カテゴリ:偐万葉
偐万葉・松風篇<その3> その後、松風さんの絵に書き込ませて戴いた歌も本日で36首となりましたので、ここでまとめて置きます。その1、その2と合せると106首にもなります。 偐家持が松風朝臣麻呂(まつかぜのあそんまろ)に贈りて詠める歌36首 若き日の 母の声して さみどりの 野になつかしき 色のかなしき 鶴見もや 渡島のみやげの 光かも 降りて明るき 色になりゆく 十勝岳 真白き嶺の はてもなく 遊子のゆくや 道の遠けく 大見得を 切りて立つらし 鶴見の木 ポプラの 白き真綿の 花や散る 天ゆ風花 流れ来るかも わが道の いづくと知らね この丘を 楝の 花は咲けども ほととぎす やはらかき 深きみどりの 椅子ありて 静かに時は 流れゆくらし 名も知れぬ 道の花こそ 花よけれ 見る人にのみ 咲きてしあれば 倒れ木の 安き眠りの 夏草の 夢にも咲くや 野の花もがも 立ち枯れの さまのよかりき ひたすらに 枯れ草の 原に一陣 鳥の風 立ちて静寂 さらにも深し ひなげしの 咲ける夏野の 風の道 若き母ゆく 乳母車押し モネならば 傘貸さましを 丘の道 髪なびかせて 若き母ゆく 飛翔する 心の軽み 鳥なれば 鶴見の丘も 海原の島 まつ風の 便りなりけり 枇杷の実の 枯れて死す 形もよけれ 木の立ちて 夏の苑 さみどり匂ふ 葉洩れ日の 水無月の 風やはらかく 鈴懸けの 木は古を ひとり恋ふらむ 子ら遊ぶ 声の遠みて 鈴懸けの 木の黙しけり 風湿りゆく 見渡せば 花ももみぢも なきなれど ロープ張る 禁野も梅雨の 入りなるか 椰子の木の 風吹き来れば 夏草の 花流るらむ 青き空へと 石の壁の 先に地の果て ある頃の 通せん棒 腕さし交へし 花守るや 鶴見が丘の 夏の花園 歌姫の 遠きまなざし 風の音も ジャズとなるらむ 夏の青空 菜園の 朽木の柵に 夕風の いにしへ軋む 音もやすらむ うす青き 色の記憶に 重なりて 北の大地の 赤き影立つ うつし世と 夢の地平は 地の果てに 人影も なきや建屋の うらぶれて 夏野の丘に 風渡るかも 未草 をとめの白き 花に添ひ 咲くべにばなの 色のかぐはし ふりさけて 鶴見を見れば 緑なる 雨誘ふ 湿れる風の 吹きゆけば 目覚むるならし ポプラの並木 それぞれの 思ひのあるや 公園の 休みの朝の 広場なりけり うすべにの 花咲き匂ふ 鶴見なる たらちねの 母が呼ぶ名は 申すまじ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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