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楽天・日記 by はやし浩司

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2009年03月15日
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カテゴリ:家族のこと
●親絶対教



【GR氏(33歳・男性)からの相談より】



名古屋に住んでいるGR氏(33歳・男性)から、こんな相談が届いた。

 ここで、改めて、親・絶対教という、カルトについて、考えてみたい。

 今、GR氏は、結婚生活半年あまりで、妻と離婚すべきかどうかで、

 悩んでいる。



 日本の社会に深く根ざした、親・絶対教。そのカルト性に気づき、そ

 れを改めるのは、容易なことではないようだ。



 メールの内容は、大筋で、本題からはずれないよう、私のほうで許可※

 を得て、改変した。



++++++++++++++++++++++++++



【GRより、はやし浩司へ】



 私は、現在、名古屋にある、医療器械設計メーカーで、研究員をしています。近くの大学で、
講師の仕事もしています。私は、目下、妻と、離婚すべきかどうかで、悩んでいます。



 ことのいきさつは、こうです。



 私と現在の妻とは、昨年(03年)の終わりに結婚する予定でした。いっしょにいると楽しかっ
たので、そのまま結婚話へと進みました。



 が、その直前、妻の父親(義父)が、内臓のがんで倒れました。一時は結婚を延期しようと考
えましたが、義父のたっての希望で、今年(04年)の1月に結婚式をあげました。



 で、2月に、就職先(現在、住んでいる名古屋)が決まりましたので、私と妻は、それまで住ん
でいた富山を引き払い、名古屋に移り住んできました。その直後、義父は、手術中に帰らぬ人
となりました。



 が、ここで、大きな問題が起きました。妻の母親(義母)と妻の姉(義姉)を、富山に残してお
けないと、妻が言い出したのです。そこで一時は、義母と義姉を、名古屋に呼び寄せることも
考えました。



 が、義姉には、仕事があり、どうしても、富山を離れることができないと言い出しました。



 妻は、義父の死で、かなりのショックを受けたようです。それはわかります。名古屋の家に住
むようになってからも、ほとんど、私とは、口をきかない毎日が、つづきました。



 が、今年の4月になってから、何かと富山に帰ることが多くなり、事件が起きました。



 妻が、富山に、家を買って、義母と姉といっしょに、暮らすと言い出したのです。



 で、私が富山まで行くと、すでに不動産屋とは話がついていて、私があとは、契約をするだけ
の段取りになっていました。5月の連休あけの日のことでした。



 しかし総額、4500万円です。35年の長期ローンになります。



 義母と義姉は、今、住んでいるマンションを売って、頭金にする。義姉の収入の何割かを、ロ
ーンにあてると言い出しました。



 そして私には、名古屋で、学生が住むような安いアパートに住めばいい、と。



 しかし、ときどき富山へ帰って、義母の世話をするのと、35年ローンを組むのとでは、中身が
まったくちがいます。



 私も、どこかぶ然とした態度であったことは事実です。で、そのときは、契約をしないで、私
は、名古屋へもどってきました。



 が、その翌日のこと。富山にいた妻から電話がかかってきて、「何だ、あの態度は」「あなた
は、私と母の夢をこなごなに破壊した」「私の家をめちゃめちゃにした」「男なら、もっと男らしくし
てよ」「妻の親に、孝行するのは、夫の義務」と。



 横に義母と義姉がいて、いっしょに、ワーワーとわめく声が聞こえてきました。「もう、やめ
て!」と、義姉が叫んだほどです。で、そのとき義母も、倒れてしまったそうです。



 で、今は、妻は、「もう私は、実家にも帰れない」「しかしあなたのように冷たい男とも、いっしょ
に暮らせない」と言っています。



 妻は、富山の実家(マンション)に帰ったままです。



 このまま離婚すべきでしょうか。どうしたらいいでしょうか。



++++++++++++++++++++++++++++



●親孝行論



 GRさんは、妻の一連の行動を、親孝行の一つとして理解すべきかどうかで、迷っている。



(妻は、親孝行だと信じている。そして夫の生活が犠牲になっても、親孝行のためなら、当然と
考えている。)



 が、ここで登場するのが、親・絶対教という、カルトである。



 このカルトは、親から子へと、代々と引き継がれているため、その流れの中にいる人には、
それがわからない。特徴としては、



(1)親は絶対であると考える。

(2)親のめんどうをみるのは、子どもの義務と考える。

(3)親のためなら、子どもの生活が犠牲になっても、当然と考える。



 この親・絶対教には、双方向性がある。



(1)親自身が、自分は絶対だと思う。

(2)子どもも、親が絶対だと思う。



 つまり親は親で、自分は絶対だから、子どもには、親に従えと教える。子どもは子どもで、親
のために犠牲になるのは、当然と考える。



 一方的な見方は、さしひかえたいが、GRさんの妻は、どうやら、親は絶対であると考えてい
るようである。



●ある事例



 10年ほど前だが、こんな事件があった。



 ある母親だが、息子が、外国へ行っている間に、預かっていた息子の財産を売りはらい、そ
のお金で、家を改築してしまった。



 息子は、その母親に、自分で買った土地の権利書を預けておいた。ゆくゆくは、そこに自分
の家を建てるつもりでいた。が、母親は、それを「処分を任された」と、勝手に判断してしまった
らしい。



