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楽天・日記 by はやし浩司

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2007年09月25日
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カテゴリ:育児問題
●21世紀の子育て論(悪しき画一平等主義)

 頭のいい子どもは、本当に頭がいい。遺伝子が違うかと思うほど、頭がいい。数年前東京の
A中学へ入ったD君も、また昨年同じ中学へ入ったN君も、そうだった。彼らは小学5年のとき
には、すでに中学3年程度の英語と数学をマスターしてしまっていた。と言っても、特別のこと
を教えたわけではない。教科書とノートだけを与えておけば、自分で学習していまう。教える側
からすれば、これほど楽な生徒はいない。ポイントだけを、それこそ雑談混じりに教えれば、そ
れですんでしまう。

 一方、そうでない子どももいる。教えても教えても、ちょうどザルから水がこぼれるように、教
えたことが消えてしまう子どもだ。S君もそんなタイプの子ども(中2)だった。たとえば英語の
単語でも、一時間かけて数個覚えるのが、限度。しかも次の週にはそっくり忘れてしまってい
た。

 誤解がないように申し添えるが、私は午前中は幼稚園の教師を勤め、午後は中高校生の塾
を開いていた。幼稚園の給料だけでは生活できなかったので、当時の園長と話し合ってそうい
うふうにさせてもらった。だから一日の流れの中で、私は幼児から高校3年生まで、見ることが
できた。結果的にそれがよかった。私は幼児を教えながら、いつも「この子どもはこうなるだろ
う」という予測をしながら教えるようになったし、またそれができるようになった。反対に中高校
生を見ながら、「この子がこうなったのは、幼児期のどのあたりに問題があるのか」を考えなが
ら教えるようになったし、それがわかるようになった。

 結論から先に言えば、人間の能力は平等ではない。平等であるという前提で教えるから、話
がおかしくなる。これも誤解があるといけないので申し添えるが、ただし優劣があるというので
はない。先に書いたD君やA君は、たまたま勉強という分野にすぐれた能力を発揮したが、そ
れがすべてではないということだ。D君は運動がまったくダメだったし、N君も、絵がまったく描
けなかった。一方勉強ができなかったS君は、学校をサボって、近くの公園でゴルフばかりして
いた。もし運動や絵画が主要科目ということになれば、D君やN君は、確実に落ちこぼれという
ことになっていたであろう。そのS君にしても、高校を中退したあと、プロゴルファーの道を歩ん
だが、25歳そこそこの若さで、100万円以上の月収を手にしていた(85年当時)。

 こうした子どもたちを見ていると、問題はもっと別のところにあるように思う。D君にしても、N
君にしても、いつも「学校の勉強はつまらない」と言っていた。S君もそうだ。そしてD君もN君
も、そしてS君も、結局は学校とは離れた世界で、自分を伸ばすしかなかった。しかしこれはた
いへんなエネルギーを要することだ。「能力は平等だ」を歌い文句にしている現在の教育が、
一方でこういう子どもたちを生み出している!

 繰り返す。子どもの能力は平等ではない。だからそういう前提で、今の学校教育を再編する
必要があると思う。またしなければならない。もうあの画一平等主義は、21世紀の日本の実
情に合っていない。(以上、01年記「子育て雑談」)

(補記)

 ここに書いたことは、すべて実話である。こうした子育てエッセーを書くとき、気をつけなければならないのは、登場する親や、子どもたちが、だれであるか、それを絶対にわからなくすること。その周辺の人が読んでも、わからなくすること。

 が、ここに書いた、D君にしても、N君にしても、彼らの名前の頭文字を、そのままとった。S君については、本名は、M君である。この「悪しき画一教育」については、そのあとも、何度もテーマとして、エッセーを書いた。

 で、それから4年。今、学校教育は、急速に変わりつつある。恐ろしいほどの変化と言ってもよい。先生たちの意識も、それに合わせて変わりつつある。いわゆる学校教育そのものが、従来の「画一型」から、多様性をもった、「個性尊重型」に変わりつつある。

 と言っても、日本の教育が変わりつつあると考えるのは、正しくない。日本の教育は、戦後、あまりにも(世界の常識)に背を向けすぎていた。それがここにきて、急速に欧米化し始めたと考えるのが正しい。つまり、世界の標準に近づきつつあるということ。またそういう視点で日本の教育をながめないと、日本の教育のこの変化を、正しく理解できない。
(はやし浩司 画一教育 教育の欧米化 個性尊重 子どもの能力 日本の教育)






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最終更新日  2007年09月25日 07時52分09秒
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