6309653 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
Sep 2, 2006
XML
テーマ:中国&台湾(3301)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
「ノムさんの時事短評」のおかげで、8月31日の『産経新聞』の岸信介訪台秘話報道のことを知った。

今回8月21日からずっと台北にいるのだけど、産経の長谷川記者には『日本の本領』が刷れたらぜひお持ちしてご挨拶したいと思っている。

この秘話は日本史の教科書に1頁~半頁のコラムにして掲載し、国民常識にするくらいの価値がある。
歴史の裏話としては第一級だ。
こういう話が教科書に載れば、歴史好きが増えること、間違いなし。

それにしても、いま思えばため息のでる蒋介石の無策と倣岸。
晩年の大脳退化の結果か。

長いが、記録のために産経報道をそっくり引用させていただく。


≪【台北=長谷川周人】
台湾の国連加盟問題が、9月の国連総会で取り上げられるのかどうかをめぐり関心が高まっているが、台湾(中華民国)が1971年10月に国連を脱退する前の69年、すでに政権の座を降りていた岸信介元首相が極秘に訪台し、蒋介石総統に対し、台湾独立も視野に国連残留を勧めていたことが、関係者の話で明らかになった。

また、英国も台湾の国連での議席維持に向け、日本に共闘を促すなどしていたことも分かった。
当時の日本と台湾をめぐる外交の舞台裏を明かす貴重な証言となりそうだ。

■1969年、極秘で蒋介石氏に直談判

産経新聞のインタビューに応じたのは、中国を逃れた国民党政権に対抗するため、日本で独立活動に加わった台湾独立建国連盟の黄昭堂主席と、陳水扁政権下で総統府資政(最高顧問)を務めた独立派の長老、辜寛敏氏の2人。

辜氏は戦前の貴族院議員だった辜顕栄氏の息子で後に台湾の対中窓口機関・海峡交流基金会の理事長となった故辜振甫氏の異母兄弟。
エコノミストのリチャード・クー氏の実父としても知られる。

黄氏が晩年の岸氏から聞いたところによると、
岸氏は国連におけるいわゆる「中国代表権問題」が揺れだした69年、秘密裏に訪台して蒋氏との直談判を決意した。

岸氏は辜氏に対し、
「台湾共和国とするならそれでもいい。台湾は追い出される前に国連に残ってほしい」
との思いを打ち明けたという。

中華人民共和国が国連に加盟すれば蒋政権はいずれ追放される。
ならば安保理での中華民国の席を放棄し、一般の加盟国として議席を維持すべきと考えたのだろう。

蒋政権を支持する当時の日本の公式見解とは矛盾するが、中華民国という名前を変えても、国連に残ることができれば、台湾は国際的地位を確保できるからだ。

岸氏は台湾に渡り、蒋氏に対してこう切り出した。
「国連安保理を離れて一般加盟国に留まってはどうか」。

だが、蒋氏の反応は厳しかった。
「顔色がサッと変わり(独立の可能性を打診する)『次の言葉』を口に出してはならないと思った」。

国際社会はこの後、徐々に「中国招請」に傾いていく。
台湾支持だった米国も71年7月、キッシンジャー大統領補佐官が中国を秘密訪問し、いわゆる「ニクソン・ショック」が中国の国連加盟への流れを決定的にした。
だが、同時に米国は「台湾追放」には反対の立場だった。

同じころ、すでに中国を承認していたため、台湾との国交を断絶した英国も台湾を国連に留めるため、日本政府との連携に動き始めていた。

英国は台湾との関係を維持したかったのだろう。
辜氏によると、7月のある晩、ジョン・ピルチャー駐日英国大使から電話で、東京・千代田区一番町の英国大使館内にある公邸に呼び出され、大使から直接、
「たった今、お国と重要な関係がある問題について、ロンドンからの指示を日本の外務省に伝えてきた」
と言われた。

