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カテゴリ:本のこと 映画のこと など
週末、映画「永遠の0」を見に行きました。 小説の方は3年くらい前の東京出張の際に、東京の本屋で買って帰りの新幹線の中で読みました。 新幹線の中でも泣けてしまって、顔があげられなかったですね。 当時は文庫化されてすぐのころで、すでにかなりのベストセラーでしたが、この本はその後も売れ続け、今では累計発行部数が500万部に超えたとか。 それだけ、読んだ人が人に勧めたということなのでしょう。 この物語は太平洋戦争末期の特攻隊で死んだ人の話です。 すでに50歳を超えた私でさえ、戦争というものの実感がほとんどありませんから、今の若い世代ではなおさらでしょう。 日本という国は、敗戦し、占領され、戦争までの日本のありかたを全否定されます。 その時点で、戦争以前の過去というのは「否定されるべき過去」「恥ずべき過去」になってしまいました。 そのために、現代の社会に生きる日本人は、今の日本の土台を作ってきた人たちの苦労も心の在り方も知しません。 日本という国の繁栄は、決して戦後の努力だけで生まれたものではないでしょう。 極東の小さな島国が、欧米列強を相手に無謀な戦争を繰り広げたのは、単純に領土的な野心だけであったのか? この物語が日本人の多くに受け入れられた要因の一つは、「物語の連続性」への感動だと思います。 今の自分、今の時代が、過去の大きな犠牲の上に成り立っているということ。 家族の将来、国の将来のために死んでいった人たちが、今に日本を残してくれたのだということ。 現実にそういう過去があって、今につながっているということ。 今まで根なし草のようであった自分のアイデンティティに、しっかりとした根の生えたような感覚がこの物語の中にはあります。 戦後の時代を生きた父親の世代。 戦争の時代を生きた祖父の時代・・・。 今はすでに年老いてしまったり、死んでしまったりしている身近な人たちが、しっかりと時代を生き抜いて、今に時代があるということ。 そのことに感謝し敬意を払うこと。 それが「誇り」というものでしょう。 誇りというのは、歴史の連続性の中でこそ生まれてくるものだと思います。 考えさせられる小説であり、映画です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/01/23 12:38:41 PM
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