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楽天・日記 by はやし浩司

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2007年09月25日
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カテゴリ:育児問題
●新学力観という、観点(役に立つ教育)

 「地面に立てたポールを利用して、太陽の高度を調べるにはどうしたらよいか。図解して説明
せよ」という問題がある。文部省が実施した「新学力テスト問題」の一つだが、中1年生での正
解率は、たったの10・4%。しかしこんなことは、教育が始まる以前から、人間には常識だっ
た。昔の人間は、皆、太陽の位置や影の長さで時刻を知った。今の子どもたちは、そんなこと
も知らないのかということにもなるし、裏を返せば、今の教育は一体、何を教えているのかとい
うことにもなる。

 教育の基本は、「将来、子どもたちが生きていく上で、役にたつ知識や経験を、分け伝えるこ
と」ではないのか。そういう視点がないと、受験教育に代表されるように、教育がただ単なる点
数稼ぎのための道具にされてしまう。もっと言えば、教育が人間選別の道具にされてしまう。

ちなみに中学生にこう聞いてみればよい。「君たちは、なぜ勉強するか」と。大半の子どもたち
は、こう答える。「高校へ入るため」「大学へ入るため」と。親にしてもしかり。勉強をしない子ど
もを叱るとき、「そんなことでは、いい大学へ入れないぞ」と叱ることはあっても、「将来、必要な
知識が身につかないぞ」とは言わない。こうした教育がさらにいびつになると、幼稚園で掛け算
の九九を暗記させたり、漢字の読み書きを教えたりするようになる。

 一方、これは当然のことだが、子どもたちはその必要性を感じたとき、実に生き生きと自ら学
習し始める。私はときどき、「お金儲けごっこ」をするが、そのときもそうだ。それはこうして遊
ぶ。

 まず子どもたち(年長児)に、紙で作ったお金を渡す。そしてそれで折り紙を買わせる。大小
さまざまな大きさの折り紙があって、それぞれ値段が違う。子どもたちはその買った折り紙で、
いろいろなものを作る。絵を描く子どももいる。で、それができたら、今度はこちら(教師)が、そ
のできたものを買いあげてあげる。じょうずにできたのは、高い値段で。そうでないのは、低い
値段で。あとはこれを繰り返す。

ときどき、ほかの子どもが作ったものを、別の子どもに売ってあげることもある。20円で買いあげたものを、40円で売りつけたりすると、子どもたちは「ずるい、ずるい」と言うが、「これが資本主義の原理だ」などと難しい言葉で言ってやると、たいてい静かになる。さらに慣れてくると、子どもたちどうしで、ものの売買をし始めるようになる。

 こうした動機づけがあると、あとは放っておいても、子どもたちは自ら、足し算や引き算をする
ようになる。多い少ないの判断も、そして損得の判断もできるようになる。さらに「労働すること
の喜び」もわかるようになる。

 文部省の新学力観では、「知識の獲得量ではなく、自分で考え、表現する力を重視する」とい
うもの。私はこれには大賛成だが、ただし一言。こういう指導が全国一律になされるところに
も、問題がある。皆が同じように自分で考え、表現するようになったら、それこそ、この日本は
どうなる。そんなことも頭に入れておいてほしい。(以上、01年記「子育て雑談」)

(補記)

 日本の教育は、全体としてみると、将来、その道の学者をめざす子どもたちにとっては、きわめて効率よく、かつ体系的にできている。理由は、わかりきっている。教科書が、その道の学者たちによって、作られているからである。

 たとえば英語という科目にしても、将来、英語の文法学者になるには、たいへん効率よく、体系的にできている。(最近は、こうした考え方が、大きく変わりつつあるが……。)

 しかし今、将来、学者になる、あるいはなりたいと言っている子どもは、いったい、何%いるのか? 

 また日本の教育には、「子どもたちに実用的なことを教えるのは、悪」と考えているフシすら、見受けられる。しかしどうして実用的であっては、いけないのか。アメリカでは、中学校の数学の時間に、小切手の使い方を教えている。

 ここで「将来、子どもたちが生きていく上で、役にたつ知識や経験を、分け伝えること」と教えてくれたのは、オーストラリアのM大学で、教授をしている私の友人である。
(はやし浩司 日本の教育 実用的な教育 子どもの学力 子供の学力 新学力観)





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最終更新日  2007年09月25日 07時54分04秒
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