 そこでその息子は、中国のS市から帰ってきたあと、母親に泣きながら、抗議したが、母親
は、こう言い放ったという。



 「親が、先祖を守るために、息子の財産を使って、何が悪い!」と。



 この事例でも、その母親には、罪の意識は、まったくない。自分がしてはいけないことをしたと
いう意識すら、ない。ないものは、ないのであって、どうしようもない。



 つまり、ここにカルト性がある。



 その母親にしてみれば、息子が、たとえ半年でも、日本を離れ、中国のS市で生活するように
なったことは、「親を捨てた」ということになる。その母親は、息子が結婚したことについても、そ
れ以前から、「息子を嫁に取られた」と言っていた。



 (ここまで書いて気づいたが、その母親にしてみれば、実家を離れて、息子が家を建てるの
が、許せなかったのかもしれない。だから土地を売ってしまったとも考えられる。)



 こうした事例は、多い。この日本では、本当に、多い。



●だれと結婚したのか



 カルトは、それ自体が、その人の価値観になっている。そしてそれがそのまま人生観の柱に
なっている。だからそれを否定すると、その人は、猛烈に反発する。ときには、命をかけること
もある。



 それ以外の考え方を受けつけない。価値も認めない。同時に、それ以外の考え方を、排斥す
る。



 たとえばGRさんの事例でも、キーパーソンは、義母である。こういうケースでは、義母が、娘
夫婦の幸福を最優先に考えなければならない。



 私がその義母なら、(と言っても、そういう考え方そのものが、その義母には理解できないだ
ろうが)、GRさんの妻である娘にこう言う。



 「私たちは、どんなことがあっても、あなたたちには、迷惑をかけたくない。私たちのために富
山へ帰ってこなくていい。高額なローンを組んで、苦労してほしくない。あなたたちは、あなたた
ちで、幸福になってね」と。



 しかしもし、母親自身が、その親・絶対教の信者だったら、どうなるか。

 

 GRさんの義母は、娘の横で、泣き叫んだという。そのまま倒れてしまったという。妻の言葉を
借りるなら、「夢を、こなごなに破壊したからだ」という。



 となると、そもそもその結婚は、何だったのかということになる。



 義母や妻が描いた、理想の結婚生活(?)とは、義母と同居し、夫は、研究者としての道を歩
み……ということになる。いいかえると、そもそも妻は、夫と結婚するために結婚したのではな
く、心の何割かで、親のめんどうをみるために、夫と結婚したことになる。



 義母にしてみれば、娘として、それは当然のことということにもなる。



●喪失の苦しみ



 ただ妻は、少し前、実の父親をなくしている。そのショックは、それまでの親子関係にもよる
が、相当なものであったと推察される。



 父親をなくしたあと、精神を病む息子や、娘は、少なくない。知人の女性の中には、父親をな
くしたあと、そのままキリスト教団に入信してしまった人もいる。



 その悲しみや、苦しみは、いかばかりなものか。私やあなたがそうでないからといって、そう
いう人たちの受けるショックを、軽くみてはいけない。



 GRさんの妻は、相当なショックを受けた。そのあとの母子関係をみていると、その関係が、
いかに濃密なものであったかが、容易に想像がつく。



 だからそういうショック状態にある妻の今の状況だけをみて、すべてを判断してはいけない。
またそのときの妻の判断が、正しいと思ってはいけない。妻は、ショックから、混乱状態にな
り、さらにパニック状態になっている可能性がある。



 私なら、今は、結論を出さないだろう。少なくとも、もう少し妻が冷静になるまで、様子をみる。
ひょっとしたら、しばらく時間をおけば、妻も今の自分の考え方が、おかしいと気がつくかもしれ
ない。



 喪失の悲しみや苦しみは、それ自体が、心理学の世界でも、大きなテーマになっているほど
である。



そう言えば、もう一人、男性だが、妻をなくしたあと、そのまま、勤めていた雑誌社をやめてしま
い、放浪の旅に出た人もいる。そのとき、その男性は、49歳。しばらくしてから、その男性の動
静を聞くと、周囲の人は、こう言った。「おかしくなってしまいました」と。



(もっともこの男性は、それから2年後、また別の出版社で、編集の仕事に復帰したから、私は





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最終更新日  2009年03月15日 13時16分12秒
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