」です。そして好奇心の遺伝子は厳然として存在します。 好奇心を育てるには次の二つにまとめられます。 a)好奇心を削ぐような言動・教育を極力抑える。 子どもは遺伝子の力で、危険なものにも首を突っ込むが、その度に抑えていては別の事柄に対する好奇心も育たない。 好奇心も脳の活動であり、「活動すればするほど発達する」「活動レベルが下がると萎縮する」という原理をもっているからです。 b)好奇心を積極的に伸ばすには、「豊かな環境」「多様な環境」にさらす必要があります。 もちろん、環境だけでなく、好奇心をいっしょに育てる親や教師の態度と能力が求められるのですが。(周囲の大人の好奇心や能力に大きく依存) B)自発性を育てる第二レベルは「目的志向性」です。 目的・夢をもたせることも脳科学的な理由があり、好奇心と同様に「働くほど発達する」「幼少期に最も発達する」という性質がある。 ここで重要なのは、夢を育てる教育であり、誉めて、達成感をもたせること。 8. 最も重要な監督のパートの発達は、好奇心・目的志向性と密接に関係し、創造性・集中力および幸福感・達成感の中心です。 また、社会的知性、感情的知性と複合していることからも、いわゆる「人間らしさ」はこの部分「前頭連合野」の発達にかかわっています。 9. この前頭連合野の何らかの機能低下が社会的不適応を引き起こす要因の一つと考えられます。ADHD,自閉症などもこの部分の障害だと見られています。 10. そして、この前頭連合野「監督」のパートを育てるためにふさわしい環境とは 社会的理性面から言うと「多様で豊かな人間関係」であるそうなのです! ※ 父性・母性とたっぷり接することはもちろん、祖父・祖母、叔父・叔母、兄弟、いとこ、親戚一同、そして近所の異年令の子どもグループ。その中にはガキ大将もいるでしょう。また、地域のおじさん、おばさんも重要なファクターと考えられます。 人間は何万年と進化をする中で、上記の環境を前提として知性を発達させてきました。 この「あたりまえの普通の環境」こそが必要だったのです。 ところが現代の「普通の環境」は本来の「普通の環境」ではないことは明確です。 <現代の子どもの環境> この特徴は、戦後の日本の大きな流れとしての核家族化、少子化、遊び場の喪失、ファミコン、父親の育児への不参加、女性の社会進出の加速による「主婦」の役割の軽視、近所つきあいの不足を挙げられます。 では、これを補うためにあるはずの保育園や小学校はどうでしょう? まず、「普通の環境」は、単に同年齢の子どもが集まれば良いのではないのです。違った年令の子どもたちが自由につくる集団と、そこでの自由で自発的で複雑な関係がなければならないのです。 例外はあるでしょうが、一般的な学校や保育園の方針は、「自由で自発的で複雑な社会関係」を抑えることこそが重要な教育の役割だと勘違いしているのではないでしょうか。 礼儀正しく整然とした社会関係など「普通の環境」ではないのです。いじめや喧嘩、いざこざ、取っ組み合い、そういった一見ネガティブな関係と、仲良く助け合い、協力し合い、喜び悲しみ合うといったポジティブな関係が入り混じった複雑な社会関係こそが「普通の環境」に近いのです。 <回復の方法> この衰退している 社会的理性を回復させる方法はあるのでしょうか? 幸いなことに、社会的な理性は先天的に遺伝子に組み込まれており、後天的に相当な教育や努力によってようやく身につくものではないのです。環境さえ普通になれば自然に発達する機能をもっているのです。 しかし、現代社会の潮流を食い止めることは至難です。では、どうしたら良いでしょう。まず、脳教育の本質を見極め、意識的に多様な環境を用意すること。幼少期を大切にすること。自発性を促すことを重点とした教育方法に抜本的に変えること。これらは親や教師の自覚だけでも何とかなるはずです。 そして、多様な人間関係は、地域社会が「地域の子どもは地域で育てる」という気概でもってあらゆる大人がそれぞれの角度から子どもたちと接することです。「はてなクラブ」の使命もそこにあると考えている次第です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.03.06 11:53:31
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