クラシカ・ジャパン放映 「ベジャール・バレエ・ローザンヌ 80分間 世界一周」
自分って本当に会社に雇用されているサラリーマンなんだな・・・と1年に1回くらい思い切り実感するときがあるんだけど、今日はまさしくそんな日で、ほぼ1年前に味わったのと同じくらい運勢カーブが落ち込んだ気がしました。こんなことなら、渡航禁止を打ち破って、5月にルグリのアデューに行けばよかった(実はまだ会社の規定を恨んでる。人生に何回とない楽しみだったのに。。)イヤ気が差したので、早々と帰宅して先日録画した映像を見たのだった。************************************出演: ジル・ロマン, エティエンヌ・ベシャール, ジュリアン・ファヴロー, エリザベット・ロス, カトリーヌ・ズアナバール監督: 芸術監督:ジル・ロマン(収録:2008年2月 パレ・デ・スポール)タイトルは、ジュール・ヴェルヌの「80日間世界一周」と、彼の80歳という年齢をかけたもの。結局、この映画も観に行かず、DVDも購入しなかったので、クラシカ・ジャパンでの放映はいいチャンス。・・・目を皿のようにしてましたが、どのシーンがどの国かはあまりわからなかった。最初はアフリカ(どうやらベジャールの曾祖母の国セネガルらしい・・・)から始まり、音楽から察するに中国とオーストリア(ウィンナ・ワルツ)も判別。イタリアは「ベネツィア!」とダンサーが叫んでいたので、ああそうかな、と。私はあまりプリミティブな音楽は好きではないので、打楽器でリズムを取る民族系の音楽が多いのが、ちょっとね。。。でも、ワーグナーの音楽が途中で出てきて、「え?これで踊るわけ?」と思ったけど、ローザンヌのダンサーは難なく踊った。というかベジャールが、あの多少現代音楽っぽい粘着性を持った音楽に、ちゃんと振りつけているのがすごい。いまさらながら、ベジャールの才能を実感した次第。私は彼の振付作品に詳しくはないんだけど、「確かに見覚えがある!」と思えるシーンが随所にあって、どうやら引用も多いようだ。知っているダンサーも多くはないのだけど、インパクトが強かったのは、やはりジュリアン・ファヴローとエリザベット・ロス。ベジャール・ダンサーの存在感て並みじゃない。ジュリアンは、一昔前の可愛げな風情から、今や風格を感じるダンサーになった。「エジプト」(には思えなかったが)のグリーンの衣装が映えること!そしてロスは、先般のバレエ・フェスの「ブレルと・・・」より断然こっちのがいい。彼女はタイツ姿が似合うと思う。身体そのものの圧倒的な存在感を駆使して踊ると、それはすでに誰もがまねできない領域の踊りになっている。身体が雄弁なのだ。もちろん、ずっと出ずっぱりのエティエンヌ君は美しさの権化のようだった。そしてそして、それでも誰より唯一無二な感じを漂わせるジルは、やはり至高でした。そんないろんな思いを抱いていたのに、舞台は突然雷鳴とともに終わる。ベジャールの旅(=人生)の終わりを表わしているんだよね、きっと。雷鳴のような突然さだったのは事実。いろんな人の思いの交錯しそうな映像でした。