『神学校の死』 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) P.D. ジェイムズ (著), 青木 久恵 (翻訳)
P.D. ジェイムズの「アダム・ダルグリッシュ」シリーズを読破中。この作品もまた私の好きなテイスト。P.D. ジェイムズ中毒にかかったようです。 【送料無料】神学校の死 [ P.D.ジェ-ムズ ]価格:1,890円(税込、送料別)イギリスのサフォーク州にある「聖アンセルムズ神学校」でまず事故だか自殺だかはっきりとしないが、一人の神学生が死亡します。死亡した学生の父親が「事故死」との審問に納得せず、ダルグリッシュに詳しい調査を依頼。ダルグリッシュが休暇を利用して聖アンセルムズ神学校へと赴くと、第二~第四の殺人がおき、コトは塾雑な様相を帯びてきます。英国国教会内の地位がよくわからず、「大執事」とか言われてもピンきませんが、このあたりの権威性を理解していると作品の面白みが違うような気がしました。そして、「神学校」という舞台に、興味が引かれます。重厚で敬虔な雰囲気が漂う上に、そういう設定だからこそ登場人物一人ひとりのキャラクターがすごく際立ちます。結局、犯人の動機がなんだったのか、よくわかりませんでした。それは受け継がれる財産がどれほど莫大か、実感が伴わないせいでしょう。アダム・ダリグリッシュのTVシリーズはこの作品から始まったと記憶していますが、そのときもすっきりしなかった。原作を読んでからなら全然違うと思うので、今一度映像で見たいものです。ミステリーというより、文学作品として読む方が適切なスタンスの一冊。分厚い割には、それを感じさせない読み応えがあります。