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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2008.10.15
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カテゴリ:詩論・文学論
マーク・トウェインはユーモア作家のように一般には思われているかもしれない…『トム・ソーヤ』を読む限りそうだとも言えるが、どちらかといえば彼はペシミスト、よく言って性悪説論者だという気がしてならない。

『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』『アーサー王宮廷のヤンキー』 等を通してトウェインは身分制度の馬鹿馬鹿しさを痛烈に皮肉っている――『ハック』においては人種差別が前面に出ているけれども、例の偽公爵や偽王の言動の中に、後の『王子』『ヤンキー』の基調となっている特権階級という名の社会の寄生虫を徹底的にやっつけようとする姿勢の萌芽が認められるように思う。

ではトウェインは筋金入りの民主主義者だったのか。そうともいえるしそうでないとも言える。彼は人間を救うのは教育しかないと看破していた――しかしその教育制度も共同体の利益に適うものでしかなく、そこで培われる良心なるものも、つまるところ便宜でしかない。共同体の利益を越えて真に良心的なものを提示することは人間には無理なのではないか…まさにこれこそが『人間とは何か』のテーマなのだが(おそらくは芥川龍之介も同じ苦悩を抱えていたのだろう、晩年の箴言集で似たようなことを書いている)。

民主主義に期待しながらもそれが衆愚政治に陥らざるを得ないところに現代の苦悩があることは明らかであって、地球温暖化現象がちっとも解決しないのも、もとはといえばそれに起因している。それでも現状では民主主義がベストの選択であり、人類の未来について前向きに考えるなら、やはり教育の力にまつしかないであろうというのが『人間とは何か』の作者の結論であり、不具もまたそれに同意するものである。


人間とは何か





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Last updated  2008.10.18 10:48:48
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