テーマ:暮らしを楽しむ(383663)
カテゴリ:Q輔とU子と「雑貨」
これ、牛丼屋さんにあるスプーン。ご存知、めっちゃ食べやすいスプーン。 これまで牛丼屋で牛丼を食べるたび、 ねえ、兄ぃ、このスプーン欲しい! ねえ、ちょーだい! 兄ぃ、これちょーだい! と店員さんに言いだしかねない自分を抑えるのに必死でしたので、 先日、妻に調べておくよう依頼したら、やっぱり市販でありましたねえ。 そっくりですが、牛丼チェーン店が独自で販売しているものではありません。念の為。 色は、赤と黒がある。 妻いわく、食洗機で洗えるのがうれしい、とのこと。 さて。 実はQ輔一家、3月21日から2泊3日で東京ディズニーランドへ行ってきたぞ。 この時期はきっと仕事が暇になっていると見越して、去年の10月頃に既にホテルを予約していたんですけどね。 ところがどっこい予想に反し、この3月もあれよあれよと忙しくなっちゃて、だんだん雲行き怪しくなってきちゃって、 「いやぁ~こりゃムリかも、ひょっとしたらディズニー行けねーかも、あはは。」なんつって薄ら笑いで家族に打診したら、 「・・・私らは、べつにいいけどさ。てか、あんた、家庭内村八分になるよ? あんた、それでいーの? ねえ、大丈夫?」 なんつって妻に言われちゃって、その時の妙に冷静な物言いが、逆にすんげー怖くて、 「村八分」の意味も分らず妻の横で深くうなずいている八歳と四歳の、キラリと光る眼光が底冷えするほど恐ろしくて、 「必ず連休を取るべく、しゃかりきに働かせていただきやーっす!」なんつって、かろうじて滑り込みセーフだバカヤロー。 まったく、パパはつれーぞコノヤロー!とほほ。 この時期、世間的には春休みの始まりってことで、ランドもシーも、人でごった返していましたよ。 うちはまだ子供が小さいので、子供向けのかわいいアトラクションを中心にまわって楽しみました。 それから、ホテルの夕食のビュッフェで「北海道フェア」が催されていいて、 そこでタラバガニやらズワイガニやら、その他北海道の料理をたらふく食べたりしました。 愛する家族と贅沢な休日を満喫し、夢のような時間を過ごしました。 まあ、自分で稼いだ金だし、誰に感謝してんのか分かんねーけれども、 「ありがてぇ」 そんな気持ちでいっぱいでした。 でね。 向こうに滞在の二日目、思わぬ人物の訃報を受けました。 この日は平日だったので、僕が有休を取っていることを知らない協力会社の人から連絡があり、 彼からの簡単な仕事の問い合わせに答えた後、「・・・そう言えばQ輔さん聞きましたか?」とその時訃報を聞いた。 亡くなったのは、C君という僕の取引先のハウスメーカーの、僕と親しい監督さんだった。 つい先日も彼の下で、二世帯住宅の現場を一緒に竣工させたばかりだった。 自殺した。・・・とのこと。 いつ、どこで、どのように、詳しいことは先方のガードが固くてよく分からない。 事業拡大に伴う、過度な仕事量、プレッシャー、ストレス、どうやら原因はそんなところらしい。 葬儀の連絡はどの会社にも出されていない。密葬であろう。 そりゃそうだ、報じ方次第では、協力会社も客も、先方を見限りかねない。 ひっそりと、内密に、フェイドアウト、フェイドアウト・・・。 八年前僕は当時の僕の売り上げの大のお得意様であったそのハウスメーカーに、家を注文しました。 その時、我が家の新築工事を担当してくれたのがC君だった。 入社後の研修期間を経て、実際に工事を自分一人で担当するのは、僕の家が初めてとのことだった。 新人を我が家の担当にすることについては、先方の支店長から「C君に経験を積ませてやって欲しい」と直々にお願いがありました。 どーぞ、どーぞ、こちらこそ光栄です。と僕は答えた。 そう、僕の家は、C君が建てた。 竣工式の時、四方祓いといってお酒とお米を四方に撒いて回る神事がある。 戸建住宅の竣工式で神主なんて滅多に呼ばないので、通常は建築業者がリードして執り行う。 「それでは、北の方角から時計回りにお酒とお米を撒いて行きましょう。」 C君はそう言って、堂々と南に向かって歩き出すような人だった。 持たされたトックリが妙に軽いので、「C君、これお酒入ってる?」と僕が聞くと、 「もちろん、僕、先ほどバッチリ入れましたから」と答えた。 僕にはどこから見てもカラのトックリにしか見えないのだが、 C君を信じて、てかC君の顔を立てるだけの意味合いで、とりあえず酒を地面に撒くモーションをした。 やっぱり、カラだった。 C君、支店長にこっぴどく叱られていた。 その横で、妻は爆笑していた。 着工から竣工まで、C君はずっとこんな調子だったが、 なんだかんだで、僕の家は、完成した。 なんだかんだで、僕の家は、C君が建てた。 C君、何故死んだ。 君は、馬鹿だなあ。 すべては、生きていればこそじゃないか。 今日は辛くとも、明日は楽しかったかもしれない。 いつか、とんでもない大金を手にしたかもしれない。 ある日、すんげー美人とよろしく出来たかもしれない。 輝くマイホームに、妻がいて、子供がいて、そんな家庭を築けたかもしれない。 タラバガニやズワイガニを、たらふく食べられたかもしれない。 ミッキーに会えたかもしれない。 ぷーさんと写真を撮れたかもしれない。 でも、それもこれも、生きていればこそ。 生きていればこそじゃなか。 死んだら、何も出来やしないぞ。 C君、僕はこれからも、愛する家族と、君が建ててくれた家で暮らしていくよ。 君が、この世に、恨み、辛み、どれだけの怨念を残して死んだのか、んなもん知んねー。 僕にとっては、そんなの関係ねー。そんなの関係ねー。 C君、見てろ! 僕は君が建てた家で、これからも、ちょー幸せに暮らしてやるからな! 生きていればこその高笑いを、ずっとずっと君に聞かせてやるからな! それが、君への供養です。 旅から帰った翌朝、炊き立てのご飯に生卵をぶっかけて食べた。 僕は卵をかき混ぜない派、醤油も直接垂らします。 最後に味の素と一味をひとふりする、それがQ輔流。 めっちゃ食べやすいスプーンでかっこむ。 ああ、美味し。 タラバガニもいいんだけどねえ。 結局のところ、舌がこういう料理に帰っちゃうのよねえ。 こんな美味い卵かけご飯を食べられるのも、 生きていればこそ。 死んだら喰えねーぞ。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.03.26 15:47:46
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