テーマ:☆詩を書きましょう☆(8327)
カテゴリ:バイクトライアル
詩:ハァモニィベルさん
詩:塚元寛一さん びいふじゃあきい・かもめ 【特に風通しの悪い言語ゲーム】 ハァモニィベル 1 ひどい降りかたの雨の下にいた。収穫がみな吹き飛ばされた荒野にも似た世界で 2 眼の前に訪れた〈し〉のすべてが数でしかなかった。「史」思」氏」死」「詩「」飼」 3 レンジから弁当を取り出すわが子よ、思い出しておくれ。アルハズの光る骨のこと。 4 渇きの嵐が胸を砂ボコリで一杯にした深夜、めざめると不眠の雑種犬が舌を垂れる 5 〈真昼の球体〉は4角い鉄柵に囲われ、コツッ、コツッ、と誰かが叩く音が聴こえた 6 誰ひとり目撃されない者達が、えて勝手な論証と和讃を投げ合っている世界の子守唄 7 出発した駅の名前は、もはや誰もが覚えていない 8 見知らぬ景色は、灼熱の風と、季節を負う家族の背中 9 皮膚が地に貼りついて叫んでいた顔こそがまったく顔ではなかった事例 10 「集団で鰯になったことがある」と、そう言ったのはソーセージを頬張る彼女 11 偏食した双生児のように、そぞろ歩く僧侶と二人凍ったまま 12 夏の夜、四畳半のアパートは孤独の爆心地で、嗚呼、「空が剥がれ」ていく 13 焼けてしまった〈紫の脳髄〉に夢を、静かに吊るしていたのに疲れはじめて 14 その部屋を出る。稲妻のない丘を降りるように。玄関の小さな靴を履いて 15 湖から、夏の門の燃える眩暈へ、執着の・・・ 16 火の街の静寂が漂う終着の駅まで。玄関の小さな靴を履いて ※ 《時代はフヤケにまみれた腸(はらわた)の続巻を吐いて》 17 わたしは、私ではない。わたしですらない。ふりをしていても。―と 17-2 さわらないことで確かめ合うさわりかたの法則 [触/障]。にふれて 17-3 遮断機の上がらない踏切の向こう側。並んだ沈黙の総和が出血する。 18 比喩のスピードが、旋回した脳の外側に膨らむとかならず 18-2 ただの好ききらいを断定するTシャツの批評家がノックする 18-3 目の前の部屋には入れず。が」部屋ですらなし。ただ窓なき「儀式」の事例 ・・・ ・・・ ・・・ 21今日もまるで出ないペンのようだ。心に何も描かない。ネット投稿詩を見たいち読者の〈し〉。 【赤い彗星シャアと見せかけたパンティーへの国会議事堂プレイ】 塚元寛一 1 雨 雨は固有な性格に分かれた拍子と韻律である。先入見からの推論はこ うだ。舞踊や笛吹きや立琴弾きの音楽がつくりだした悲劇と喜劇のため の演劇的作用である。詩的定式乃至様式が揺れ動くカーテンのように火 の消えた夜の息を無常のうちに伝え、われわれはそこに幽霊を見、挙句 ドッペルゲンガーを目撃したと一瞬のうちにすみやかなる混乱をして、 夢の中のように自分が何処にいるのか一体全体判らなくなってしまう。 そのために槍は必要であり、これは竹槍である。真っ直ぐに咽喉に突き つけるのだが、ドンキーホーテの風車よろしく異常な好奇の賜物として の狂気は硝子のように割れてしまう。やがて割れた破片は、狂奔な追従 へはしらせ混沌へと邪悪なメビウス-再現される在りし日の磔刑へと追い やられるであろう。また構成的・生産的な技術は、動物的な部分として 説明される。君は被害者ではなく、加害者である。けだし、典型は卓越し、 蓋然的な要素を一切持ち合わせるものではない。一つ逃れたところで同じ、 すぐまた次の過ちを犯すのが習い。だから君は言うのだ、変身、と。 2 赤 血まみれの追剥がやって来る。その時、詩作、思索という行為は憂慮す べき嗜欲と言えよう。精神の中の若干の不定が煽情的な発明へと模範的な 多様性、全体性を否定しながら同時進行する。またこのふるえおののくべ き複雑な彩の感得は、燃え残った焚き火に末期的様相をいだいたものにし か訪れえない。これはのろまな黒い牛が、尻尾をちぎられ、猛突進してく るようなものである。暴走。否、元々角砂糖を積んだような積み木細工の 当然の帰結である。そしてこれは都会の宙ぶらりんの凧における八本の足 をつけたいという滑稽な妄想のようなものであろう。しかしそれが殺人的 な光の骨組をつくり、鯨が潮を吐く。可能だが俄かには信じ難いもの、信 じ難いが不可能だと盲信する者によって解体される。秋の日のヰ"オロン のためいき。この時、トロイの木馬は生まれ、夢魔のかたまりは一斉に増 殖活動をはじめる。そのような時、旅人と呼ぶ節もあるが、宇宙的な溶接 機のために一体化する交差点の浮游感覚とでもいうべきエロイムエッサイ ムであろう。ボルトとネジを見てみよ、弁証論における反駁のようにパー ルハーバーの夜景を、すべてのもの――あるいはより多くのものを含むも のを・・。そしてそれは裸のランチと呼ばれ、またの名を厚顔無恥と言い、 節操がない。しかし巨大な空洞のふりをしたがる者にはよい目晦ましであ る。最後には喀血し、必ずと言っていいほど死にたいと口にする。 3 技術 アルス 君には『技術』が欠けていると、如何なる知識を持っていようとも、口 ア ヌス にしてはいけない。