英国政府からの指示とは、
「台湾は国連メンバーに残るのが一番望ましい」
との判断から、
「蒋介石政権を承認する日本に台湾を説得してほしい。英国は台湾との関係をゼロにしたくない」
という内容だった。

これを受けて辜氏は、親交があった牛場信彦駐米大使に連絡を取り、まず、米国政府の立場を確認。
その上で法眼晋作外務次官に掛け合い、
「(国際社会の一員として国連に残れるかは)台湾の将来にとって大きな問題だ」
と迫ったという。

法眼氏は当初、英国大使の要請に難色を示していたが、
「台湾の存続は日本の国益にもかなう」
という辜氏による必死の説得もあって、
「省内で意見統一をやってみる」
と折れた。

しかし、外務省内の見解は二つに分かれ、判断を迫られた佐藤栄作首相は、「筋を通す」として蒋政権の決定を支持する方針を貫いた。

そして同年10月25日、台湾追放に反対する日米が共同提出した議決案は否決され、蒋政権は自ら国連を脱退。
アルバニアの提出した決議案によって中国は国連に加盟した。

この日を境に、台湾はほとんどの国際機関から排除された。
(肩書きは当時)≫





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Sep 2, 2006 09:51:40 PM
コメント(5) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


 金美齢の自伝に既出   popper さん
秘話というほどの話じゃありません。私は金美齢の本(自伝かな?)で大分前に読みました。
女史は、自分のプライドを優先させた蒋介石に憤怒してました。 (Sep 3, 2006 02:32:35 AM)

 日中間の不幸な一時期   weirdo さん
>それにしても、いま思えばため息のでる蒋介石の無策と倣岸。<

将は我が国の陸士に留学し、実際に連隊勤務の経験もあり、本来なら知日派として東亜繁栄のために力を合わせなければならない中国のリーダーだった。

なぜそうならなかったか。裕福な家庭に育った将は、陸士留学とそれに続く連隊勤務で日本人に対する蔑視感を膨らませ、中華思想に凝り固まったと思われる。

それが彼の運命を決定づけた。 

最後の最後まで将の行動を縛った。岸信介の進言を入れ、一般の加盟国として国連にとどまっていれば、世界のというとちょっと風呂敷を広げすぎるが、大陸、半島、列島を取り巻く情勢は大分違ったものになっていただろう。
(Sep 3, 2006 05:40:55 AM)

 え、金美齢の自伝に既出?   Izumi Yukio さん
popperさん
>秘話というほどの話じゃありません。

蒋介石が国連に残ることを傲然と拒んだ時期のことは常識としても(それはわたしも読書知識としては知っていましたが)、「岸信介の極秘訪台」というのは初めて知る秘話でしたが。

これも既出ですか? (Sep 3, 2006 08:42:51 AM)

 Re:日中間の不幸な一時期(09/02)   weirdo さん
自己レスというんですか、補足を。

これが日本人じゃなくて、例えばイギリスのしかるべき大物が説得してれば、将も納得したんじゃないかという気がします。

アメリカもイギリスも次の段階を考えていたので、日本に任せたのでしょう。(憶測です) (Sep 3, 2006 11:58:24 AM)

 Re:え、金美齢の自伝に既出?(09/02)   popper さん
「岸首相が蒋介石を説得した。」という話が載ってます。国号を「台湾」と変えてという条件だったと記憶します。但し、「訪台して」とは書いてありませんが、話の重要性や「説得」という言葉から読み取れるかもしれません。ちなみに金美齢女史は、岸首相と要人(台湾か)との会談の通訳をした経験があります。
(Sep 3, 2006 03:03:32 PM)

