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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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●(編集終了)●義経黄金伝説● プロローグ


義経黄金伝説■第一章


義経黄金伝説■第二章


義経黄金伝説■第三章


義経黄金伝説■第四章の壱


義経黄金伝説■第四章の二


義経黄金伝説■第五章


義経黄金伝説■第六章


義経黄金伝説■第七章


義経黄金伝説■第八章


義経黄金伝説■第九章


義経黄金伝説■第十章


義経黄金伝説■ 終章


●(編集終了)■ロボサムライ駆ける■第1章


ロボサムライ■第二章新東京


ロボサムライ■第三章霊能師壱


ロボサムライ■第三章弐


ロボサムライ■第四章剣闘士壱


ロボサムライ■第四章弐


ロボサムライ■第四章参


ロボサムライ■第五章機械城壱


ロボサムライ■第六章古代都市


ロボサムライ■第七章血闘場


●編集終了●SF「ロボサムライ駆ける」第4章3





ロボット死闘人「石狩の福次郎」第1章


「石狩の福次郎」第2章


「石狩の福次郎」第3章


「石狩の福次郎」第4章


「石狩の福次郎」第5章


「石狩の福次郎」第6章


●(編集終了)●腐敗惑星● 1腐敗惑星のアリスに変更


腐敗惑星● (4)から


腐敗惑星● (7)から


腐敗惑星● (12)から


腐敗惑星● (16)から


腐敗惑星● (18)から


腐敗惑星● (20)から


腐敗惑星● (21)から


腐敗惑星● (22)から


●(編集終了)石の民1(1989年作品)IT石の民「君は星星の船に変更


石の民「君は星星の船」■第2章 石の男


石の民「君は星星の船」■第3章 光二


石の民「君は星星の船」■第4章 ミニヨン


石の民「君は星星の船」■第5章 アルナ


●(編集終了)聖水紀1(1990年作品)聖水紀ーウオーター・ナイツーに変更


聖水紀■2


聖水紀■3


聖水紀■4


聖水紀■5


聖水記■6


聖水記■7


聖水紀■8


●編集終了●聖水紀3(1990年作品)


●編集終了●聖水紀4(1990年作品)


●編集終了●聖水紀5(1990年作品)


●未完成作品群


■花郎(フアラン)未完成(1994年)■


■機械生命(1994年)未完■


元興寺の鬼(未完)


■「夢千代」未完


「幻視者狩り」(未完)


★(編集終了)●青き騎士(1992年)私の中の彼へー青き騎士ーに変更


■ドラッグ=ウォーYK夢王たちの饗宴--ドラッグウォーの跡でーに変更


「幻視者狩り」(未完)


★編集終わりガーディアンルポ01「最終列車」1から


★編集済★ガーディアンルポ02「人間樹の星」編集中


●(編集終了)ガーディアンルポ03「洪水」


ガーディアンルポ04「ドリーマー」


●編集終了●封印惑星●(1987年作品)


★編集終わり★東京地下道1949■第1回から


地下道1949■第11回から


★消滅の光景と改題●編集中(1988年)コンテンツあり


★消滅の光景と改題●搭-消滅の風景(1988年編集中-後半


★消滅の光景と改題●塔ー20070319編集中ー前


★消滅の光景と改題●塔ー20070319編集中ー後


●ドリーマーインヒズドリーム(1987年)


●(編集終了)●インザダスト(1986年)


★インザダスト(後半部分)44P以降 コンテンツあり


●(編集終了)●山稜王(1987年)


山稜王(編集中)2007


山稜王105ページから


★ジャップスデイズ(1988年)(編集終了)「日本人の日」として予定


★ジャップス=デイズ ビッグオープニンング〉ー日本人の日として発表


●編集終了●哀ランド(1989年)


●編集終了●青き騎士(1992年)


●編集終了●涙石の伝説(1976年)


異郷(1977年)


★緑なす星にて(1978年)編集中コンテンツあり


★ザ・ゲーム(1979年)編集中コンテンツあり


●神よ、その腕もて1(1980年)●編集中コンテンツあり


★神よ、その腕もて2(1981年)編集中コンテンツあり


●編集終了●「支配者たち」(ハーモナイザー01)


