カテゴリ:ほっ……と したい
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![]() 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 ![]() ^-^◆ 見知らぬ人から……亡き親父の話 【 随分昔の……ある夏の日の思い出 】 暑い暑い!!!! 九州の夏は暑いよ~~~。(@_@;) 会社の帰り……行きつけの居酒屋に飛び込んだ。 生ビール……。 キューーッと喉を通る心地良さぁぁ……。 (-。-) 最高だネェ~~~~…………。 客は、4、5人……。 ふと、気が付くと……、 カウンターの一番奥のお客さんが、 チラチラとこっちを見ているが…………。 ハテ……? 知った人でもないので…………、いっか!! ![]() 突き出しの小魚の煮付けと、冷奴をパクツク。 ウゥッ……旨い!!! やっぱり夏のビールにゃ……冷奴がいいねぇ~~~~~~~~。 鰹節なんてかけない方が好きだね。 折角の豆腐の滑らかな舌触りが無くなっちゃう……からね。 「……あのー、あんたねぇ……」 突然、後から例のお客さんが声を掛けてきた。 ![]() ……トイレの帰り……の様だ……。 「えっ?……ハイ?」 「あんた、数三さんの息子さんじゃない……?」 「えっ?……あっハイ。あのー…………」 「……オゾノ踏切の所の……」 「…………ハイ、…………そうですが」 「やっぱり、そうか……お父さんそっくりやなぁ」 感慨深げに見つめられて、ちょっと恥ずかしい……。 ![]() 「父をご存知ですか?」 「うーん、えらい世話になった……」 「そうですか。まっ、良かったら座って下さい」 「ああ、スマンスマン。日野って言うんやけど……」 「ママさん、こちら、日野さんの飲み物こっちに回してぇ」 「ありがとう……。あんたの親父さん、昔、大工の棟梁でなぁ」 「……ハイ、そうです。確か、35歳位まで……」 「うん、あんな事がなけりゃー。もっとやれたに……」 「ハイ、残念がってました。日野さんも大工さんですか?」 「うん、あんたの親父さんに手ほどきして貰ったのよ」 「そうなんですか……。」 ![]() 「腕も良いし、気風も良いし……良い棟梁やった……」 「ありがとうございます……。父もあの世で喜んでるでしょう」 「亡くなってなきゃー95たい。ワシが80じゃから」 「日野さん、80歳?そんなに見えませんネェ」 「はははっ……バカは、年取らないのよ……」 「……いぇ…………・・・・(-_-)」 「仕事にゃー厳しかったなぁ…………」 「親父ですか……?」 「そのお陰で、ワシみたいな者が一人前になれた……」 「そんなに、厳しかった……デスカ?」 ![]() 「ああ……、建築大工はひとつ間違えば命落とすからな」 「……」 「おまけに腕が悪けりゃ、家主につまらん家を渡す事になる」 「……」 「家主にとっちゃー、一生一度の大散財やからなー」 「……」 「あれほど金を使うことは……人生で、まず……無い……」 「……!!」 「ちゃんとした、仕事をしなきゃ、申し訳ない」 「……」 「いつも言われたもんだ……」 ![]() 「ありがとうございます。一杯お注ぎしましょう……」 「スマン、スマン。親父さんも、日本酒党やった」 「ハイ、晩年は焼酎も呑んでましたが……日本酒党でした」 「しかし、あんた……親父さんそっくりやなー。 あんたも、親父さんに似て、酒が強そうやな……」 「ははははっ……、お陰さまで……」 「……笑ったら、ますますそっくりだよ……棟梁の若い頃に」 「はぁー…若いと言われましても、私もソコソコの年で……」 「はははっ……、違いない。アッチに行ったら、 又、親父さんに怒鳴られながら、 一緒に飲もうと思ってるよ」 ![]() 「ありがとうございます……。でも、まだまだ、こっちに 居て下さい……。長生きして下さい。」 「ははははっ……こればっかりは、自分じゃ決められん。 おっと……来た来た、よーい、こっち、こっちや」 「あっ、連れの方ですか……?」 「うん……、坊ちゃん!邪魔したねぇ……」 「いえいえ、ありがとうございました」 何十年ぶりかで……坊ちゃんと呼ばれて気恥ずかしい事……。 (^_^;) 日野さんは猪口と銚子をつまんで、そそくさと元の席に 戻って行った。 偶然の出会いだが、久しぶりに父の話を聞いた。 地元の居酒屋の、良い所かなぁ…………。 ![]() ここには、息子達も時々のみに来ているが……、 いつか、自分の友人や、後輩が、 日野さんみたいに言ってくれるような……、 ……そんな親父でありたいなぁ……等と、 思いながらジョッキを傾けた。 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 ![]() ![]() ================================================= お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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