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楽天・日記 by はやし浩司

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2006年11月16日
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カテゴリ:育児のコツ


●何でもさせてみる

 子どもには、何でもさせてみる。よいことも、悪いことも。そして少しずつ、様子を見ながら、ちょうど、彫刻を削るようにして、よい面を伸ばし、悪い面を削りながら、形を整えていく。まずいのは、「あれはダメ、これはダメ」と、子どもの世界を狭くしていくこと。

 たとえば悪い言葉がある。悪い言葉を容認せよというわけではないが、悪い言葉が使えないほどまで、子どもを押さえ込んではいけない。一応、叱りながらも、言いたいように言わせておく……、そういう寛容さが、子どもを伸ばす。子どもが親に、「ジジイ!」と言ったら、「何だ、未来のクソババア!」と言いかえしてやればよい……と私は考えているが、どうだろうか。私は私の生徒たちに対しては、そうしている。

 威圧的な過干渉、神経質な過関心、盲目的な溺愛、精神的な過保護が日常化すると、子どもは一見、できのよい子になる。しかしそういう子どもは、問題を先送りするだけ。しかも先送りすればするほど、あとあと大きな問題を起こすようになる。この時期、『よい子は悪い子』と考えるとよい。とくに親や先生に従順で、ものわかりがよく、しっかりとしていて、まじめで、もの静かな子どもほど、要注意!


●幼児教育は、種まき

 幼児教育は、すべて「種まき」と思う。教えても、すぐ効果を求めない。またすぐ効果が出ないからといって、ムダと思ってはいけない。実際、ほとんどのことは、一見ムダになるように見える。しかしムダではない。子どもの心の奥底にもぐるだけと考える。

 言うべきことは言う、教えるべきことは教える、しかしあとは時間を待つ。が、それができない親は、多い。本当に多い。こんなことがあった。

 ある日、ひとりの母親が私のところにきて、こう言った。「先生は、うちの子(年長児)が書いたひらがなに、丸をつけた。しかし書き順はメチャメチャ。字も逆さ文字(上下が反対)、鏡文字(左右が反対)になっているところがある。どうして丸をつかたか。そういう(いいかげんな)教え方では困る!」と。

 その子どもは、たしかにそういう字を書いた。しかし大切なことは、その子どもが一生懸命、それを書いたということ。私はそれに丸をつけた。字のじょうず、ヘタは、そのつぎ。これも大きな意味で、種まきということになる。子どもには、プラスの暗示をかけておく。おとなが見たらヘタな字であっても、子どもにはそうでない。(自分の字がじょうずかヘタか、それを自分で判断できる子どもは、いない。)「ぼくは字がうまい」という思いが、子どもを前向き伸ばしていく。

 要するに、子どもに何かを教えるときは、心の中で、「種まき、種まき……」と思えばよい。


●えびで鯛(たい)を釣る

 『えびで鯛を釣る』という。えびをエサにするのは、もったいない話だが、しかしそのエビで鯛をつれば、損はない、と。子どもの学習をみるときは、いつも、この格言を頭の中に置いておくとよい。が、中には、えびで鯛を釣る前に、そのえびを食べてしまう人がいる。いろいろな例がある。少しこじつけのような感じがしないでもないが、最近、こんなことがあった。

 A君(小三)は、勉強が全体に遅れがちだった。算数も、まだ掛け算があやしかった。自信もなくしていた。そこで私はA君を、小2クラスへ入れてみた。A君は、勉強がわかるようになったことが、よほどうれしかったのだろう。それまでのA君とは、うってかわって、明るい表情を見せるようになった。そして半年もすると、小3レベルまで何とか追いつくことができた。私は、A君を小3クラスへもどした。

 が、ここで親の無理が始まった。追いついたことをよいことに、親はA君に、ドッサリとワークブックを買い与えた。勉強の量をふやした。とたん、再び、A君はオーバーヒート。以前より、さらに気力をなくしてしまった。つまりA君のケースでは、せっかく(えび)を釣ったのに、それで(鯛)を釣る前に、親が、その(エビ)を食べてしまったことになる。ちょっとわかりにくい例かもしれないが、その(エビ)をじょうずに使えば、A君はそこで立ちなおることができたはず。