飛鳥京香作品01


飛鳥京香作品リスト「作成中」02


●(編集終了)ランナー地球防衛機構第1回より5回まで


ランナー第6回から10回まで


ランナー第11回から第18回


●編集終了●聖水記(2007年改訂版予定)


聖水紀1990/6/9ー02


聖水紀1990/6/9


聖水紀1990/6/9(4)


聖水紀1990/6/8(5)


セイスイ記05


聖水紀[8]


★ザ・キング・オブドリーム創造者の夢1 編集終わり


ザ・キング・オブ・ドリーム創造者の夢2


ザ・キング・オブ・ドリーム創造者の夢3


●デュエット1


●デュエット2


●(編集終了)インザダストー070616調整中ー44ページまで


■インザダスト070616調整44ページ以降


■ドリーマーインヒズドリーム0706調整中


ミュータントウオーズ(超人類戦記)第1章


ミュータントウオーズ(超人類戦記)第2章


ミュータントウオーズ(超人類戦記)第3章


ミュータントウオーズ(超人類戦記)第4章


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★編集済■源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。


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★クリス・クロスマンという名の箱船(編集済)コンテンツあり●


★神よ、その腕もて闇を払いたまえ2(編集中)コンテンツあり


★神よ、その腕もて闇を払いたまえ上(編集中)コンテンツあり


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『YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと』山田企画事務所・YG源義経黄金伝説■ ●源義経黄金伝説全編にリンクシテマス。
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■山田企画事務所・飛鳥京香・小説集です。

●YG源義経黄金伝説■
一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。
源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと?
https://ncode.syosetu.com/n1703dc/

●BK私の中の彼へー青き騎士ー
異星の生命体《アイス》と人の戦争で、少女暗殺組織ローズバットの沙織は、共生装甲機体・零号を操る独立装甲歩兵・翔と恋に落ちる。
沙織には過酷な運命が待っていた。彼女は人類を新たな旅へ導く。
https://ncode.syosetu.com/n5222dc/


●TC東京地下道1949■ 
1949年日本トウキョウ。 太平洋戦争の日本敗戦により、日本はアメリカ軍とソビエト軍に、分割占領。
生き残った少年少女はどう生きるのか。それからの過酷なる日本の運命は?
https://ncode.syosetu.com/n1603de/


●TD「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」
 故郷、神立山の伝説は、僕、日待明にあらたなる人生の選択を迫る。彼女は何者であったのか?
私は地球人でなく観察者として地球の長い歴史に関与したことをしる。
https://ncode.syosetu.com/n9669cz/


●RSロボサムライ駆ける■
「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、
早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
https://ncode.syosetu.com/n2492db/


●KIアイランド■暗殺者の島■
 かって存在したエルドラド、サンチェス島で、地球連邦軍暗殺チーム「レインツリー」
に属する暗殺者2人の対決。
https://ncode.syosetu.com/n3928db/


●YK夢王たちの饗宴--ドラッグウォーの跡でー
(麻薬戦争の跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高のドリームマスター,夢王は、だれなのか?
なぜ、この世界はできたのか?
https://ncode.syosetu.com/n7285dc/


●CP封印惑星
 封印された地球で情報収集端子であるユニーコーン・新機類は、天空の光矢を見る。
それは新地球の解放者、世界樹の出現する。予兆である。
https://ncode.syosetu.com/n1512de/


●AFアリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー
宇宙連邦の監視機構の元で、腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる。
https://ncode.syosetu.com/n6825dd/




●KZガーディアンルポ03「洪水」
 廃墟で、人類最後の生存者カインは地球滅亡を迎え。彼は生命形を変え自分から精強なる生物兵器に変貌、
地球を再生し敵へ復讐を硬く誓う。
https://ncode.syosetu.com/n1503de



