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子どもが勉強好きになることが、最も安上がりで、効果の高いことは異論のないところでしょう。
世には、様々な説やテクニックがありますが、それを体系つけてまとめてみたいとの、大それた野心をもって、取り組んでいきたいと思います。 大別して、人間の態度をコントロールするためのアプローチは、昨日までお話しした、エゴ・フィルターへの働きかけと、セルフ・フィルターへの働きかけの二種類あります。 もちろん、本当の人間のフィルターは、二重どころか、三重・四重以上の多層構造を成していて、その最深部は、宇宙のヒミツにまでつながっていると思われます。ですから、本当の根本的な態度変更は、「無」や「空」の境地になり、自分のフィルターを限りなくゼロにしたときに沸き上がってくる、宇宙の根元的な真理に触れたとき、劇的に変わるのでしょう。 しかし、「でしょう」ということであり、寅さんは、まだ、そういう「解脱」は体験しておりません。それに、この類の精神的な話は、いっぱい専門家の方がいらっしゃいますので、マジメに探求される方は、ぜひ、そちらのサイトをご覧ください。そして、ヒントを寅さんにも、お裾分けください。 で、寅さんは、もっと実用主義でいきたいと思います。 お母さんが、店員さんで、お客さんである子どもに、勉強という商品を買わせたいという設定で考えてみましょう。 まず、でっかい看板「勉強ショップ」だけで、お客は来るでしょうか?(勉強させていただきます、とは違いますよ) しかし、実際には、「勉強しろ」のかけ声だけで、子どもは勉強するのが当然だ、と思っている人が大勢います。「看板があるんだから、来て買わないお客が悪いのだ」と言うのです。 これは、昔、よっぽどモノが無く、商品が置いてあるというだけで、お客が頭を下げて売ってもらった「良き時代?」の妄想にいまだにとらわれているのです。 現代、モノはあふれ、情報もあふれ、楽しみもあり余っています。勉強してエラクなることが、唯一の正義だった頃とは違うのです。「勉強」以外の商品がいっぱい魅力的に、他の店には並べてあるのです。これではつぶれて当然ですね。 次に、店員さんは、何を考えるでしょう。そうです。説得です。説得の前に、説教になってしまう店員さんもいますが、これも、論外ですから、飛ばします。 説得は、確かに有効な手段です。すぐに効果が表れます。お客がなぜ商品を買うことがお得なのか、手を替え品を替えして、説明につとめます。お店にとっても、頑張って働いている気分になれます。 これは、主に、エゴ・フィルターに働きかけるアプローチです。なぜ、それを買わなければならないか、をお客にも考えさせます。これで、すぐに「うん、わかった」と商品を買ってくれればいいのですが、そう簡単にはいきません。 説得されれば説得されるほど、人間にはアマノジャクの反発心が働くからです。最後は意地でも、従いたくない、となってしまいます。 そこで、より洗練された、押しつけがましくない、セールステクニックが開発されます。AIDMAなどの反応ステップ作戦です。 注意(Attenntion)→興味(Interest)→欲望(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action) の五つのステップを大切にしていこうという作戦です。 最初は、たとえば「英語」という学びの世界がある、ということに注意を惹きつけることに専念し、次に、「あれ、何だろう?」、「へんなの」「どうしてかな?」と興味を湧かせ、「やってみたい」という欲望をもたせ、どうしたら、それができるのかを記憶させ、行動できる環境へ導くというものです。 これは、有効です。現代の主力のアプローチでしょう。もともと、有能なセールスマンや企業は、これを意識するしないは別として、この段階を踏んでいたと思われます。エゴ・フィルターだけの問題の場合や、まだ情報が少なく、お客がその商品に対するフィルターが薄い場合には、即効性があります。 しかし、既に、心の中に、その商品を拒絶するフィルターがいっぱい入っていて、強固な場合、「説得」は効果を発揮しません。 ついつい肩に力の入った説得になってしまい、反発をくらってしまいます。 そこで表れたのが、説得をしないで、なぜかわからないけれど、買ってしまう、という魔法のような働きかけを目指したアプローチ方法です。 広告やテレビのイメージ宣伝などで使われています。 それを見て、すぐに商品が欲しくなるわけではありません。広告の内容も、取るに足らないことが多く、説得されているなんて、全然感じません。 こんな一見、ムダのような広告に、シビアな企業が、なぜ、大金を出しているのでしょうか?それは、効果があるからなのですね。 お店でもそうです。現代のスーパーでは、対面販売で「お母ちゃん安いよ」よりも、きれいに芸術作品のようにカラフルに陳列してあって、広々とした通路を、気持ちよい音楽に中で、まるで、美術館でもみるように、楽しみながら歩きます。そして、商品を気楽に手に取れるように設定してあります。 決して、店員が売り込みに近づいては、来ません。本当は、お客を気にしているのですが、全然気にしていないフリをして、自分の作業を続けています。その証拠に、ちょっとでも、聞きたいな、というそぶりをお客が見せれば、優秀な店ならば、すぐにそっと近づいてきて、何気なくアドバイスしてくれます。 (もちろん、監視カメラで逐一見られているんですけど) これらは、「低関与コミュニケーション」と言われ、マーケティングの世界に重大な影響を及ぼしています。 なぜ、低関与が有効なのでしょう? それは、お客が、知的な防御フィルターを働かせないからです。 低関与のコマーシャルを何度も受けると、情報はいつの間にか、長期記憶にインプットされます。 また、その商品に対する位置づけが、いつの間にか、変わってしまい、その重要性が認識されてしまっているのです。 これは直接行動に走らせる力ではありません。しかし、何かの刺激があったとき、思わずその商品を手に取らせる原動力となっているのです。 このアプローチが、教育界においては、まだまだ、研究の余地があると思うのです。 しかし、説得アプローチも当然のことながら重要です。様々な切り口から、今後、見てみたいと思いますが、特にこのHPのテーマである、環境による行動のコントロールについて書いていきたいと思います。 つたない話におつきあい、ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.03.28 15:56:52
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