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カテゴリ:我が良き虫の世かな
長さ10センチ太さ3センチ余りと他のシロアリにに比べて、これが同じ仲間かと思えるほど、巨大な芋虫の様な、ただただ卵を産むだけの工場となったメスのシロアリを人間は女王と呼ぶ。 まあ働きアリにかいがいしく食事や排泄の世話をされ、敵が侵入すれば、兵隊アリが自分の命を賭してまで守ろうとする様は、人間の目からすると女王に対する揺るぎない忠誠心に映るのは当然だが。 しかし果たして、人間世界の女王の様に尊敬と畏敬の念を持たれる崇高な存在として、シロアリ達が認識しているかは、彼等に聞いてみないことには分からないだろうが、私には女王という呼称よりも、卵を産み、子孫を残すためだけに生かされている奴隷に思えてならない。 もっとも、優れた子孫を得るためには優れた個体が必要であり、それが選別されるという一点において女王に値するのかも知れない。 中にはオーストラリアのシロアリの女王の様に、100年以上も生きるものさえいるという。虫の中では日本のセミが7年で、アメリカの良く研究テーマになる13年ゼミや17年ゼミなどが虫の中では最も長寿と思っていたが驚きである。100年の間、夫の王やその他の家族は何度も世代交代して、その間に50億個の卵を産むのである。もしあなたがこのシロアリの女王になったとすると、女王としての威厳と尊厳を持って生きることが出来るだろうか? 出来る事なら彼女に聞いてみたい気がする。 「あなたの楽しみ、生き甲斐、夢は何ですか?」と。 私が想像するに、ただ卵を産むという機能だけを持った有機物と成り果てた彼女の視線は定まらず、返事は何も帰っては来ないのではと思う。 最後に断っておくが、シロアリとはハチと同じ仲間のアリとは違い、ゴキブリの仲間である。
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