 ついでに……。こういうケースでは、二度目は、ない。しばらくすると、親は、「また1学年さげてみてほしい」と言ったが、今度は、A君がそれに応じなかった。子どもの世界では、1度失敗すると、2度目は、ない。


●やなぎの下には……

 何かのことで失敗したとき、子どもの世界では、2度目はない。子ども自身が、それに応じなくなる。

 たとえばAさんは子ども(小5男児)のために、家庭教師をつけた。きびしい先生だった。子どもとは相性が合わなかった。子どもは、「いやだ」「かえてほしい」と、何度も親に懇願した。が、親は、「がまんしなさい!」と子どもを叱りつづけた。結果、子どもの成績はさがった。無気力症状も出てきた。そのため半年後に、親は家庭教師を断った。

 ここまではよくあるケース。が、こうした失敗は、必ず、尾を引く。それから何か月かたったときのこと。Aさんは、また子どもに家庭教師をつけようと考えた。「今度は慎重に……」と思ったが、息子が、それに反発した。ふつうの反発ではない。部屋中をひっくり返して、それに抵抗した。

 一般論として、何かのことで、一度挫折すると、子どもは同じパターンでものごとが始まることを、避けようとする。親は「気のもちようだ」「乗り越えられる」と考えがちだが、子どもの心理は、もう少し複雑。デリケート。いや、時間をかければ、乗り越えられなくもないが、それよりも早く、子どもは大きくなっていく。乗り越えるのを待っていたら、受験時代そのものが、終わってしまう。そんなわけで、この時期の失敗や、挫折は、子どもに決定的な影響を与えると考えてよい。

 『やなぎの下には、どじょうは……』と言うが、子どもの世界では、『失敗は、2度ない』。この時期、つまり子どもの受験期には、「うまくやって成功する」ことよりも、「へたなことをして失敗する」ことのほうが多い。成功することよりも、失敗しないことを考えながら、子どもの受験勉強は組みたてる。


●航海のし方は、難破したことがある人に聞け

 イギリスの格言に、『航海のし方は、難破したことがある人に聞け』というのがある。子どもの子育ても、同じ。スイスイと東大へ入った子どもの話など、実際には、ほとんど役にたたない。本当に役だつ話は、子育てで失敗し、苦しんだり悩んだことがある人の話。それもそのはず。子育てというのは、成功する人よりも、失敗する確率のほうが、はるかに高い。

 しかしどういうわけか、親たちは、スイスイと東大へ入った子どもの話のほうに耳を傾ける。またこういうご時世だが、その種の本だけは、よく売れる。「こうして私は東大へ入った」とか、など。もちろんムダではないが、しかしそういう成功法を、自分の子どもに当てはめようとしても、うまくいかない。いくはずもない。あるいは反対に、失敗する。

 そこであなたの周囲を見まわしてみてほしい。中には、成功した人もいるかもしれないが、大半は失敗しているはず。そういう人たちを見ながら、あなたがすべきことは、成功した人から学ぶのではなく、失敗した人の話に耳を傾けること。またそういう人から、学ぶ。もしあなたが「うちの子にかぎって……」とか、「うちはだいじょうぶ……」と、高をくくっているなら、なおさらそうする。私の経験では、そういう人ほど、子育てで失敗しやすい。反対に、「私はダメな親」と、子育てで謙虚な人ほど、失敗が少ない。理由がある。

 子どもというのは、たしかにあなたから生まれる。しかし、あなたの子どもであって、あなたの子どもでない部分のほうが大きい。もっと言えば、あなたの子どもは、あなたを超えた、もっと大きな多様性を秘めている。

だから「あなたの子どもであって、あなたの子どもでもない」部分は、あなたがいくらがんばっても、あなたは知ることはできない。が、その「知ることができない」部分を、いかに多く知っているかで、親の親としての度量が決まる。「うちの子のことは、私が一番よく知っている」という親ほど、実は、そう思い込んでいるだけで、子どものことを知らない。だから、子どもの姿を見失う。失敗する。一方、「うちの子のことがわからない」と、謙虚な態度で子どもの姿を見ようとする親ほど、子どものことを知っている。だから、子どもの姿を正確にとらえる。失敗が少ない。

 話がそれたが、子育ては、失敗した人の話ほど、価値がある。役にたつ。もしそういう話をしてくれる人があなたのまわりにいたら、その人を大切にしたらよい。





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最終更新日  2006年11月16日 09時56分42秒
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