カテゴリ:動物行動学 進化論
足の指の骨は、踵(かかと)に向けて長く伸びている。
骨格だけ見ると、人の手と足は、一見とても似ているが、著しく違うのは、親指の生えている方向である。 手の場合、親指は他の四指に対して直角近い角度で生えているが、 足の場合、他の四指と同じ方向に親指が生えている。 ヒト以外の多くの霊長類の手は、ヒトの足のように親指が四指と同じ方角を向いている。 ヒトが手を器用に使えるのは、この親指の生える方向のお陰だ。 一部の進化論学者には、「ヒトは、器用に使える指を獲得したことで、大脳を大きくせしめたのだ」と仮説している人がいる。 指で色々、器用な工夫を繰り返すと、脳が活性化するのだという。 実際、老人に指の体操をさせると元気になる。 しかし、進化論学者のいう、脳が巨大化するまでに、本当に影響するだろうか。 例えば、わたくしのご先祖さまは何代上っても百姓だと思うが、日本の下級民の凄いところは、大部分が早い時期から、箸という、世界的に見れば器用極まりない道具を利用しているということだ。 (筆もそうだが、筆を使えたのは一部の上流民だけだったので、除外。) それだけ箸を使い続けた割には、他の民族に比べ脳が進化しているとは思えない。 勿論、日本人にも天才はいるが極一部であって、総じて外国人に比べて長けているとは到底思えない。 だから、たくさん器用に指を使うと脳が活性化はするかもしれないが、進化まではしないだろう。 上記の進化論学者の話は、「仮説」の紹介。 我々大人は、しばしば「仮説」や「常識」に惑わされる。 「偉い人が、こう言っているから。」とか、 「きっと、こうなるに決まっている。」とか。 それを拭えぬ限り、人は加速度的に老いるであろう。 40歳の誕生日を前に、己への戒めである。 横尾けいすけ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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