PR

フリーページ

泉ユキヲの観た・読んだメモ 42


観劇・読書メモ 1


観劇・読書メモ 2


観劇・読書メモ 3


観劇・読書メモ 4


観劇・読書メモ 5


観劇・読書メモ 6


観劇・読書メモ 7


観劇・読書メモ 8


観劇・読書メモ 9


観劇・読書メモ 10


観劇・読書メモ 11


観劇・読書メモ 12


観劇・読書メモ 13


観劇・読書メモ 14


観劇・読書メモ 15


観劇・読書メモ 16


観劇・読書メモ 17


観劇・読書メモ 18


観劇・読書メモ 19


観劇・読書メモ 20


観劇・読書メモ 21


観劇・読書メモ 22


観劇・読書メモ 23


観劇・読書メモ 24


観劇・読書メモ 25


観劇・読書メモ 26


観劇・読書メモ 27


観劇・読書メモ 28


観劇・読書メモ 29


観劇・読書メモ 30


観劇・読書メモ 31


読書メモ 32


読書メモ 33


34 観た・読んだメモ


35 観た・読んだメモ


36 観た・読んだメモ


37 観た・読んだメモ


38 観た・読んだメモ


39 観た・読んだメモ


40 観た・読んだメモ


41 観た・読んだメモ


購読雑誌リストアップ


泉ユキヲの美術館・画廊メモ 了


美術館・画廊メモ 1


美術館・画廊メモ 2


美術館・画廊メモ 3


美術館・画廊メモ 4


美術館・画廊メモ 5


美術館・画廊メモ 6


美術展・画廊メモ 7


美術館・画廊メモ 8


美術館・画廊メモ 9


美術館・画廊メモ 10


美術館・画廊メモ 11


美術館・画廊メモ 12


美術館・画廊メモ 13


美術館・画廊メモ 14


美術館・画廊メモ 15


美術館・画廊メモ 16


美術館・画廊メモ 17


美術館・画廊メモ 18


美術館・画廊メモ 19


美術館・画廊メモ 20


美術館・画廊メモ 21


美術館・画廊メモ 22


美術館・画廊メモ 23


美術館・画廊メモ 24


美術館・画廊メモ 25


美術館・画廊メモ 26


美術館・画廊メモ 27


美術館・画廊メモ 28


美術館・画廊メモ 29


美術館・画廊メモ 30


美術館・画廊メモ 31


美術館・画廊メモ 32


美術館・画廊メモ 33


美術館・画廊メモ 34


美術館・画廊メモ 35


美術館・画廊メモ 36


美術館・画廊メモ 37


美術館・画廊メモ 38


泉幸男のブックマーク


トランクルーム 1


トランクルーム 2


旧ホームページ掲載の記事から


中国詩人 牛 漢 の作品「半身の木」


松山市周辺の新たな鉄道整備案


伊澄航一俳句館


南川 航 詩集『ハイウェイの木まで』


「平成かなづかひ」のご説明


ぼくの小学一年生ケッサク作文


日記/記事の投稿

プロフィール

Izumi Yukio

Izumi Yukio

お気に入りブログ

2024年4月一時帰… New! masapon55さん

2024年 3月 奈良 … New! アップラウンジさん

田村洋子 木版画展 T… New! ギャラリーMorningさん

雑誌『DVD&動画配信… ITOYAさん

本日の写真は大吉山… ヨンミョン1029さん

昭和の日奉祝講演会… seimei杉田さん

マシュー・ボーンの… みなみ*さん

3/31「風とロック」… ききみみやさん

江戸東京たてもの園 Urara0115さん

ミュージカルMozart… YYCafeさん

コメント新着

 リベラリスト@ Re:特定アジア、「特亜」という用語(11/04) 日本の繁栄を僻んでる? 今では日本が中国…
 通りすがり@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 私は30代後半ですが、中学生の頃から手書…
 名無し@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 嫌味ったらしい文章ですね、こんなメール…
 佐々木@ Re:リニア新幹線の迂回ルートごり押しは、長野県の恥だ(06/21) 11年越しの返信を失礼します。 現在、静岡…
 背番号のないエース0829@ 第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…

バックナンバー

Apr , 2024
Mar , 2024
Feb , 2024
Jan , 2024
Dec , 2023
Nov , 2023
Oct , 2023
Sep , 2023

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.