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Apr 13, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
  翌朝、上杉勢の陣は整然と静まりかえっている。旗指物、幟、旌旗が風を

うけ翻り、先陣には鉄砲隊が粛然とし前方をみつめ折り敷いている。

  本陣には直江山城守の、鳥を形どった旗印がたてられ、最上勢を圧倒する

気配をみせている。

  一方の最上義光は、夜半のうちに山形城の兵を引き連れ長谷堂城に入城を

果たしていた。西軍が関ヶ原で敗れたことを知った、義光は攻勢に転ずる機会

と捉えていたのだ。

  東軍勝利の報告で勢いづいた最上勢が攻撃に移った。銃声が轟き兵馬が

上杉勢の先陣を目指し押し寄せてきた。

  直江山城守の戦術は巧緻を極めていた、今日の合戦を想定し、馬防柵を

めぐらし、各部隊から引き抜いた鉄砲隊一千名を前衛に配置していた。

  最上勢が報復の勢いで攻め寄せてくる。上杉の本陣から法螺貝が鳴り響い

た。 「放てー」  組頭の命で一斉掃射を浴びせた。戦場に銃声が沸騰し白煙

があたりを覆いつくした。阿鼻叫喚の悲鳴と怒号のなか最上勢が、たちまち総崩

れとなり退却している。両軍が膠着状態となり、睨みあいとなった。

  九月末の季節は日暮れが早い、夜の訪れとともに上杉勢の陣営は、真昼の

ように篝火が焚かれ、哨戒の兵の槍が不気味な輝きをみせている。

  そうした中、部隊がぞくそくと陣営を離れ撤退している。

  翌日の十月一日、陣屋に火を放ち上杉勢が撤退を開始した。進撃よりも

撤退が困難であることは、云うまでもない。まして最上領と米沢のあいだは重畳

した連山が連なり、天嶮(てんけん)をなしている。

  上杉軍団は狭隘な険路をもみ合うようにして撤退している。

  最上義光は、直江山城守に支城を陥とされ、士卒、三千余の損害をだしてい

る。一挙に、その怒りを晴らさんと猛追に転じた。

  山城守はこれを予期し、色部光長に街道の補修を命じていた。

  またいたる所に、水原親憲と前田慶次の兵を埋伏させていた。

「よいか、街道の半ばまでの辛抱じゃ。そこには水原、前田の勢が潜んでおる」

山城守は全軍を叱咤し、時には猛烈な逆襲をみせ、且つ退く作戦で見事な退却

戦を演じてみせた。

  一方の最上義光も、先陣を駆け六尺の愛用の鉄棒を振り回し追撃し、上杉

勢の殿軍を一気呵成に破っている。

  昨日の色部光長のお蔭で撤退は思いのほかにはかどっているが、これは

最上勢にも効果を発揮していた。狭隘険路な街道を執拗に食い下がってくる。

  前方の坂道に、甲冑に身をかため小脇に自慢の大身槍を抱え騎馬の

前田慶次が姿をあらわした。

「ここからは我等が殿軍を受け賜ります」  見ると上杉家の朱槍の勇士と知られ

る、水野藤兵衛、韮塚理右衛門、宇佐見弥五右衛門、藤田森右衛門の四人の

姿もある。いずれも不敵な面魂をみせ朱槍を抱えている。 「水原親憲は?」

「鉄砲隊二百名を率い、伏兵として控えております」

「慶次、奮戦を期待する」  山城守が騎馬をあおり急坂を駆け上っていった。

  敵の先陣と前田勢が鼻先を突きあわせる格好となった。

「わしが、前田慶次じゃ。見事に通りぬけるか」

  凄まじい大声を発した前田慶次が、自慢の大身槍を旋回させ、最上勢の

なかに割って入った。負けずと四人の勇士も朱槍を抱え続いた。

  血煙をあげ敵兵が坂を転がり落ちる。「わーっ」と喚声をあげた前田勢の

兵が猛烈なる攻撃をみせ、敵勢を圧倒している。

  突然の伏兵の出現で最上勢が一町(約百メートル)ほど後退した。

「皆の者、引くのじゃ」  見逃さず前田慶次が命じ、己も血塗れの姿で坂道を

駆け上がり、全軍一団となって退却をはじめた。

  四人の朱槍の勇士のみが踏みとどまり、最上勢の進撃を阻止している。

「四人とも坂道に伏せよ」  突然に水原親憲の塩辛声が響いた。

「伏せるのじゃ」  四人が騎馬から転がるようにして、坂道に躯を伏せた。

「ゴオー」  兜の頭上を震わせ銃弾が最上勢に降り注いだ。

「伏兵じゃ」  敵兵の顔面が蒼白となった。狭隘な坂道を密集して攻めのぼって

来たために後方に退けない。

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Last updated  Apr 13, 2007 09:09:10 AM
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 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   白い花7571 さん
こんにちは~上杉勢は 有利な展開になりましたね~ (Apr 13, 2007 09:32:24 AM)

 いやはや・・   7777ハリー さん
思いのほかに、、関が原の決着がついたのですね。
裏切り者とそしられても、、戦国を生き抜く手段と
思えば、、誰も責める事は出来ません。

男たちの生き様には、、胸を打たれます。

この後、
どうなりましょうや。 (Apr 13, 2007 11:40:27 AM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   marimon さん
撤退している最中なのに、なんか、すごいですね。
目が離せません。^^ (Apr 13, 2007 12:59:17 PM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   なふら さん
すごい後退劇ですね!!

一気に読んでしまいました!! (Apr 13, 2007 08:18:51 PM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   エンスト新 さん
ただ退くのでなく攻撃をしながらとは
すごい撤退方法ですね。 (Apr 13, 2007 08:54:01 PM)

 こんばんは。   更年期かあちゃん さん
>「はらはらと 花びら吹雪く 春の宵」
>「心地よい  桜吹雪の  夜道かな」
-----
桜も終わりになり、木の芽どきですねぇ~
毎年思うことですけど、ぱっと咲いてあっさりと散ってしまう桜の時期はほんとに短い・・・その短さが、また来年へと繋がってるんでしょうかねぇ・・・ (Apr 13, 2007 09:04:05 PM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   abilitgrunavi さん
退くのは、いつも大変ですね。 (Apr 13, 2007 10:09:21 PM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   風歌。 さん
疲れた体をずるずると引き摺りながら岐路に着く・・・
そんな場面をイメージしていたのですが
撤退とはたいへんなのですね。

殿軍、大きな部隊をしんがりで護る。
こちらでいろいろなことを学びました。
いや、私が無知なのですね。

(Apr 13, 2007 10:17:17 PM)

 Re:小説 上杉景勝(87)(04/13)   よりちゃん0606 さん
撤退と言ってもすんなりとはいかないのですね
あらゆる事を想定して準備してる山城守も偉いと思うけど、攻撃しながら撤退なんて負けてる気がしないですね (Apr 14, 2007 12:03:24 AM)

 この時代から   羽富えじそん宇宙人5663 さん
この時代から、戦略や、人の心理が
あったのですね。

やはり、計画を立てる。

これですね。
勉強になります。
(Apr 14, 2007 06:42:34 AM)


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