●UK宇宙から還りし王■
初めて新宇宙への門「タンホイザーゲイト」から帰還した男ネイサンは、今、
ゼルシア国自然保護区、ラシュモア山で王国を建設。みづから発する言葉で、人類を次の高みへと進化させようとする。
https://ncode.syosetu.com/n1598de/


●RUN遙かなる絆-ランナー●
 地球と月を結ぶ「ムーンウェイ」から話は始まる。連邦軍「サイボーグ公社」に属するロードランナー,ヘルム。
マコトは超能力者。2人は月で人類外の野望を砕く、新世界の人類の出現が始まる。
https://ncode.syosetu.com/n1867de/


●「支配者たち」(ハーモナイザー01)
世界樹ハーモナイザーの支配する宇宙での、2人の宇宙飛行士の物語。
これは現実か夢なのか「もちろん、あの人は私の夢の一部分よ。でも、私も、あの人の夢の一部なんだわ」
https://ncode.syosetu.com/n1894de/


●「クアイアーボーイズ」
地球は絶滅の縁にあり。敵ROW」は、生命体ミサイルを発射。
意思を持つ「生物体機雷」が人類戦士として。敵とであった彼はいかに。
https://ncode.syosetu.com/n0015da/

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小説工房作品/エッセイ/写真/ビジネス

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ロボサムライ駆ける2011

(247)

アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー

(34)

アイランド

(20)

「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説

(26)

源義経黄金伝説2010版(短縮版)

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東京地下道1949

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遙かなる絆-ランナー

(20)

私の中の彼へー青き騎士ー

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宇宙(そら)から還りし王(山陵王・改題)

(33)

地下道1949

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ランナー

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源義経黄金伝説2015年版

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源義経黄金伝説■2017版

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その腕もて闇を払え(1980年作品)

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緑なる星にて(1978年作品)

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夢王たちの饗宴--ドラッグウォーの跡でー(1975年)

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緑なす星にて(1978)

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聖水紀 ーウオーター・ナイツー 

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源義経黄金伝説(2022年版)

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封印惑星(ハーモナイザー02)1987年

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Z消滅の光景

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2003.06.17
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■■
第1章8 一一八六年(文治2年) 鎌倉
 頼朝屋敷を出ようとすると、背後から声が掛かる。西行は後方を振り向く。
「西行殿、ここで何をしておるのじゃ」
聞いたことのある声だが…、やはり、、頼朝の荒法師にして政治顧問、文覚(もんがく)が、後ろに立っている。傍らに弟子なのかすずやかな眼差しをした小僧をはべらしている。
「おお、これは文覚殿。先刻まで、大殿(頼朝)様と話をしておったのじゃ」
「話じゃと、何かよからぬ企みではあるまいな」
 文覚は最初から喧嘩腰である。
文覚は生理的に西行が嫌いだった。西行は院をはじめ、貴族の方々とも繋がりをを持ち、いわば京都の利益を代表して動いているに違いない。その西行がここにいるとすれば、目的は怪しまなければならぬ。
「西行、何を後白河法皇(ごしらかわほうおう)から入れ知恵された」
 直截に聞いている。元は、後白河法皇から命令され、伊豆の頼朝に旗をあげさせた文覚であったが、今はすっかり頼朝側についている。それゆえ、この時期に、この鎌倉を訪れた西行のうさん臭さが気になったのだ。
「さあ、さあ、もし、大殿に危害を加えようとするならば、この文覚が許しはせぬぞ」
 西行も、この文覚の怒気に圧倒されている。

文覚は二〇年ほど前を思い起こした。
1166年京都「西行め、ふらふらと歌の道「しきしまみち」などに入りよって、あいつは何奴じゃ」
 文覚は心の底から怒っていた。文覚は怒りの人であり、直情の人である。思うことは直ぐさま行い、気に入らぬことは気に入らぬと言う。それゆえ、同じ北面の武士(ほくめんのぶし)のころから、気が合わないでいた。西行は佐藤義清(さとうのりきよ)という武士であった頃は、鳥羽院(とばいん)の北面の武士。院の親衛隊である。西行は、いわば古代豪族から続く政治エリートであり、それがさっさと出家し、歌の道「しきしまみち」に入った。それも政治家など上級者に、出入り自由の聖(ひじり)なのである。

