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カテゴリ:ロボサムライ駆ける2011
ロボサムライ駆ける■第54回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ ■第七章 血闘場(3) 「マ、マリア」 主水は倒れて身動きできない。 「ああ…、マリア…」 「ねえさん」 思わず、鉄が倒れたマリアの方に走っていく。 マリアの体に触る。 その時、鉄の脇腹に何かが突き刺さった。 電磁ナイフである。 そのナイフは、マリアの手から鉄の腹に深々と突き刺されたのだった。 「うっ、ま、まさか、ねえさん」 信じられないものを見たような鉄。 「そうです、今頃気がついたのですか」 マリア、いやリキュールは、ゆっくりと起き上がる。 「今までのすべての情報はそれじゃ…」 つぶやく鉄。膝をつき、苦しげに鉄はマリアを見る。 「そうです、私リキュールがロセンデールに伝えてたのです」 「そ、それじゃ、あんまり主水のだんながかわいそうだ」 「黄色いロボット風情から、そんな言葉は聞きたくないですね」 リキュールは、 「それから、私を姐さんと呼ぶのも気に食わないのです。私の嫌いな黄色いロボットからねえ」 と言い置いて、握っている電磁ナイフのつかをぐっと押した。 電磁波が鉄の体を貫く。ビクッビクッと鉄の体が動く。恨めしげに鉄がマリアの顔を見上げる。 「ねえさん、そいつはあんましだ…」 鉄の下半身が吹き飛んで転がる。 「鉄…」 主水が唸る。 「夜叉丸、マリア=リキュールを倒せ」 観客の中から声が上がる。 レイモンが夜叉丸に命令していた。 「御前、わかり申した」 夜叉丸が、背中から「鉾」を引き抜いて、祭壇に立っていた。 「異国の女ばら、私が退治してくれよう」 「ほほう、魔道師風情が何をおっしゃる。私の腕をとくとごろうじろ」 「マリア」 倒れた主水が、とぎれとぎれにしゃべる。 「ふふん、気安くお呼びでないですわ、このアジアの黄色いロボット」 「お前…」 冷や汗がしきりと主水の顔を流れ落ちる。 「ふふ、そのとおり。彼女リキュールは、昔から我々聖騎士の一員だったのですよ、主水くん」 後ろから、リキュールの肩を抱き、ロセンデールが勝ち誇って続ける。 「貴様、先刻…。くそっ、背後で糸を引くのは、やはり、ルドルフ大王か」 「陛下を、呼び捨てにしないでください!」 ロセンデールのハンサムな顔は赤くなる。 「そうよ。ルドルフ大王は、ユダヤの血と黄色い血が一緒になって、白色帝国を脅かされるのを嫌っておいでなのよ」 リキュールは吐き捨てるように言った。 「夜叉丸、薬を投げろ」 レイモンが夜叉丸に、自分の薬タンクを示した。 「ですが、御前」 「よい、このさいじゃ。後は何とかなろう。心柱をあやつらヨーロッパ勢に取られては後の祭りじゃ。まず、わしの体をより、あやつらを倒すことじゃ」 レイモンも青い顔をしていた。 「それでは、御前、許されよ」 夜叉丸は、そう叫び、レイモンの背中に張り付いている薬タンクを掴み、最上段から投げ降ろす。 「やーっ」 夜叉丸が、落合レイモンの薬をばらまいた。 祭壇は薬のほこりでまいあがっている。 「ロセンデール、ここは私にまかせて。この夜叉丸とかと、勝負します」 「OK、リキュール、君にまかせよう」 ロセンデールはしりぞいた。 夜叉丸とマリア・リキュールが対決していた。 「マリア・リキュールとやら、私の鉾は特別なのだ」 夜叉丸は無表情に告げる。 「ほう、どこが特別なの。聞かせてほしいわね」 「それはこうだ」 夜叉丸が、力を込めて鉾を投げる。意外な展開だった。 「何よ、これは」 目の前の出来事をマリアは信じられぬ表情で見る。鉾は、十倍に膨らみ突き抜ける。一瞬マリアの体をばらばらに吹き飛ばしていた。 「ま、まさか」 ロセンデールが一瞬青ざめた。 「日本古来の鉾。この古代都市では、古来から、皆様方の霊気を集めて膨張する」 冷徹に夜叉丸が言う。 「そうじゃ、今回はわしの薬で膨張させたのじゃ」 「くそ、マリア=リキュールの敵、私が貴様を倒してやる」 主水は祭壇の所で倒れたままだ。 主水は無視され、最壇上はタッグマッチの様相を呈している。 「夜叉丸よ、お前の本当の力をお見せしろ」 「よろしいので、レイモン様」 「よいよい、少しは皆を驚かせてやれ」 レイモンは甲高い声で言った。 (続く) ■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.04 16:17:26
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