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偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

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2024.08.12
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カテゴリ:銀輪万葉
(​承前​)
 前頁の続きです。7月30日の西ノ京四ヶ寺巡礼銀輪散歩は、西大寺、喜光寺、唐招提寺まででタイムアウトとなりましたので、翌31日に残る薬師寺を拝観すべく出かけてまいりました。
 銀輪散歩を、とも考えましたが、猛暑の中でもあり、西ノ京駅前の薬師寺のみの拝観なので、トレンクルの持参は取り止め、電車で出かけることとしました。
 近鉄奈良線・大和西大寺駅で橿原線に乗り換えて、二つ目の駅・西ノ京駅で下車します。
 西ノ京駅は改札口が地下1階になっているので、ホームから地下改札口に行き、再び地上に戻るという面倒な導線になっている。

 地上に出て正面を進むと、先ず目に入ったのがこの薬師寺伽藍図。

(薬師寺伽藍図)
 はい、只今、駅前、遊歩道を少し東に入った場所「現在地」に居ます。
 こういう写真は、現在地の説明が一目瞭然なので、説明不要ですな。
 広い通り、参道に出て右折、南へ、與楽門へと向かいますが、時刻が既に正午近くになっていたので、喫茶店にでも入って軽く昼食を済ませることにします。
 與楽門から少し西に入ったところに”PAS Á PAS”というベーカリーカフェがあったので、そこで昼食&珈琲としました。
 ランチも済ませたので薬師寺に向かいます。

(薬師寺縁起・パンフレットより)
 このパンフレットを開くとこんな風になります。
​​​​
(同上 ※画像をクリックして大きいサイズの写真でご覧ください。)
 上の写真には青線――で巡回コースを書き加えていますが、それでお分かりの通り、この日の拝観は南側の白鳳伽藍エリアのみであります。
 與楽門より入山し、北拝観受付で拝観受付を済ませます。
 先ず目に入る正面の建物が食堂
(じきどう)
 薬師寺の正門は南門であるから、その反対側である北側にある與楽門は言わば裏門である。裏口から入るのがヤカモチ流であるから、これでいいのである。
 裏口から入ったのだからいきなり食堂の建物ということになるのも仕方がないが、昼食を済ませたばかりのヤカモチであるから、これには入らず建物に沿って北側の空間を東へと回り込んで、伽藍の中心部に行こうと歩いていると、目にとまったのがこの石標。


(十字廊と周辺の遺構)
 かつては食堂の北側に接して十字形の間取りをした食殿
(じきでん)という建物があったということのようである。食堂に付帯する何らかの機能を受け持つ建物であったのだろう。
 まあ、食堂
(じきどう)とは言っても、食事を提供する場所というのではなく、今は参拝者向けの土産物など諸グッズの売り場兼休憩所といった機能を果たしています。
 さて、食堂とこれに続く東僧房の建物に沿って歩き、これを東に回り込んだところにあるのが鐘楼。
 鐘楼越しに東塔を撮ってみる。

(鐘楼と東塔)
 鐘楼の前には、蓮鉢が沢山並べられている。

(蓮と東塔)
 今回の拝観は蓮の花がキーワードであるから、蓮の花越しに塔を撮ってみます。
 ハスは万葉では「はちす」というが、これはその実となる部分の形状が蜂の巣の形状に似ているからである。
 もともと日本に自生していたとする説と、大昔に中国から渡来したとする説があるらしいが、インドが原産とされているようだから、有史前のいつの頃からか日本にやって来たのだろう。インドでも地中海沿岸でもハスは永遠の花として尊ばれた。ハスと仏像とは深く結びついているが、仏教で尊重される花であることは今も万葉の昔も変わらない。
 遅ればせであるが、蓮の万葉歌を紹介して置きます。

()かしを (つるぎ)の池の 蓮葉(はちすば)に ()まれる水の 行くへなみ ()がする時に 逢ふべしと 逢ひたる君を な()ねそと 母()こせども ()が心 清隅(きよすみ)の池の 池の底 (あれ)は忘れじ (ただ)に逢ふまでに (万葉集巻13-3289

(<み佩かしを>剣の池の蓮の葉に溜まっている水のように、行く方もなく私が思い悩んでいる時に、是非逢おうと言って逢ってくれたあなたのことを、共寝してはいけないと母は仰るけれど、<我が心>清隅の池の、池の底のように深く私は忘れまい。じかにお逢いするまでは。)

蓮葉​(はちすば)は かくこそあるもの 意吉麻呂(おきまろ)が 家なるものは ​芋​(うも)の葉にあらし
                         (長意吉麻呂 万葉集巻16-3826

​(蓮の葉とはこのようにこそあるもの。意吉麻呂の家にある蓮の葉は芋の葉のようです。)​

​勝間田​(かつまた)の 池はわれ知る (はちす)無し (しか)言ふ君が (ひげ)無き如し
                       (婦人 万葉集巻16-3835