 いわば、北面の武士よりも自由を得、知己も増えたのである。それが故、文覚の気に入らなかった。
 文覚の罵詈雑言は、京都になり響いていた。やがて、後白河法王に対する悪言が、後白河の耳に入って来たのである。
「私のことを悪し様にいう、文覚とか申す僧主おるそうな」
「これは法皇様のお耳を汚しましたか。厳重に叱り付けましょう」
「よいよい、その文覚という男に、私も会ってみたいのじゃ」
「これは、法皇様も物好きな」
 やがて、文覚が、法皇の前に呼ばれて来る。
 法皇に対して正々堂々と政治の有り様を述べる文覚は、流石である。一応しゃべり終えたと思われる文覚に、後白河は思いも付かぬ言葉を告げた。
「どうじゃ、お主、面白い男じゃ。いいか、伊豆へ行ってみぬか」
「、、、伊豆ですと」意外な言葉に言葉もない。
「そうじゃ、伊豆じゃ」
「何を申される。このおり、私を罪に落とされるつもりか」
「いや、そうではない。良く聞け。源氏の頼朝が伊豆に流されておる。その男に会って欲しいのじゃ」
文覚は頼朝を説得していた。1180年永暦元年、今から6年前のことである。
文覚は、頼朝を前に懐の袋から、古びた頭蓋骨を取り出していた。
「頼朝殿、この髑髏、どなたの髑髏と思われる」
 このとき、すでに文覚の幻術中に、頼朝は入っている。
無論、そんなはずはない。
それゆえ、常人の常識は通じない。文覚の声が、遠くから聞こえて来るようであった。
「亡き父君のお骨ぞ」といい、文覚は涙を流した。
「見られよ。平清盛のために殺された父義朝殿の成れの果てじゃ。何も思われぬか。お主は義朝殿の子供ぞ。お前に今源氏の氏長者は、お主じゃ。頼朝殿、この平家の」世の中でお主が、今立ち上がらなければ、誰が立つというのじゃ。父君、また源氏の恨み、このおり晴らすべきではないか。それが「人の道ぞ」。
 文覚は大きな声で、一気にしゃべり終えた。頼朝の質問の暇など与えはしない。頼朝も、もう文覚の言語の勢いに飲まれるようだった。
 本来ならば、判断力の鋭い頼朝であったが、このおりは熱病に取りつかれたようであった。
「よし、余が源氏の旗をあげるのじゃ」
サイは投げられていた。が、本当の振り手は、京都にいた。後白河法皇である。

