☆感謝の効用について
遺伝子研究の村上和雄氏のお話です。カリフォルニア大学のロバート・エモンズ教授は、感謝に着目した興味深い実験を行っている。大学生の被験者を3つのグループに分けて、毎週1回、その週を振り返り、ありがたかったこと(感謝グループ)、いらいらしたこと(いらいらグループ)、印象に残ったこと(統制グループ)を、それぞれ最大5つまでノートに記入してもらいました。それを9週間続けた後、生活全般や健康状態について質問しました。その結果、感謝グループでは、他のグループに比べて、「人生は喜ばしいものである」と感じた人が多いだけでなく、健康状態の不調(頭痛、胃痛、めまい、肌荒れ、筋肉痛、下痢など)を訴えることが少なかったといいます。さらに、感謝グループでは、困っている人を慰めたり、助けたりという利他的行動をとる傾向が高まったといいます。感謝することが、感謝している人自身の幸福感や人生に対する満足感を高めるだけでなく、からだの調子を改善し、利他的行為を促し、ストレスやうつ状態を軽減する効果がある。(望みはかなう きっとよくなる 村上和雄 海竜社 120ページ)感謝することはさまざまな効用があることが分かります。感謝を忘れた生活に幸せは訪れないように思います。でも神経症で苦しんでいるときは、感謝することはあまりありません。ある先生の話によると、「うつ病の患者は家族を気遣って心配しなくてもよいと言うが、神経症の患者は家族に不平不満ばかりをいう」と言われていました。自分は神経症で苦しんでいるのだから、家族は自分のためにできる限りことをするのは当然のことだという気持ちが強いのだと思われます。また家族や他人が自分のために心底尽くしてくれても、そんなことは当たり前という気持ちになることが多いように思います。むしろやってくれたことが、自分が考えていた水準以下の場合、不平や不満や怒りを抱くこともしばしばです。ケガや病気をしたとき、財産や仕事を失ったときに、はじめて健康や平穏な生活のありがたさに気付いて、感謝することになります。森田先生のお母さんは森田先生が何かを欲しがった時は、下の人を見よと諭されたそうです。欲望を無制限に追い求める生活をしていると感謝の気持ちは持てないと思います。樹木希林さんは自分の身体は神様からの預かりものという考え方をされていました。貸していただいたことに感謝して、最大限に活用させていただくという考えを持っておられました。こういう気持ちを持っていると貸主もまた貸してあげようと思われるのではないでしょうか。人間としてこの世に生まれたことは大いに感謝すべきことです。実際には生まれた時代、国、社会、境遇、運命、性格、両親を恨んでいる人もいます。この世に生まれたことに感謝して、自分が持っているものを活かし、自分のできることに精一杯取り組むことは、人間として生まれてきた我々の宿命ではないでしょうか。私は毎日日記を書いています。内容はその日の天気や夕食の内容、主な行動、大きな出来事などです。それに加えて、その日のうれしかったことなどを書いています。今後は「ありがたい、ありがとう」という感謝探しも付け加えてみようと思います。村上先生は1週間に一度くらいでよいといわれていますので、これくらいのペースでやっていきたいと思います。そして小さなことに感謝できる習慣をぜひとも身に着けたいと考えています。