​​(勝間田の池は私は知って居ります。蓮などありません。そう言うあなたに髭が無いのと同じです。)
※この歌についての解説は​コチラの過去記事​に記載しています。

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に ()まれる水の 玉に似る見む
                        (右兵衛 万葉集巻16-3837

(<ひさかたの>雨でも降らないかなあ。蓮の葉に溜まる水が、玉にそっくりなのを見よう。)


(同上)

(東塔と中門と金堂)
 回廊の方に進み、東方向から、東塔、金堂、西塔を撮ってみよう。
​​​​
(東塔と西塔と金堂)
 はい、東側回廊から眺めた金堂と塔の景色です。
 もう少し歩を進めて、東塔の左裏手から撮ったのが次の写真です。

(東塔と西塔)
 中門内側から撮った東塔です。

(東塔)

(東塔縁起)
 東塔と西塔の間を行ったり来たり・・。

(東塔・北側からの撮影)
 これは、ひとめぐりして、講堂脇で一休みしている時に撮った真北側からの東塔の写真ですから、この日、薬師寺境内で撮った最後の写真ということになります。
 前後しましたが、西塔です。
​​​​
(西塔)

​​(西塔縁起)
​ 中門を出て、南門の近くまで行って撮った中門の写真です。

​(中門)
 東西の塔を背景に中門を撮ってみようとしたのですが距離が不足で塔が入りませんでした。南門の中まで行けば入ったのかも知れませんが、塔の一部が入った距離で妥協であります。
 中途半端でありますが、中門の写真の注文を受けた訳でもなければ、これでいいのだ。もっとも、これを「なかもん」と発音するのであれば上の駄洒落は不成立。「無かもん」としてつかわさい。
 中門に戻り、金堂へ。
 金堂内を拝観する前に、西塔の北側にある佐々木信綱の歌碑と会津八一の歌碑を撮って置きます。


(歌碑)
 左側が佐々木信綱歌碑。右が会津八一歌碑です。
ゆく秋の 大和の国の 薬師寺の
         塔の上なる ひとひらの雲 (佐々木信綱)
すゐえんの あまつをとめが ころもでの
        ひまにもすめる あきのそらかな (会津八一)
 ヤカモチは「ゆく夏の大和の国の薬師寺の堂の壁なる一匹の蜘蛛」という戯れ歌を思いついたりもしましたが、イマイチなので偐万葉には不採用とします(笑)。
 水煙の「あまつをとめのころもで」や如何にと、東塔の水煙を撮ってみましたが・・。

(東塔の水煙)
 では、金堂に参ります。


(金堂)

(金堂縁起)
 金堂から大講堂へ。

(大講堂)

(大講堂縁起)
 食堂
(じきどう)の、涼しい風が当たる一角で暫し休憩して、與楽門から退出であります。裏門の與楽門から入ったのなら表門の南門から退出するのがヤカモチ流なのでありますが、南門から出ると駅が遠くなるので、今回は裏から裏へということにして置きます。
 最近は腰痛が酷くなっていて長歩きは身にこたえるのであります。
 南門を出て薬師寺の八幡宮である休ヶ岡八幡宮を回り、前述の蓮の万葉歌に記載の勝間田の池とされる大池に足を延ばして、その畔から薬師寺の塔を眺めるというようなコース取りも考えられたのですが、今回は不採用であります。
 大池や休ヶ岡八幡宮の写真掲載の過去記事がありますので、これを貼って置くこととします。ご希望のお方はその記事でご散歩ください。
<参考>若草歌壇2011花園篇公開ほか 2011.4.30.​
 大池の写真だけ貼り付けて置きますかね。
大池 - コピー.JPG
(大池から見る薬師寺)
​​​​​​​​​​​​​ また、15年も昔のことになるが、薬師寺の回廊に沢山のオオヤマレンゲの鉢が並べられているのに、出くわしたことがある。そのことも懐かしく思い出したので、その折の記事も下記に貼り付けて置きます。
<参考>​奈良銀輪散歩(その3)​ 2009.5.23.
 薬師寺をアトにしたヤカモチは、ランチ&コーヒーをした先ほどのベーカリーカフェ”PAS Á PAS"に再び入り、抹茶ソフトで暫し休憩。
 そして、西ノ京駅へと向かう。

(近鉄橿原線・西ノ京駅<ホーム待合室の中から撮影>)
 ホームで待っているのも暑く、冷房のきいた待合室へ。
 待合室は満員です。
 待つこと10分足らずで大和西大寺行き電車が来ました。
 これにて、西ノ京四ヶ寺巡礼完結であります。(完)
<参考>​​銀輪万葉・奈良県篇の過去記事は下記をご覧ください。
    ​銀輪万葉・奈良県篇 
    ​銀輪万葉・奈良県篇(その2)
​​​(追記注:2024.8.14.21:43)勝間田池の万葉歌についての解説を記載した過去記事のリンクを追記しました。​​​​





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最終更新日  2024.08.14 21:43:38
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