テーマ:老犬と暮す(209)
カテゴリ:Q輔とU子と「犬」
めっきり寒くなってきましたね。 うちの15歳の老犬、フレンチブルドックのモモちゃんも、 お洋服を一枚羽織って、冬支度です。 もともと愛想のない面構えのモモちゃん。 最近はボケも入ってきたのか、表情が虚ろで、不愛想ここに極まるって感じ。 昔は黒光りしていたボディも、すっかり白髪だらけ。 体毛に、かつてのような、光沢もなくなってきました。 僕の妻は、モモのほっぺたの臭いを嗅ぐのが好きです。 日課のようにモモのほっぺたに鼻を擦り付けて、くんかくんかと嗅いでいます。 「この唾液の醗酵した臭いがたまらなぁ~い」とか言いってます。俗にいう犬の体臭フェチです。 「はぁ~、香ばしい」とか言ってます。変態です。 「にほひ~、にほひ~、いいにほひ~」とか歌ってます。変人です。 モモの顔面の色素がなくなってきたのは、妻が鼻を擦り付け過ぎたからだと、僕は思います。 この間、病院で簡単な視力の検査をしてもらったら、 モモちゃんはもうほとんど目が見えていないとのこと。 慣れ親しんだ空間を、嗅覚と感覚で歩いているらしい。 確かに、部屋の家具の配置換えなどをすると、 しばらくそこらじゅうに頭をこつこつぶつけながら歩いています。 老犬のこういった仕草は、滑稽味に実に深みがあり、子犬には決してないものであって、僕はすごく可愛いと思います。 ただし、目が見えないので、二階の寝室の扉をしっかり閉めてしないと、廊下に迷い出てしまい、 階段から転げ落ちてしまうなんてことがあるので、注意が必要です。 階段を一・二段転げて止まってくれればよいのですが、 十段下の階段の途中の踊り場まで、スタントマンかよ!ってぐらい豪快に転げ落ちてしまうモモちゃん。 いつも僕の不注意なので、物音に慌てて飛んできた妻にこっぴどく叱られるのですが、 モモのあまりに見事な落ちっぷりを思い出すと、笑っちゃいけないと分かっていても、思わず笑ってしまい、 その不謹慎な態度に、更にこっぴどく、猛烈に妻に叱られる始末。怪我でもしたら大変。ごめんなさい。 おーいモモちゃん、そこは壁。道じゃないよ。 ドックフードは、乾燥したままでは、もう硬くて食べられないので、 一度湯がいて、水で冷やしてから、食べさせています。 見えてないので、ボロボロこぼしながら食べます。 おしっこは、トイレゲージ付近まで来て、トイレシーツの臭いがすると、すぐ出てしまうらしく、 あと3歩でトイレです!っていうトイレ直前の床の上で、フルで放尿してしまうことが増えました。 お尻もゆるくなっているので、そこらかしこに、パンくずサイズの小さなウンモを落として歩きます。 あれ?モモちゃんどこ?って時も安心です。へンゼルとグレーテル方式で、ウンモをたどった先にモモがいます。 夜中の徘徊も頻繁になってきて、床の上をカチャカチャとあるく爪の音で眠れない時もあります。 とは言ってもそんな神経質なのは僕だけで、妻も娘たちもモモの足音に負けないような、豪快ないびきをかいて、眠りこけています。 君たちゃ高木ブーか! さて、このように、苦労が絶えぬと言ってしまえばそれまでの、老犬との生活ですが、 あいにくうちには、苦労を素直に苦労と受け止めるような、まともな人間は一人もおらず、 そんな苦労は、切り裂いて、毎日げらげら大笑いしながら、老犬モモちゃんと楽しく生活しています。 長く付き合ってきた愛犬との生活を、たかが歳をとって介護が必要になった程度で、負担に感じる、辛いと感じるなんてのは、 僕としては飼い主の怠慢に思えてなりません。要は、楽しむことを、さぼっている。 同じ老犬との生活でも、感じ方ひとつで、家庭のムードひとつで、簡単に楽しい生活に変えられるものです。 老犬が床に落としたウンモを見て、笑えるか?です。 苦労を切り裂いて、その苦労の中にきっとあるであろう、「楽しさ」を見付け出せるか?です。 我々老犬の飼い主は、気を抜くと、すぐに悲しんでしまう、疲れると、すぐに悩んでしまう。さぼっては駄目です。 老犬と楽しんで生きるのには、とんでもない気力と体力がいる。でもそれを決してさぼっては駄目です。 普段、家ではふにゃふにゃの僕ですが、このような老犬との生活の基本方針については、家族にしっかり伝えていて、 楽しむことをさぼる家族には、我ながら珍しく、厳しく注意したりしています。 妻は僕の6歳年下ですし、娘たちと僕は40歳近く年齢が違います。 家族がこのまま、事故や病気や災害に合うことなく生活していけば、まず、一番最初に死ぬのは僕です。 つまり、妻や娘、愛する者の死を見なくてよい。これ、僕の何よりの幸せです。年長者の特権です。 でもね、モモちゃんだけはね、どうやら、見送ってあげなくちゃならないね。 それも、そんなに遠い話じゃなさそうだ。 そん時、僕、まともでいられるだろうか? 妻は、しばらく駄目だろうな・・・。 いかん、いかん。 ほらね。気を抜くと、すぐに悲しい話になる。 さぼるな、さぼるな。 笑って暮らそう。 そうだろ? なぁ、モモちゃん。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.12.10 18:32:55
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