「仮面くん」と呼んでいます、猫です。
決して、うちの猫ではありません。
なお、こうした柄の猫は、英語では、タキシード taxude と云います。
仮面が最初に、わが末次家実家に来た時は、
野良猫君と思っておりました。
が、ある日の事、青い首輪をして、我が家に
来たときがありました。
<あ、仮面の奴は、どこかの飼い猫バイね!>と
我が家の人間はそう思いました。無論、俺もそう思いました。
また、別の時には、紫色の首輪をしておりました。
だから、ますます、「仮面君はよそのお宅の猫」との認識が強くなりました。
その割には、うちに来て、餌をお召し上がりになります。
その図々しさは、俺によく似ていて親しみを覚えました。
仮面君がどこかの飼い猫という事は事実と思いますが、聞き込み調査をしたところ、
どうやら、ご近所の家々に立ち寄っては、食事をなさっているらしいです。
なにか、むかーしの チンピラみたいです。
渥美清さんも、役者になる前は、
やくざ(本職の香具師組織)の一員でしたので、ご本人が語るには
(たしか霊岸一家といった感じの名前の組)
「自分が、軒先に立ったら、すっと、御金が包みにはいって渡される。
その事で、親分に褒められたそうです」
仮面君も、姿を見せたら、その訪問先の住人が
すっと、カリカリやら、チュルチュルやらを出します。
戦後すぐのやくざ的な、風来坊なので、
俺はまさに自分を見るかの思いで、仮面君の事を
気に入っています。ただし、この夏場、ノミだけは
うちにもちこまないように、さんざんっぱら、本人に注意をしました。