5000年の嘘
映画「ピラミッド 5000年の嘘」。パトリス・プーヤール監督。フランス。2011年。ネット上では「諸説あるが」とか「65点」とかいわれていてまゆつばか?と思いつつも気になっていたのでみてみる。ナレーターの「わたしのブレーン」なる人物が唱えている説をなぞっているだけといえば確かにそうだ。ナレーションと関連カットの組み合わせ、インタビュー、それらをコラージュ。映画としてはダイナミックな動きがないという点でものたりない。といわれればそれもそうだ。しかし、それらの要素を差し引いても、一見の価値ある映画だった。考古学の定説と科学的検証の結果が一致しないというところをまず、知らなかった。科学的に突き詰めていくとひとつの可能性(メッセージ性)が浮上する展開にはドキドキ感がある。そして「ひとつの想像」が提示されて結論づけられるが、その「想像」には説得力を感じる。ピラミッドや世界中のオーパーツに関する解明されていない謎が、ひとつひとつつながっているカタルシスもある。なにより、映画の締めくくり方が倫理的だと思う。夢のある映画だ。極端に従来の考古学の研究成果を否定しているので、専門的な知識をもっている人がみたら、映画で提示されている「科学的な検証結果」なるものにも穴はあるのかもしれない。でもわたしは考古学と科学の対立が見たいわけではなく、映画はドキュメンタリーであってもエンターテインメントとしてみる側面がある。知らなかったことを知り、展開の盛り上がりにわくわくし、張り巡らされていた伏線がつながっていくことによって浮上してくるカタルシスを味わう。それでいて後味が悪くない。そんな映画はエンターテインメントとして優れていると思う。ドキュメンタリーではあるが、事実を知るというよりあくまでエンターテインメント作品として楽しんだ。わたし的には100点。