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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2018.12.06
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カテゴリ:SF
一読して、タニス・リーの『銀色の恋人』の女性版の印象を受けた。だが、そればかりとも言えない。​『女の国の門』​ほどのあからさまなフェミニズム小説ではないけれど、そういう要素もある。

マギーは、「理想の恋人」「深窓の令嬢」として作られた。しかし、外界に出てその莫大な情報量を処理できなくて自己が崩壊しそうになった時、創造者は「第一に自己を保全せよ」とコマンドした。そのために殺人まで犯してしまうのだが、自己保全のため、その記憶は封印された。これだけでも、​アシモフのロボット世界​からは考えられない出来事なのだが、さらに彼女は「成長」する。内なる自我に目覚め、創造者アーノルドを出し抜き、同じヒューマノイド型ロボットのパートナーを得、幸せに暮らす。

ごく簡単に梗概を書いたが、実際はとても読み応えのある本だ。例えば、ヴァーチャルという言葉には何重もの意味がある。ひとつは、人工物の存在として。もう一つは、目に見えない「自我」をもつ存在として。また、人間のふりをして社会に溶け込んでいる人間そっくりな存在として。

なお、創造者との対決、という意味では​『ロボット・イン・ザ・ガーデン』​に似た所もある。『銀色の恋人』と合わせて、奇しくも女性作家が、男性、少女、子どもの「ロボット」の話を書いたことになるわけだ。また、不具は文系人間で、コンピュータ用語には疎い方だが、四半世紀前に書かれた本なのに、まるで昨日刊行されたようなリアリティがあったことも、最後に付け加えておきたい。


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Last updated  2020.03.27 20:46:26
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