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楽天・日記 by はやし浩司

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2007年10月05日
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カテゴリ:心の問題
●コンフリクト

+++++++++++++

私たちは何をするにも、心の
中で葛藤(=コンフリクト)する。
葛藤の連続と言ってもよい。

多くのばあい、二律相反した作用が、
同時に心の中で起きる。

「運動はしたくない」「しかし
運動をしなければ、健康が
維持できない」と。

こうした心の葛藤を類型化した
のが、レヴィン(K・Lewin)と
いう学者である。

彼は、コンフリクトを、内容別に

(1) 接近―接近型
(2) 回避―回避型
(3) 接近―回避型
(4) 二重の接近―回避型
(春木豊・「心理学の基礎」)

の4つに分類した。

++++++++++++++

 たとえば、お金はたっぷりある。そのお金で、昼食を食べることにした。町へ出ると、2つの店が並んでいた。フランス料理店と中華料理店である。どちらも食べたい。さあ、どうするか……と悩むのが、(1)の接近―接近型ということになる。できれば、両方とも食べたい。

 わかりやすく言えば、YES-YES型ということになる。

 つぎにたとえば、「働くのはいやだ」と仕事サボる。しかし仕事をしなければ、借金が返せないという状況を考えてみよう。

 このばあい、「働くのもいやだが、借金取りに追いかけ回されるのもいや」という状況に追い込まれる。さあ、どうするか……と悩むのが、(2)の回避―回避型ということになる。できれば両方とも避けたい。

 わかりやすく言えば、NO-NO型ということになる。

 またこんな状況はどうだろう。火の中に、栗が落ちている。おいしそうな栗だ。取って食べたい。が、へたをすれば、やけどをするかもしれない。さあ、どうするか……と悩むのが、(3)の接近―回避型ということになる。何かをしたいのだが、その何かを、負の要因が取り囲んでいる。

 わかりやすく言えば、YES-NO型ということになる。

 さらに、こうしたYES-NOが、2つ以上、複雑にからんでいるばあいを、(4)の二重の接近―回避型という。

 春木豊氏著の「心理学の基礎」では、こんな興味ある事例をあげて、回避―回避型を考えている。

 「学校へ行きたくない。しかし学校へ行かなければ、親に叱られる」と。

 このばあい、「学校へ行きたくない」という思いと、「親に叱られるのもいや」という思いが、同時に心の中で作用する。そしてそのどちらが強いかによって、子どもの行動は決まるという。

 最終的に、「学校へ行きたくない」という思いの方が、「親に叱られるのがいや」という思いよりも強くなったとき、子どもは、学校へ行かなくなる。「親に叱られた方が、楽」と。

 そのバランスを、ミラーという学者は、「接近勾配と回避勾配」(同書)で表現した。経済でいうところの、損益分岐線に似ている。値段をあげれば、利益幅は大きくなるが、売れなくなる。値段をさげれば、売れるが、利益幅は小さくなる。二本の直線は、あるところで、交差する。

 同じように、接近と回避を直線で表示すると、その直線は、あるところで、交差する。そしてその作用の強い方に向かって、行動が開始される。

 「学校へは行きたくないが、親にガミガミ言われるのは、もっといや」ということであれば、その子どもは、学校へ行く。

 「学校へ行きたくない。親にガミガミ言われる方が、マシ」ということであれば、その子どもは、学校へ行かない。

 なるほどと思う理論なので、ここに書きとめておく。

 ……と考えていくと、冒頭に書いたように、私たちの行動には、つねにこのコンフリクトがついて回る。私が最近、経験したケースでは、こんなことがある。これは(4)の二重の接近―回避型ということになる。

 母を介護しているときのこと。

 たて続けに数回、事故が起きた。母は夜中に、ベッドの周囲を動き回る。そのとき、さかさまにベッドと柵の間に頭をつっこんだりした。偶然にも、私たちが発見したからよかったようなもの、もし発見が遅れていたら、母は死んでいたかもしれない。

 ケア・マネ(ケア・マネージャー)に相談すると、「添い寝をするしかありませんね」と。

 しかしそんなことをすれば、今度は私たちが不眠症になってしまう。ここでコンフリクトが始まる。

 「母の世話をしなければならない」「しかし添い寝はできない」と。

 さらに問題はつづく。そこで私たちは、介護施設に入居させることにした。が、費用は、ばかにならない。兄も、現在、グループホームに入居している。

 「費用はだいじょうぶか」「しかし費用は負担しなければならない」と。

 が、最大の問題は、「子」として、「親」を施設に入れることには、大きな抵抗感を覚えたこと。「できるなら自宅で、めんどうをみてやりたい」「しかし事故が起きてからでは、遅い」と。

 このようにいくつかのコンフリクトが同時多発的に起きた。まさにレヴィンの説くところの、(4)二重の回避―接近型ということになる。

 で、義理の兄夫婦に相談すると、一も二もなく、「入居させなさい」だった。「そんなことしていたら、あなたたちの健康にさしさわりが出てくる」と。「それに事故でも起きたら、警察ざたになる」とも。

 で、老人介護施設に入居届けだけは出しておこうと思って足を運ぶと、たまたまそこの所長さんが、応対に出てくれた。そして運よく(?)、「ちょうど明日、空きができますが、どうですか?」とのこと。あとで知ったが、こんな例は、稀(まれ)だそうだ。ふつう半年待ち、長い人になると、1、2年待ち。

 そこでまたまたコンフリクト。「もう少し自宅で、めんどうをみていてやりたい」という思いと、「この機会をのがしたら、1、2年先になる」という思い。その2つがはげしく心の中で対立した。

 まさにコンフリクトの連続!、……ということになった。

 しかし大切なことは、コンフリクトはいつも起きるものだとしても、バランスをよく考えて判断するということ。その判断がじょうずにできる人を、良識のある人ということになる。そうでない人を、そうでないという。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 コンフリクト 接近 回避 レヴィン Lewin)






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最終更新日  2007年10月05日 10時40分51秒
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