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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2005.09.24
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カテゴリ:詩論・文学論
題名は、もちろん坪内逍遥の『小説神髄』のもじりである。これだけみても若き(頃の)筆者の意気込みが見て取れる(ついでに言えば科学の学は旧字であり、クラシックな内容を暗示している)というものだけれど、英語の副題がまたしょっている。アナトミー・オブ・ワンダー。こちらもセンス・オブ・ワンダーをもじったパロディで、「SFにおける驚異の解剖学」とでもいったところだろうか。

第1章 SF科学発明縁起
第2章 SF解剖学のすすめ
第3章 宇宙戯画事始
第4章 栄枯盛衰―SF雑誌の歴史
第5章 今昔編集者気質
第6章 今昔ふあん気質考―アメリカSFファンダム略史

鳥獣戯画、蘭学事始、平家物語、学問ノススメ、など章名からしてパロディの連続だけれど、中身がまた面白い。野田センセイ独特のC調の戯文と、知られざる1930~50年代のアメリカSF事情とその裏話の語り方が巧みである。巧みすぎてしばしば脱線したり、日本のSF事情の楽屋ネタをご披露したり、漫才調になったりしているのはご愛嬌。

ヴェルヌ、ウェルズ、ヴォクト、バローズ、ハミルトン、ガーンズバック、メリット、キャンベル、ウォルハイム、イアンド・バインダー、スタージョン、ジャック・ウィリアムスン、ブラッドベリイ、ハインライン、アシモフ、クラークといった自分でも知っている名前もあればあまりなじみのない作家や編集者の名前もあって、1960年代に30年前のアメリカSF事情を回顧・分析した日本の書物としては群を抜いている。書誌学的に行っても、価値ある一冊である。

独断と偏見ついでに言えば、アメリカという国は「伝統」を廃した人工的近代国家だから、SFがあれだけ発展したんだろうな…と思う。旧ソ連にも同じことが言えるかもしれないが、あちらのSFは少々赤みががかっていたに違いない






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Last updated  2015.07.22 21:24:29
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