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カテゴリ:山野草と樹木
☆雌性先熟に続けて、自然観察の中から雄性先熟の植物を調べてみると、20種類もありました。3回に分けて紹介しています。雄性先熟とは、両性花で雄性が先に熟して現れる植物を雄性先熟といい、自家受粉を避けるための植物の仕組みです。
☆アキノタムラソウは、本州以西に分布し山地や野原に生えるシソ科アキギリ属の多年草です。アキノタムラソウは雄性先熟の植物で、この花は雄性期で、雄しべが伸びて花粉を出そうとしているようです。(2014年7月29日撮影)。 ☆これは雌性期のアキノタムラソウの花です。雄しべは下に垂れ下がり、葯は花粉を出し終わりしおれているようです。雌しべの柱頭は2裂しており、雌しべが成熟しています。(2013年7月25日撮影)。 ☆クサギは、日本全国の日当たりの良い原野に自生するシソ科クサギ属の落葉小高木です。クサギは雄性先熟で、最初に雄しべが突き出し、その後に雄しべが下がり雌しべが突き出します。この写真でも、雄しべが突き出している花とともに、雄しべが下がって雌しべが突き出している花がわかります。(2013年7月30日撮影)。 ☆ボタンクサギは、中国南部・インド北部原産のシソ科クサギ属の落葉(熱帯では常緑)低木で、観賞用に栽培されていますが、野生化したものもあるそうです。これはボタンクサギの咲き始めの雄性期の花です。雄しべが熟して葯から花粉が出ているようですが、雌しべ花柱は雄しべの花糸の半分くらいの長さです。(2014年7月19日撮影)。 ☆これはボタンクサギの雌性期の花です。花の中央には雄性期の花が一部見えますが、ほとんどの花は雄しべが後ろに反りかえって雌しべ花柱が長く突き出しています。(2014年7月19日撮影)。 ☆ゲンノショウコは、北海道から九州の山野に生えるフウロソウ科フウロソウ属の多年草です。ゲンノショウコは雄性先熟の植物で、雄しべからの花粉が出終わった後に雌しべ花柱は5裂します。この写真では雌しべ柱頭は5裂し始めです。(2013年9月3日撮影)。 ☆こちらのゲンノショウコは、雌しべ花柱が5裂しています。柱頭が開ききったころには雄しべの葯は落ちてしまいます。(2014年9月12日撮影)。 ☆ヒメフウロは、フウロソウ科フウロソウ属の帰化植物です。右側の花は雄性期で、10本の雄しべのうち内側の5本の雄しべの葯から花粉が出ています。左側の花は雌性期で、雄しべはなくなり雌しべ先端が5裂しています。(2012年5月21日撮影)。 ☆アサマフウロは、本州中部地方の湿り気のある高原の湿地に生えるフウロソウ科フウロソウ属の多年草です。フウロソウの仲間の中では、花が大きく色鮮やかなのが印象的です。右側の花は雄性期で、10本の雄しべと赤紫色の葯が見えます。左側の花は雌性期で、雄しべの葯はなくなり雌しべ先端が5裂しています。(2012年9月14日撮影)。 ☆フウロソウ科フウロソウ属の中でも、帰化植物アメリカフウロは花が咲いた時から柱頭と葯が接しており、雄性先熟ではなく自動同花送粉だそうです。帰化植物には、自動同花送粉する小さく目立たない花をもつ物が多いそうです。(2013年5月3日撮影)。 ☆ネムノキは、本州・四国・九州に自生するマメ科ネムノキ属の落葉高木です。花は、10~20個の花でできている集合花です。一つひとつの花のつくりは、基部にあり先端が5つに分かれている薄い黄緑色の花冠、基部が白く先が赤くなっており先端に丸い小さな葯が付いている約30本の雄しべ、先端まで白く雄しべより太く見えるのが雌しべです。雄性先熟なので、雄しべが先に花粉を出してしおれてくると雌しべが姿を現します。(2013年6月24日撮影)。 ☆開花後に雄しべがしおれ始めた花で、白く長い雌しべが目立っています。(2013年6月29日撮影)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.02.24 05:16:51
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