テーマ:☆詩を書きましょう☆(8335)
カテゴリ:AVE予告篇
※ ネット発表のものは、出版された詩集とは異なる箇所があります。
※ 本篇の、詩誌AVENUEによるレイアウトは作者校閲を経ています。 ダンツラーは手を伸ばしたが、相手の手をとる代わりに、その手首をつかんでひき倒した。DTはいいほうの足でバランスをとろうとしたが、ひっくり返って霧の下に姿を消した。落ちるだろうと思っていたのだが、DTは肌に霧をはりつけたまますぐにうきあがってきた。そのはずだ、とダンツラーは思った。魂が落ちるには、その前に肉体が死ななければならない。 (ルーシャス・シェパード『サルバドル』小川 隆訳) 「あなたは宇宙を支配しているのですか?」ザフォドが訊(き)いた。(ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』29、風見 潤訳) ぼくのために橋となってはくれないきみの愛がぼくを苦しめるのだ、橋は片側だけで支えられるものではないのだからね、ライトだってル・コルビュジェだって片側だけで支えられる橋を造ることはないだろう。(コルターサル『石蹴り遊び』その他もろもろの側から・93、土岐恒二訳) フロベールは、オメーの俗悪さを列挙する場合にも、全く同じ芸術的な詐術を使っている。内容そのものは下卑ていて不快なものであっても、その表現は芸術的に抑制が利き調和しているのだ。これこそ文体というものなのである。これこそ芸術なのだ。小説で本当に大事なことは、これを措いてほかにない。(ナボコフ『ナボコフの文学講義』上・ギュスターヴ・フロベール、野島秀勝訳) 夫人はあと一瞬だけとどまろうとした。それから身を動かし、ミンタの腕をとって部屋を出ると、もうあの光景は変化し、違った形をとり始めた。夫人は、肩ごしにもう一度だけ振り返って、それがもはや過去のものになったことを知った。(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』第一部・17、御輿哲也訳) ダルグリッシュの視線が、すでに一度はとらえておきながら気がつかずにいた或るものの上にとどまったのはそれからだった。大机の上に載っている、黒い十字架と文字の印刷された通知書の一束である。その一枚を持って、彼は窓ぎわへと行った。明るい光でよく見れば、自分のまちがいがわかる、とでも言うように。しかし、(P・D・ジェイムズ『黒い塔』2・1、小泉喜美子訳) そんなものに、わしゃヘンダソンよりも多くのものを発見するんだよ。(イエイツ『まだらの鳥』第一編・4、島津彬郎訳) この家の玄関を設計するにあたって、ぼくはブレインの家の玄関ホールを再現しようと試みた──と言っても巻尺で測ったような現実としてではなく、ぼくの記憶にあるとおりの現実として。現存する「生きて、呼吸し、存在する」ぼくの記憶が、いまは滅んで取り戻せない物理的存在よりも現実的でないなどとどうして言えるだろう。(ジーン・ウルフ『ピース』2、西崎 憲・館野浩美訳) キェルケゴールはたずねる。「世界と呼ばれているものは何なのか?…この世へ私をいざなっておきながら、今そこに私を置き去りにしたのは誰なのか?…私はどうしてこの世にきたのであろう?…なぜ私は顧みられなかったのか?…もし私がこの世にむりやりに仲間入りさせられているのなら、その指導者はどこにいるのか?…私はその人に会いたい」。この「不条理」の感覚のいちばん極端な形がサルトルの言うところの「嘔吐」で、自分が客体のありのままの現実によって否定されているという感覚である。(コリン・ウィルソン『時間の発見』第5章・8、竹内 均訳) マルティンは自分がまだ知らないでいるアレハンドラの心の一部を探るかのように、部屋の中を見まわした。(サバト『英雄たちと墓』第I部・9、安藤哲行訳) それからフラムは扉を閉めて、彼の蒸気船を去り、同時に彼の人生から去っていった。(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』30、増田まもる訳) まだ一年も経っていないというのに、サマンサは母親がどんな姿をしていたか忘れかけている自分に気づいた。母親の顔だけでなく、どんな香りだったかさえも。それは乾いた干し草のようでもあり、シャネルの五番のようでもあり、なにか他のもののようでもあった。(ケリー・リンク『スペシャリストの帽子』金子ゆき子訳) グレース・ファーガソンに対する興味が深まれば深まるほど、彼女の家やその周辺も彼にとって生き生きとしたものになってきた。(ヒュー・ウォルポール『白猫』佐々木 徹訳) 「共感覚」彼女は繰りかえした。「ある感覚が、ミスター・ヴァンダービルド、刺激を受けたのとは異なる感覚器官の感覚に即座に翻訳される場合、それを共感覚というんです。たとえば──音の刺激が同時にはっきりした色感を引き起こすとか、色が味覚を引き起こすとか、光が聴覚を引き起こすといった具合です。味覚、嗅覚、痛覚、圧覚、温覚、その他もろもろの感覚で混乱や短絡があり得るんです。わかりますか?」(アルフレッド・ベスター『ごきげん目盛り』中村 融訳) 人間思想の全分野を革新するということは、きわめてわずかな人にしか許されていない。デカルトはこのわずかな人間の一人である。(E・T・ベル『数学をつくった人びと I』3、田中 勇・銀林 浩訳) ウィンターはこの数分で二度目の、自分の世界が裏返される感覚を味わった。「シュレイムが嘘を?」(ケン・マクラウド『ニュートンズ・ウェイク』B面20、嶋田洋一訳) 全行引用詩『ORDINARY WORLD°』 42/45 へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年01月18日 19時40分51秒
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