偐万葉・ひろみ篇(その3)
本日は、久々の偐万葉シリーズです。シリーズ第229弾は、ひろみ篇(その3)であります。
<参考>過去の偐万葉・ひろみ篇はコチラ
ひろみちゃん8021氏のブログはコチラ
偐家持がひろみの郎女に贈りて詠める歌16首
草枕 旅も遍路の 閑人も 閑人ゆゑに また忙しき (閑家持)
(注)閑人=ブロ友のふろう閑人氏のこと。偐万葉・閑人篇(その4)の記事への
ひろみちゃん氏のコメントに対する返事コメントに付したる歌にてあ
れば、ふろう閑人氏のことを詠みたるも、本篇に組み入れることとし
たるなり。
いにしへに 恋ふにはあらね 面影を
秋の薔薇にし 偲びぞ吾が来し (偐薔薇持)
(霊山寺バラ園)
たぐひ来て 師の奥津城に 参るどち 秋それぞれに 空の澄むらむ
(注)奥津城=墓
みほとけの ゑみもさにあれ 我妹子は
薔薇のソフトや ゆかしとぞ来し
(バラソフト)
可も不可も なきをよしとす 齢(とし)となり
風の音(と)咲く花 みないとしかり
吉城園 今日はよしとし 寄らずして 奈良のいづくへ 妹行くらむか
(本歌)我妹子に 衣(ころも)春日(かすが)の 宜寸(よしき)川
よしもあらぬか 妹が目を見む (万葉集巻12-3011)
(若草山)
おほらかに ひとなみしかも よしといも
おほきほとけに あはむとゆくか (奈良の八一)
<大らかに 人波鹿も 良しと妹 大き仏に 逢はむと行くか>
(本歌)おほらかに もろてのゆびを ひらかせて
おほきほとけは あまたらしたり (会津八一)
(東大寺・南大門)
蚯蚓(みみず)とる 猪もやはしきと 見る人は
写真とるらし 大仏の池 (猪家持)
(注)はしき=愛しき
(ミミズをとる猪)
おほてらの いけのみぎはに ときじくや
このはすがれに はなせうぶさく (偐津八一)
(注)みぎは=水際
ときじくや=ここでの「ときじく」は「季節外れ」の意。
はすがれ=蓮枯れ
はなせうぶ=花菖蒲
(唐招提寺境内の蓮池に咲く花菖蒲)
かにかくに かに道楽に われありき 高井田の店 枚方の店
千歳生く 鶴の齢(よはひ)を 過ぐるとも
いやときじくに なほし見が欲し(亀麻呂)
(本歌)たちばなは 花にも実にも 見つれども
いや時じくに なほし見がほし (大伴家持 万葉集巻18-4112)
(注)ときじくに・時じくに=ここでの「ときじく」は「永遠に」「いつも」の
意。
この歌は見たいとする対象物たる目的語が欠けていて意味不明なるも、こ
のままとして置くものなり。
春されば まづ咲く花や 蝋梅の かほりほのかに 朝鳥鳴きつ
(蝋梅)
時と場所 選びてこそぞ 花も歌 歌も花なり かくしぞ人も
(注)かくしぞ人も=初案は「人もかくしぞ」であったが偐万葉掲載に当り修正し
た。
なにとなく かなしき色と 咲くならし 楝(あふち)の花に 夕風吹けば
かもかもは にせ家持の 歌かもと
思ふ児やたれ 家をぞ聞かな (鴨短明)
妹が家に 咲きて匂へる 蝋梅の
雪は降るとも 春を告げこそ (冬時々春)
<脚注>掲載の写真はひろみちゃん氏のブログからの転載です。