『尻穴』が欠けている、と法螺吹きな海豚たちは、自 らが海の藻屑、悪魔の手先であるがゆえに豚となったがゆえにオーヴンへ とオープン・ザ・ドアし、その人工的な熱や気魄を持つことで逆説的にみ じめに熱弁をする。愚か者よ、焼けた火箸を背中にあてて何を刺青してい るのだね。爪を剥がしてあげようか、血の涙を流させてあげようか。彼等 バルス は逆上する。何を隠そう、『破壊呪文』だからである。毒々しい傷跡よ、 闇に涵った漆塗りの街にかぶれて悶えながら、帆のようにはためくことな く無様にそよ風ごときに吹き飛ばされる風船たち、否、アリスよ! おお、 アマリリスよ、なんて君は身の程知らずのお馬鹿さんなんだろう! 4 犬 題材に対して歪んだ鼻の犬になることが多い。困ると、猫の鳴き声をす る。これは古びた羅紗の衣類のようにすりきれた魂の深い谷底の清澄なる きょうおん 跫音のせいかもしれぬ。一切が光晴、田村のように気負い過ぎであり、そ のまた一切が絶望的な呼吸困難である。まるで廃墟となった孤島のコンク リート建造物的な印象が、卵の黄身のように崩れ出す時、それゆえに彼等 は曖昧模糊ないしは軽妙洒脱なものにすがらなくてはいけない。時間と風 と光の世界。しかしその高速度撮影はしかしながら、スローモーションで なければならないという制約があるのだが、カメレオンの舌では巻きとれ ない。蓄音器は巻くだけであり、それは針金を頭に巻いているだけのアブ ない野郎です。お陀仏! しかし冷静になれ、そこには純粋な脱帽がある。 帽子を脱ぐと首ももげる。もはやその時、トカゲと呼ばない者がいないの が許される範囲内ことだからであるらしいと煙に巻くしかない。月にホエ ール・ウォッチング! 右手に、恐竜の卵に見せかけた段ボールの箱! 5 球体 遠く山々を照らしだし、きけきけ、わだづみの声、これは双生児として の月の妖しげな誘い、ルナティックという魔の悪意にみちた歪なる輝き。 仏教では球体を瞑想の景象のように扱い、たとえばそれは紋章との一致を も可能にする。大丈夫、困ったらフリーメーソンを出しておけばセピア色 のゆるやかな連中は座礁したまま動かなくなる。陰謀! そんな陰 毛! しかし御存知ないのかね、かの仏教徒たちが小川のまるい石を拾いながら、 揺曳する飛沫の帳に石を投げてはヘヘヘン、どうでえ、していたように、 それは一つの女性的なとある部位のごむまりであった。古き時代からドメ スティックバイオレンスの芽が脈々と編まれていたのである。そして詩は この歴史をあたかも正史のように取扱い、黄金虫する。放埓、非行、不良、 そして美人を見るたびに毒蛇の叱声を浴びたがごとく、孤独なマトリック ス-それも一つのイナバウアーをする。そして賢治にとりあえず石を投げ るだろう。投げろ、投げろ、それがお前の林檎だぞ、脳味噌だぞ。 6 仮面 仮面劇は運命の悪夢のように、いつの日にか、訪れ来る生の終りにも似 た秋の歌を聴かせる。この淫乱というほかない多情は繊細であり、羞恥に よる紅潮をもユゴーの意匠であり、ヴァレリーの鬱屈した不安定な精神の 妄想によって炸裂する。騙りの構造。いわば個性という知的対応物には価 値の迅速な変換が特別な想像力の中でおこなわれるので、ダンテ・アリギ エリのように天空までぶっ飛んでゆかなくてはいけない蝶のように! 男 色ごときで、自分の師をさもえらそうに地獄の底で見つけ出さなくてはな らない。そのような時、僕は呟く。おお、地球儀よ踊れ、そして銀河に踊 れ、ご都合主義の青い靴、くねくねと大きく身をくねらせて真っ逆さまの イカロスよ。お前は羽根じゃない、大地にうずくまり懺悔しな、この蛇野 郎。蒲焼にされて犬の餌になる前に何とかいいな! 月を失踪させ、火星 を血に染まったぼろ布に変え、水星をヒドラへと変えながら、このめちゃ くちゃな回収不可能な詩ですらまだ仮面という一つの言い訳をして。 7 駅 われわれが駅について思う時、それはあらゆる種類の再生が海であるよ うに、その幸福をもたらす旅としてある種の悔恨と純度の高さを説明する ヴェール だろう。万華鏡よ、その紗は街燈のようなお飾り、しかし文明の腐りきっ た幻想と言い捨てるにはまだ早い、しかしそれは拷問、拘束、檻、息苦し さ、家畜、愛玩動物としてただちに共犯者的なよろこびを見出すだろう。 そしてキセルをし、そしてただちに掏摸をし、ただちに女のスカートへと 右手を突っ込む。それが特異で説明し難い詩人の本質の一つであることは 疑いがないので、詩人は駅でよく、サラリーマンですと答える。そうでな ければ脱糞する、嘔吐する、よくわからない? 何故だね、彼等は駅とい うものの正体を誰よりもよく知っている、自分自身だとね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年08月16日 21時46分15秒
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