日生劇場 十二月歌舞伎公演(12/17夜の部)
「七世松本幸四郎襲名百年」と副題が付いていました。口上を述べた染五郎・海老蔵・松緑は七世松本幸四郎の曾孫らしい。そんなことも知らず、いろいろあってもやっぱり年末のこの辺で(?)、梨園のイケメンを鑑賞しておきたい・・・と浅はかな理由で出かけたのでした。一、錣引(しころびき)~摂州摩耶山の場 順礼七兵衛実は悪七兵衛景清:染五郎 虚無僧次郎蔵実は三保谷四郎:松緑 忠光妹伏屋:笑也 長谷三郎:亀寿 木鼠次段太:市蔵二、口上(こうじょう) 染五郎 海老蔵 松緑三、歌舞伎十八番の内 勧進帳 武蔵坊弁慶:海老蔵 富樫左衛門:松緑 源義経:染五郎 亀井六郎:亀三郎 片岡八郎:亀寿 太刀持音若:梅丸 駿河次郎:猿弥 常陸坊海尊:市蔵歌舞伎座でやるより短めで、夜の部は19時前に終了。コストパフォーマンス的には悪いですが、上演時間はこれくらいの方が助かります。半日がかりの観劇には、最近はからだが付いていけない。。。「錣引(しころびき)」は初めて見ました。平家物語などで有名なあのシーンでしたか。平家軍団一の豪傑とされる平景清と、源氏の美尾屋十郎が一騎打ちしたんですよね。歌舞伎の技法もふんだんに、クライマックスだけを取り込んだ舞台は、力強く華やかで見応えがありました。口上では、松緑が染五郎の学生時代のモテモテぶりなどを長々と話していて、「毎日これを横で聞いている染五郎は忍耐強いなー(笑)」と思っていたら、毎日話題は変えるらしい。そういうナマならではの面白さがありました。海老蔵はなんとなく元気がない感じがしましたが、こういう場面では松緑のように遊び心は出せないタイプではあります。見なれた「勧進帳」も、この3人でやってくれるとなると、見ておきたいところでした。富樫は下級役人とはいえ、ちょっと洗練された立ち居振る舞いをする方が私は好きです。涙をこらえるところは、松緑は勘三郎のように思い切り顔を上に振り上げていたので、もちっと抑え気味でもよいのではないかと。染五郎は見目麗しく品があって、義経が似合いますね。一時は地味な感じもしましたが、3人の中では年長で他の2人から立てられているせいか、今日はすごく華があるように感じました。海老蔵の弁慶を双眼鏡で思い切り拡大して見ていましたが、ここまで鼻筋の通った弁慶も珍しいです。顔がいいのも、役によっては違和感があるもんですねえ。しかしながら、彼は若く荒々しい弁慶で、最後に喜び勇んで義経一行を走っておいかけるところなど、忠犬のようで「可愛い!」とさえ思ってしまいました。時間があれば昼の部も見たいところです。染五郎と海老蔵の「基盤忠信」だなんてそそられます。