テーマ:歳時記(397)
カテゴリ:父の麦わら帽子
今から60年くらい前の秋祭は大人も子どもも年間でも最大級の楽しみだった。
御神楽が舞い、笛がなり神社は賑やかだった。 普段は静かな小さな村にも、祭になるとお宮の参道に多くの出店がならんだ。 綿菓子売りに、ヨーヨーつり・・・。 おもちゃの刀や人形を売る店と狭い参道の両側に出店が並び、活気があった。 普段は、私たちきょうだいは、親からこづかいをもらったことがなかったが祭の日は特別で、ひとり50円のこづかいをもらった。 うちが貧しいということを知っていたので、それ以上を望まなかった。 まだ小学校に行く前の妹と一緒に参道を歩くと、妹が 「これを買う」と人形を指さした。 その人形は50円だった。 「それを買(こ)うたら、綿菓子やヨーヨーが出来んようになる」と私は止めた。 それでも妹は買うというので、私は許可した。 人形を手にして、妹は嬉しそうだった。 私は、自分の50円の中から綿菓子を買って、妹と食べた。 祭が賑やかではなくなったのは、いつからだっただろう。 50円は今の貨幣価値でいくらぐらいだったのだろう? 500円くらいなのかもしれないが、当時、私の家では、祭だけに許された贅沢だった。 賑やかな祭が終わると待ち遠しかった分、さびしかった。 母がよく■「待つが祭■と言っていたのを思い出す。 ・・・・・・・・・・・・ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.10.27 11:49:46
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