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2007.04.26
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カテゴリ:BL小説

『秘密』木原音瀬

あああ暗いな~湿気が多いな~。でもやっぱり木原さんだよな~。
でも最近の木原さん、どんどんBLから逸脱していて「本当に、どこ行っちゃうの?」と思っていたので、ひさびさにBLらしいシーンが随所にあって、ちょっと安心(笑)。相変わらずエチーシーンには萌えないが。

出会いのシーンの攻めの挙動不審と、現実と虚構がごっちゃになっている受けの言動から、今度は学習障害かアスペルガーの攻めと、ちょっと統合失調症入っちゃってる(?)受けなんだ~と、読み始めて10数ページでいや~んな予感。
障害持ちの話は実は大好物だったりするけど、脳の障害を匂わせる行動をする登場人物は、とらえどころがなくて苦手。

脳が腫れていそうな過剰妄想している受けより、天然で学習障害(失読症)抱えている攻めに珍しく感情移入した。や、年齢的には従兄弟のゲイバーのマスターのほうが好みなんだが。

で、攻めの障害は本編では明確に語られず、書き下ろしの2本で少しずつ明らかにされていく。『檻の外』の攻めも、情緒障害抱えていそうなのに、はっきりとは語られずイライラしたけど、この作品はそういう意味ではスッキリと筋を通している。

失読症っていえば、キャメロン・ディアスが主演した「IN HER SHOES」が面白かったな。欧文の場合、脳はアルファベットの上半分で認識して単語や文章を理解しているというのを何かで読んだけど、たかだか30文字程度の組み合わせでしかない欧文、しかも表音文字に比べて、日本語は表記だけでも3種類、漢字の組み合わせは音訓もある表意文字だからさらに複雑で、克服するのは難しそうだ。後天的な失語症とは全然別物だものね。

妄想入った受けの造形が過去に読んだなにかとデジャビュった。BLではないんだけど、原型はカミュの『異邦人』のムルソーではないかと思ったり。通常の一貫した論理性が失われている男という設定は、結構普遍的な設定なのかもしれない。で、倫理性はあるけど、それをうまく表現できない攻め。なんていうか、そんな凹凹コンビで凸凸なことをしているわけなんだな(笑)。

あと、最近気になっている川本コオの『震える夏』「夢の中で犯した罪を現実の生活の中でふとしたはずみに思い出して不安に刈られる」という設定が同じだ。今週の『AERA』で湯浅学が書いていた。
この本、40年近く前の作品なのに、今なお色褪せない。版元のサイトには「アンチヒロイズム、サイケデリックアンニュイの名作」とあって、ああそうかと納得。この路線が今、サブカル系の「OPERA」や「f」なんだな。「BGM」も買ってみたけど、それっぽい。
「震える夏」が復刻されたのは昨秋だから、木原さんが「秘密」を書く時点で知るはずは無いのだけど。

あああどんどん話がそれる。

「秘密2」は、社会に適合できない攻めを何くれとなく気にかけてくれていたゲイバーのマスター視点。淡々と出来事を説明している感じで、あまり心の動きとか情念などは伝わってこなかったけど、体の渇きを優先しちゃうセックス魔人な誘い受けのマスターに萌え。ちゃんと人材育成もしているし(笑)。性のモラルはなさそうでいて、面倒見がよくて、この人なりに、親族の前とかではうしろめたさもあって、こういう「一般社会における自分の居場所捜し」的な話はツボ。

そして40ページ足らずの短編、「秘密3」が、むしろこの本の中では木原節の真骨頂かも。短編もいいじゃないか! ここにあるのはBLにあるまじき家族の絆。これは『箱の外』をちょっと髣髴とさせるヒューマンドラマにもなっていて、ちょっとうるっときた。母親を出してくるのはずるいよ。

ただし「秘密2」から気に入らなかった攻めの父親の造形はわかりやすすぎ。頭固いにもほどがある。弁護士といっても民事は関係なさそうだなあ。あと父2号みたいな弟も血が通っていないっぽい。
身内に障害者や認知症の年寄りがいることを隠そうとするような前近代的な思想が、きっと日本のどこかにまだ存在することを思い起こさせる。

……はっ。ところで二人の愛の行方は? 

結論:こういう造形描写の難しそうな特殊設定をもってきて、ラブに仕立てるというのが、相変わらずチャレンジャーで木原さんらしい。でも楽しく読めるBLとは別の場所に立っている。

そうだ、致命的な誤字脱字が2箇所あった。赤ペン先生は見逃さないぞ(笑)。
それと、茶屋町さんの挿絵、切り絵か木版画みたいだねえ。これもBL挿絵の新境地?






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Last updated  2007.04.26 08:56:46
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