■■
第1章9  1186年(文治2年)10月。鎌倉。
西行は文覚に言う。
「文覚どの、私はこの世を平和にしょうとおもうのだ」
「平和だと、うろんくさいこと言うな。おぬしの口からそんな言葉がでようとは」
「では、この国の形を変えるともしあげればどうだ」
「くっつ」文覚は苦笑いしている。
その笑いは同じく国を変えようとされているからであろう」
「何年たっても私の考えがおわかりにならぬか」
「わかりたくもない」
「で、秀衡殿を呪殺されようというわけか」
「主は何を企む。平泉と何を企む。まさか、」
文覚はある考えを思う。
「主は崇徳上皇にも取り入り、弟の後白河法皇に取り入り、また平泉にも取り入るつもりか」
崇徳は30年前、1156年保元元年、弟の後白河法皇に敗れている。保元の乱である。この後、四国に流されている。
「文覚どの、鎌倉には法皇の命令で、今は鎌倉の味方か」
「だまれ、西行、貴様こそ、由緒正しい武士でありながら、
「しきしまみち」を使うとは先祖に対して申し開きできるか」
「文覚どの、その言葉そのまま返そう。お主も武士でありながら呪殺を江ノ島祈願いたしておろう」
「うぬ。敵、味方はっきりしたならば、お主を平泉に行かせまい」
「よろしいのか。大殿とのの命は」
確かに頼朝の命令は西行を平泉に行かせよである。
「しかたがないのう。ここで雌雄を、、、」
二人はにらみ合っている。
恐るべき意識の流れがそこに生じていた。
「御師匠様、おやめ下され」かたわらにいる子供が言いた。
子供ながら恐るべき存在感がある。その顔は夢みる眦に特徴がある。
「おおう、夢見か。わかった。この西行殿が顔を覚えておけ」
「西行様、夢見でございます。京都神護寺からまいりました。
師匠さまの事よろしくお願いいたします」夢見、後の明恵(みようえ)である
。法然と宗教上で戦うこととなる。
同時に何の集団が近きつつあった。
「くそ、西行、味方が増えたらしいのう。集団で動くかお主も、勝負はいずれ,まちおれ」
「生きて合えればのう」西行も悪態をつく。 二人はふた方向にわかれた。
「西行様、ご無事で」
いつのまにか東大寺闇法師重蔵が控えている。が、笑いをこらえている風情である。
「おお、重蔵殿あいすまぬ。」
汗をかいている。
「ふふ、ワシとしたことが、つい歳を忘れてしまう。あやつにあうと」にが笑をしている。
「お知り合いでございますか」
「古い付き合いよ。北面の武士以来だ。」
廻りの集団が気に成っている。
「結縁の方々、ありがとうござる。何でもござらぬ。もう終わり申した」
重蔵の言葉に近くの樹木の影にいた気配がすべて消えていた。西行はにがりきった笑いをする。
「法眼殿の手下か」
先ほどの手勢は、方眼が京都から連絡した結縁衆であろう。密かに西行を守っている。重蔵は、西行にもこのような面があるかと思い微笑んでいる。この有名なる京都「しきしきみち」の漢に子供のけんかのような、、
「あの子供の方が気にかかります。なにやら恐ろしげな、、」重蔵はつぶやいている。
 西行は生涯を通じて、交渉者たらんと欲した。佐藤家という彼の出自が大きくものをいっていた。時代は西行のような斡旋者を強く要求していた。保元の乱から始まる源平合戦は、古代より続いた貴族社会に住む人々にとって、青天の霹靂であった。仏教でいう末法が思われた。
 武士という自分たちのルールに従わない人種が出現し、あれよあれよという間に政治の仕組みに食い込んで来た。そして、土台ごと乗っ取られていることに気がついたのである。 古来から貴族たちは、血が流れるのを嫌った。自分
の勢力拡大のために、流れる血は気にしなかったのだが。今の世の中の血の流れている戦いは別種であった。古の壬申の乱以来である。
 西行は源氏にも平家にも顔が効いた。まして、相国(しょうこく)平清盛入道とは、北面の武士のおり、同役であった。また征夷大将軍坂之上田村麿ゆかりの京都神護寺(じんごじ)の文覚とも同役であり、顔見知りであった。平家
往時のおり、西行の庵は六波羅のすぐ側にあった。

 六波羅は鴨川の東岸にあたり、鳥辺野の真ん中に位置する。平家政治集落の様相を呈していたのである。また、六波羅は清水寺への参道に位置していた。京の動きは街道の人の行き来から判断することができた。

 西行に、上皇をはじめ、院、貴族層が気を許したのは、その歌の作詞能力(しきしまみち)であった。古代からの歌の伝統を踏まえ、美しい歌をつくることができる西行は、貴族たちと同じ人種であることを意味した。平家、源氏、
貴族、そして寺社勢力、両方面に西行は顔が効き、出入りができたのである。
 源平の争乱のとき、西行は伊勢の草庵に隠遁していた。そして、西行、最後
の賭けの時が六十九才のおりに訪れて来た。西行の動き、あるいは言葉の一つ
で、この微妙なバランスで保たれている。日本の政治状況が変わるかも知れな
かった。
 西行は変えようとした。
 彼は政党を持たない一個の政治家であり、思想家であった。
続くhttp://w3.poporo.ne.jp/~manga/





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Last updated  2004.11.22 19:04:22
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