健康的に生きる<酸素不足による症状1>
9月になってから最低気温が20℃をきるようになってきました。朝が随分涼しくなって、外に出て深呼吸すると、ほんとうに空気がおいしいですね。体に良い深呼吸をしたいものです。 さて、人間の生命は充分な栄養と充分な酸素を摂取することで保たれているわけですが、ではその酸素摂取が停止したらどうなるのでしょう。【脳は酸素の最大の消費者】人間のからだの臓器・器官のうち、最大の酸素消費者は脳。重量わずか1.4kgで体重の2%ほどですが、その消費量は全体の25%にもおよびます。そのため、酸素不足に対しては最も敏感に反応を示し、酸欠には最も脆い器官でもあります。筋肉のように、酸素をある程度貯蔵するような芸当のできない脳は、供給された酸素を一瞬に使い果たしてしまいます。そして、心臓停止で酸素を運ぶ血液が止まる、つまり酸素の供給が停止すると、脳の機能もその瞬間で止まり、意識不明の仮死状態に陥ってしまうということです。それでは、酸素が不足状態になるとどのようなことになるのでしょう。『全ての病気の原因は酸素不足にある』野口英世博士の言葉ですが、つまりは酸欠人間であることが全ての病気の原因であると言ったのです。あくびがよく出る閉め切った部屋でずっとパソコンをしていて頭が痛くなったりするいつも集中力がなく頭がぼーっとしている 「高山病」と言う言葉を聞いた事があると思います。これは例えば山頂等の標高が高い高地に身を置いた際、酸素濃度が低いがために酸素不足に陥って、様々な不具合が出てしまう病気の事です。具体的には頭痛、吐気、眠気(めまい)等々です。酸素不足に陥ると、程度は軽いとは言え、まさしくこれと同じ事が起こります。「プチ高山病」とでも呼びましょうか。なんとなく気だるい、すぐに疲れてしまう、ここぞと言う時に踏ん張れない、等々、酸素が不足していると、以上のような不具合が発生してしまいがちになります。 これはそういう体質だと思って諦めていた人も多いのではないでしょうか。しかし、これは体質のせいではなく、酸欠人間であることが問題だったのです。そして、最近、この酸欠人間が急増しているといわれています。血中の酸素濃度は97%以上に保たれているのが正常です。しかし、これが95%以下の人が急増、これを酸欠人間と呼んでいます。たった2%ですが、血中の酸素濃度を2%下げようと思えば、1分間完全に呼吸を止めた状態と同じになります。たかが2%、されど2%。この2%が健康にとって非常に大きな「差」を生んでいるのです。では、その「差」によって発生する症状には、どんなものがあるのでしょうか?(1)酸欠人間は脳の働きが低下する。血中の酸素濃度が低いということは、脳に送られる血液中の酸素濃度も低いということです。さらには、脳に送られる血液量自体も減ってしまいます。つまり、脳もまた酸欠状態を引き起こしているのです。脳細胞が酸欠になると、当然、脳の動きも鈍くなります。何となく「脳に酸素がまわっていない」という感覚、わかりますよね。急な運動をしてゼイゼイ言って意識がもうろうとしているのと同じ状態です。脳も酸欠を起こしてもうろうとしているのです。約145億個といわれる脳細胞が、正常に活動するためには多量の酸素が必要です。そのため、常時、酸素補給のため脳を循環する血液の量は、なんと1日2,000リットル、それはドラム缶10本分にも達する量になります。体重60kgの成人で約4リットルの血液が全身を流れているわけですから、これは人体の総血液量の約500倍に匹敵する量ということになります。 「いつも眠い、疲れやすい、集中力や記憶力がない、物忘れがひどい」という人はいませんか。もし、このような症状がある人は、あなたの脳が酸欠状態になっており、正常な働きができていない可能性が高いということです。《続く》